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番外編
アリシアの誕生日 4
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「私も一緒に選んでよろしいでしょうか」
「……え?」
「レイヴン様がドレスや装飾品をいつも一緒に選んでくださるから、一緒に選ぶ楽しさを覚えてしまったのです」
アリシアが恥ずかしそうに頬を染める。
確かにアリシアと一緒に選ぶのは楽しかった。それでアリシアの好みを覚えたというのもある。
それに折角訪ねてきてくれたのだから、アリシアが欲しいものを買うのも良い。
何といってもアリシアに手を取られて可愛らしくお強請りされては、拒否することなどできなかった。
アリシアは楽しそうに並べられた商品へ目を通していく。
美しい刺繍が施されたハンカチーフや手袋、レース編みの飾り襟などもある。流石に王城へ持ってくる品だけあってどれも手が込んでいた。
アリシアは時に手に取り、当ててみながらどれが良いかレイヴンと笑い合う。
レイヴンはアリシアが選んだものは何でも似合うと言うし、いくつでも買おうとするから注意が必要だ。
アリシアはソファの端に積まれた贈り物の山をちらっと見ると、繊細な模様が彫られた木製の宝石箱を手に取った。
きっとレイヴンはこういう品を選ばない。
「この宝石箱、とても素敵ですわ。これを作った方は素晴らしい職人ですね」
「ありがとうございます!少し地味かと思いますが、職人が丹精込めて作り上げた品でございます。妃殿下の目に留まったと知れば喜ぶでしょう!」
確かに繊細で美しい模様が彫られた宝石箱だった。
ただ宝石のひとつも付いておらず、染色された訳でもない。材料となった木の色や木目そのものを楽しむもので、彫られた模様もそれに合わせたものだ。パッとした華やかさはないので貴族女性の目には留まりにくいだろう。
「私、これが気に入りました。これを買ってくださいますか?」
勿論アリシアが気に入ったものをレイヴンが駄目と言うはずがない。
アリシアが嬉しそうに抱えるその宝石箱は、ラッピングされることなくすぐにアリシアが持ち帰ることになった。
その後、買い物を続けようとするレイヴンに、アリシアがきょとんとした顔をする。
「もう贈り物は買っていただきましたわ」
「っ!それはそうだけど!贈り物はいくつでも良いんだ!他にもアリシアが気に入るものを買おう!」
「私はこれが気に入りました。これひとつで十分ですわ」
アリシアがふわっと笑う。
笑っているのに強い圧力を感じて、レイヴンは何も言うことができなかった。
商品を片付けた商人たちが帰っていくと、レイヴンはアリシアに問いかける。
「本当にそれだけで……?」
「はい。贈り物は気に入ったものがひとつあれば十分ですわ」
アリシアは満足そうに笑っている。
他の商人を呼んだとしても、これ以上アリシアを喜ばせるものは買えないだろう。
そう悟ったレイヴンは、これで贈り物探しを打ち切ることを決めた。
「アリシアが喜んでくれて良かった」
そう言ってアリシアを抱き締める。
これまで買った物は受け取って貰えるのか、ちょっぴり不安に思いながら……。
「……え?」
「レイヴン様がドレスや装飾品をいつも一緒に選んでくださるから、一緒に選ぶ楽しさを覚えてしまったのです」
アリシアが恥ずかしそうに頬を染める。
確かにアリシアと一緒に選ぶのは楽しかった。それでアリシアの好みを覚えたというのもある。
それに折角訪ねてきてくれたのだから、アリシアが欲しいものを買うのも良い。
何といってもアリシアに手を取られて可愛らしくお強請りされては、拒否することなどできなかった。
アリシアは楽しそうに並べられた商品へ目を通していく。
美しい刺繍が施されたハンカチーフや手袋、レース編みの飾り襟などもある。流石に王城へ持ってくる品だけあってどれも手が込んでいた。
アリシアは時に手に取り、当ててみながらどれが良いかレイヴンと笑い合う。
レイヴンはアリシアが選んだものは何でも似合うと言うし、いくつでも買おうとするから注意が必要だ。
アリシアはソファの端に積まれた贈り物の山をちらっと見ると、繊細な模様が彫られた木製の宝石箱を手に取った。
きっとレイヴンはこういう品を選ばない。
「この宝石箱、とても素敵ですわ。これを作った方は素晴らしい職人ですね」
「ありがとうございます!少し地味かと思いますが、職人が丹精込めて作り上げた品でございます。妃殿下の目に留まったと知れば喜ぶでしょう!」
確かに繊細で美しい模様が彫られた宝石箱だった。
ただ宝石のひとつも付いておらず、染色された訳でもない。材料となった木の色や木目そのものを楽しむもので、彫られた模様もそれに合わせたものだ。パッとした華やかさはないので貴族女性の目には留まりにくいだろう。
「私、これが気に入りました。これを買ってくださいますか?」
勿論アリシアが気に入ったものをレイヴンが駄目と言うはずがない。
アリシアが嬉しそうに抱えるその宝石箱は、ラッピングされることなくすぐにアリシアが持ち帰ることになった。
その後、買い物を続けようとするレイヴンに、アリシアがきょとんとした顔をする。
「もう贈り物は買っていただきましたわ」
「っ!それはそうだけど!贈り物はいくつでも良いんだ!他にもアリシアが気に入るものを買おう!」
「私はこれが気に入りました。これひとつで十分ですわ」
アリシアがふわっと笑う。
笑っているのに強い圧力を感じて、レイヴンは何も言うことができなかった。
商品を片付けた商人たちが帰っていくと、レイヴンはアリシアに問いかける。
「本当にそれだけで……?」
「はい。贈り物は気に入ったものがひとつあれば十分ですわ」
アリシアは満足そうに笑っている。
他の商人を呼んだとしても、これ以上アリシアを喜ばせるものは買えないだろう。
そう悟ったレイヴンは、これで贈り物探しを打ち切ることを決めた。
「アリシアが喜んでくれて良かった」
そう言ってアリシアを抱き締める。
これまで買った物は受け取って貰えるのか、ちょっぴり不安に思いながら……。
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