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番外編
お星様に願いを ※2021年大晦日企画
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「今日はもう遅いわ。そろそろ休みましょう」
マルグリットのその一言で子どもたちがそれぞれ手にしていた絵本や玩具を置いて立ち上がる。
絵本や玩具を部屋へ持って戻るのは乳母の役目だ。
既に乳母を病で亡くしているレイヴンには代わりに片付けてくれる人がいない。
持参した数冊の本を抱えると、マルグリットへ頭を下げた。
「それでは母上、失礼致します」
「おやすみなさい、レイヴン。良い夢を」
マルグリットたちに見送られてレイヴンは部屋を後にした。
王太子宮に戻り、湯浴みを終えたレイヴンは、冬用の夜着の上に外套を羽織ると部屋を出た。
廊下で警護に当たっていた護衛騎士が2人ついてくる。
騎士たちには年末も年始もない。交代で休みを取っているのだろうが、必ず2人は護衛がつくことになっていた。
シンとした廊下にレイヴンと騎士たちの足音が響く。
人気のない薄暗い廊下は一層寒く感じられる。
乾いた靴音を聞いていると、先程応接間を出る前に見た光景を思い出した。
マルグリットとカナリー、ジェイ、それぞれの乳母たち。
レイヴン以外は皆正殿の部屋へ戻るのだ。
遅い時間なのだからもう寝るだけで、レイヴンがいなくなった後に何かをしているとは思わないけれど、年が変わろうとしているこんな特別な日は少し淋しくなった。
だけどレイヴンが王太子宮に移ってからもう4年が経った。6歳で立太子したレイヴンももう10歳だ。
「母上のところに戻る!僕も正殿が良い!!」
夜になる度にそう言って泣いていた子どもはもういない。
レイヴンも一緒に正殿で暮らしていた時のことをカナリーもジェイも知らないのだ。
レイヴンはある部屋まで来るとバルコニーへ出た。
寒風が吹きつける。
外套の前を強く押さえると、遠くに見える灯りに目を凝らした。
「ルトビア公爵邸はあの辺りかな…」
レイヴンの部屋のバルコニーからはルトビア公爵邸が見えない。
王都の街や貴族街を良く知る騎士に、ルトビア公爵邸の方向を教えてもらったのだ。
アリシアと婚約して2年が経った。
婚約者として足りないところばかりだと思っていたアリシアは、日々努力をして知識も作法も吸収していっている。
まだ感情を隠すのが上手くいかずに笑ったり悲しんだりしているのが出てしまうけれど、それが不快だとは思わなくなっていた。
あの笑顔をレイヴンに向けて欲しい。
アリシアが悲しんでいる時は傍で励ましたい。
この感情は恋ではないだろうか。
遠くへ目を凝らすレイヴンの頭上を星が流れ落ちる。
レイヴンは目を閉じると手を組んで祈り始めた。
「アリシアと沢山話ができますように」
「アリシアがいっぱい笑ってくれますように」
「アリシアともっと仲良くなれますように」
来年こそは。
祈るレイヴンの声に被さるように鐘の音が響き出した。
年が変わるのを教える鐘の音だ。
「アリシアも鐘の音を聞いてるかな…」
規則正しい生活を送るアリシアはもう寝てしまっているけれど、レイヴンがそれを知る由はない。
「アリシアと沢山話ができますように」
「アリシアがいっぱい笑ってくれますように」
「アリシアともっと仲良くなれますように」
レイヴンはもう一度流れる星に願いを掛ける。
その願いが叶えられるまでに10年以上の時が必要だとは思ってもいないレイヴンだった。
マルグリットのその一言で子どもたちがそれぞれ手にしていた絵本や玩具を置いて立ち上がる。
絵本や玩具を部屋へ持って戻るのは乳母の役目だ。
既に乳母を病で亡くしているレイヴンには代わりに片付けてくれる人がいない。
持参した数冊の本を抱えると、マルグリットへ頭を下げた。
「それでは母上、失礼致します」
「おやすみなさい、レイヴン。良い夢を」
マルグリットたちに見送られてレイヴンは部屋を後にした。
王太子宮に戻り、湯浴みを終えたレイヴンは、冬用の夜着の上に外套を羽織ると部屋を出た。
廊下で警護に当たっていた護衛騎士が2人ついてくる。
騎士たちには年末も年始もない。交代で休みを取っているのだろうが、必ず2人は護衛がつくことになっていた。
シンとした廊下にレイヴンと騎士たちの足音が響く。
人気のない薄暗い廊下は一層寒く感じられる。
乾いた靴音を聞いていると、先程応接間を出る前に見た光景を思い出した。
マルグリットとカナリー、ジェイ、それぞれの乳母たち。
レイヴン以外は皆正殿の部屋へ戻るのだ。
遅い時間なのだからもう寝るだけで、レイヴンがいなくなった後に何かをしているとは思わないけれど、年が変わろうとしているこんな特別な日は少し淋しくなった。
だけどレイヴンが王太子宮に移ってからもう4年が経った。6歳で立太子したレイヴンももう10歳だ。
「母上のところに戻る!僕も正殿が良い!!」
夜になる度にそう言って泣いていた子どもはもういない。
レイヴンも一緒に正殿で暮らしていた時のことをカナリーもジェイも知らないのだ。
レイヴンはある部屋まで来るとバルコニーへ出た。
寒風が吹きつける。
外套の前を強く押さえると、遠くに見える灯りに目を凝らした。
「ルトビア公爵邸はあの辺りかな…」
レイヴンの部屋のバルコニーからはルトビア公爵邸が見えない。
王都の街や貴族街を良く知る騎士に、ルトビア公爵邸の方向を教えてもらったのだ。
アリシアと婚約して2年が経った。
婚約者として足りないところばかりだと思っていたアリシアは、日々努力をして知識も作法も吸収していっている。
まだ感情を隠すのが上手くいかずに笑ったり悲しんだりしているのが出てしまうけれど、それが不快だとは思わなくなっていた。
あの笑顔をレイヴンに向けて欲しい。
アリシアが悲しんでいる時は傍で励ましたい。
この感情は恋ではないだろうか。
遠くへ目を凝らすレイヴンの頭上を星が流れ落ちる。
レイヴンは目を閉じると手を組んで祈り始めた。
「アリシアと沢山話ができますように」
「アリシアがいっぱい笑ってくれますように」
「アリシアともっと仲良くなれますように」
来年こそは。
祈るレイヴンの声に被さるように鐘の音が響き出した。
年が変わるのを教える鐘の音だ。
「アリシアも鐘の音を聞いてるかな…」
規則正しい生活を送るアリシアはもう寝てしまっているけれど、レイヴンがそれを知る由はない。
「アリシアと沢山話ができますように」
「アリシアがいっぱい笑ってくれますように」
「アリシアともっと仲良くなれますように」
レイヴンはもう一度流れる星に願いを掛ける。
その願いが叶えられるまでに10年以上の時が必要だとは思ってもいないレイヴンだった。
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