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第2部 5章
43 ガーモット伯爵家の没落
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ガーモット伯爵家の没落は早かった。
あの舞踏会の翌日、まずはリベラ侯爵家から抗議文が届けられた。
次期侯爵夫人のお披露目の場だったのだ。そこで騒ぎを起こされたのだから抗議しない方がおかしい。
この騒ぎが国王夫妻の耳に入っていないはずがなく、愛娘の晴れ舞台を穢された2人が、ガーモット伯爵家の面々に不快感を持っているのは容易に察せられた。
ガーモット伯爵家と商取引のある貴族は次々と取引の中止を通告し、毎日夫人やジェンナへ届いていたお茶会やガーデンパーティーへのお誘いは一切なくなった。それどころか出席の返事をしていたお茶会やパーティーの中止を知らせる文が続々と届けられ、だけど実際には予定通り行われていたことが噂として伝わってきる。
そんな伯爵家の実情を伝え聞いた銀行や商家が、借入金やツケ払いの代金を早急に支払うよう求めてくる。
ガーモット伯爵家はそれなりに事業も安定し、裕福な部類に入る貴族だったが、レオナルドが身辺調査を終える頃にはすっかり傾いてしまっていた。
「ジェンナ嬢は伯爵領内の豪農へ嫁いだようですよ。社交界に戻ってくることは二度とないでしょう」
経済的に傾いたとはいえ、ガーモット伯爵家は領地を没収されたわけでも爵位を剥奪されたわけでもない。
これからも領地運営をしていかなければならない為、手っ取り早く資金を得ようと娘を嫁に出したようだ。相手が領内の豪農なのは、もうジェンナを嫁にしようという貴族がいないからである。
本当は伯爵も後継に爵位を譲って騒動を収めたいのだろうが、残念なことに後継者として届けられているのはジェンナの弟で、まだ学園に通っている学生である。
この弟がどれほど優秀であったとしても、爵位の譲渡が認められるのは学園を卒業してからになるだろう。
「ジェンナ嬢のおかげで令嬢たちの婚約が進んでいるようです。随分面倒な令嬢でしたが、役に立つところもあったのですね」
レオナルドは辛辣だ。ガーモット伯爵家が没落したからといって怒りが消えたわけではない。
ただ、あの舞踏会を切っ掛けにして側妃を狙っていた令嬢たちの婚約が進んでいた。
貴族たちが娘を側妃にしようと目論むのは、娘がレイヴンの寵愛を受け、子を生めば家の繁栄に繋がるからだ。世継ぎを生めれば一番良いが、王位を継げなくとも国王や寵妃の後ろ盾を持つ王子・王女は大きな権力を持つ。
そう、カナリーのように。
だけどレイヴンは側妃を娶っても側妃の殿舎には通わないと明言した。
側妃とは白い結婚になる、お飾りの妃だ、と。
それを聞いていた貴族たちは、レイヴンの本気度を感じ取ったようだ。あの時娘を連れて挨拶に訪れていた貴族たちの大部分が翌日から娘の嫁ぎ先を探し出した。
側妃に迎えられても王太子の手がつかずに形だけの妃にされるのなら、他の貴族へ嫁がせた方がよっぽど家の役に立つ。
「これまでにも随分振るい落としてきましたが、それでもまだ残っている令嬢がいるのですね。ある意味感服してしまいますよ」
レイヴンとアリシアは結婚してからも表面的な夫婦だと思われていた。だから多くの令嬢たちが結婚をせず、婚約者も持たずに3年経つのを待っていたのだ。
その令嬢たちをこれまで随分振るい落としてきた。
愛しい者のところへ走らせ、美味しい取引を提示し、家を潰すと脅して、実際に潰した家もある。
レイヴンはアリシアへの寵愛を示し、側妃とは白い結婚になると大勢の前で宣言までした。
これまで多くの令嬢たちが去っていったのに、それでも留まっている令嬢たちがいる。
素晴らしい強心臓である。
あの舞踏会の翌日、まずはリベラ侯爵家から抗議文が届けられた。
次期侯爵夫人のお披露目の場だったのだ。そこで騒ぎを起こされたのだから抗議しない方がおかしい。
この騒ぎが国王夫妻の耳に入っていないはずがなく、愛娘の晴れ舞台を穢された2人が、ガーモット伯爵家の面々に不快感を持っているのは容易に察せられた。
ガーモット伯爵家と商取引のある貴族は次々と取引の中止を通告し、毎日夫人やジェンナへ届いていたお茶会やガーデンパーティーへのお誘いは一切なくなった。それどころか出席の返事をしていたお茶会やパーティーの中止を知らせる文が続々と届けられ、だけど実際には予定通り行われていたことが噂として伝わってきる。
そんな伯爵家の実情を伝え聞いた銀行や商家が、借入金やツケ払いの代金を早急に支払うよう求めてくる。
ガーモット伯爵家はそれなりに事業も安定し、裕福な部類に入る貴族だったが、レオナルドが身辺調査を終える頃にはすっかり傾いてしまっていた。
「ジェンナ嬢は伯爵領内の豪農へ嫁いだようですよ。社交界に戻ってくることは二度とないでしょう」
経済的に傾いたとはいえ、ガーモット伯爵家は領地を没収されたわけでも爵位を剥奪されたわけでもない。
これからも領地運営をしていかなければならない為、手っ取り早く資金を得ようと娘を嫁に出したようだ。相手が領内の豪農なのは、もうジェンナを嫁にしようという貴族がいないからである。
本当は伯爵も後継に爵位を譲って騒動を収めたいのだろうが、残念なことに後継者として届けられているのはジェンナの弟で、まだ学園に通っている学生である。
この弟がどれほど優秀であったとしても、爵位の譲渡が認められるのは学園を卒業してからになるだろう。
「ジェンナ嬢のおかげで令嬢たちの婚約が進んでいるようです。随分面倒な令嬢でしたが、役に立つところもあったのですね」
レオナルドは辛辣だ。ガーモット伯爵家が没落したからといって怒りが消えたわけではない。
ただ、あの舞踏会を切っ掛けにして側妃を狙っていた令嬢たちの婚約が進んでいた。
貴族たちが娘を側妃にしようと目論むのは、娘がレイヴンの寵愛を受け、子を生めば家の繁栄に繋がるからだ。世継ぎを生めれば一番良いが、王位を継げなくとも国王や寵妃の後ろ盾を持つ王子・王女は大きな権力を持つ。
そう、カナリーのように。
だけどレイヴンは側妃を娶っても側妃の殿舎には通わないと明言した。
側妃とは白い結婚になる、お飾りの妃だ、と。
それを聞いていた貴族たちは、レイヴンの本気度を感じ取ったようだ。あの時娘を連れて挨拶に訪れていた貴族たちの大部分が翌日から娘の嫁ぎ先を探し出した。
側妃に迎えられても王太子の手がつかずに形だけの妃にされるのなら、他の貴族へ嫁がせた方がよっぽど家の役に立つ。
「これまでにも随分振るい落としてきましたが、それでもまだ残っている令嬢がいるのですね。ある意味感服してしまいますよ」
レイヴンとアリシアは結婚してからも表面的な夫婦だと思われていた。だから多くの令嬢たちが結婚をせず、婚約者も持たずに3年経つのを待っていたのだ。
その令嬢たちをこれまで随分振るい落としてきた。
愛しい者のところへ走らせ、美味しい取引を提示し、家を潰すと脅して、実際に潰した家もある。
レイヴンはアリシアへの寵愛を示し、側妃とは白い結婚になると大勢の前で宣言までした。
これまで多くの令嬢たちが去っていったのに、それでも留まっている令嬢たちがいる。
素晴らしい強心臓である。
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