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番外編
アリシアの誕生日 10
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「誕生日おめでとう、アリシア」
「ありがとうございます、お兄様」
優しく微笑む兄と兄の訪問を嬉しそうに迎え入れる妹。
いつもの様に2人が軽く抱き締め合うのをレイヴンは複雑な顔で見ていた。
2人の仲が良いのは有名で、今更誰も驚かない。モヤモヤしているのはきっとレイヴンだけだ。
「君の旦那様が怖い顔をしているから、そろそろやめようか」
2人の抱擁は可笑しそうに笑うレオナルドの言葉で打ち切られた。
昼食が終わり午後の休憩時間、アリシアのところへ戻って来たレイヴンはレオナルドを連れていた。
誕生日にレオナルドが訪ねてくるのは毎年のことなので、それを訝しむ者はいない。
「はい。これは誕生日の贈り物だよ」
レオナルドはソファへ座ると後ろに控える従者に持たせていた箱を受け取り、アリシアへ差し出した。その従者は公爵家に仕える者で、アリシアが会うのは久しぶりだ。
誕生日にはこうして懐かしい人と顔を合わせられることも楽しみの1つになっている。
「これは父上と母上からね」
レオナルドは次々と贈り物をテーブルの上に置いていく。ルトビア公爵夫妻はこうしてレオナルドに持たせることで、他の貴族たちからの贈り物に紛れることなく確実にアリシアの手に渡るよう考えてくれていた。
だからこれもアリシアにとってはいつものことだ。
だけどこの日はこれまでと違うことがあった。
「これはジェーンから。そしてこれはロイからだよ」
「ジェーンとロイ兄様が贈り物を?」
「そうだよ。2人が届けてくれたんだ」
並べられた2つの包みにアリシアは目を丸くする。
嫁いでからは2人から贈り物を受け取っていなかったからだ。
その理由は簡単で、ジェーンは王宮に届けられるような贈り物を用意する金を与えられておらず、ロバートは貴族たちの目が自分に向かない様に行動を慎み、王室とも距離を取っていたからだ。
アリシアたちが互いを想う気持ちは以前と変わらない。だけどその関係はアリシアが嫁いでから確実に変わっていた。
その関係があの処罰を機にまた変わったのだ。
ジェーンはデミオンやアンジュの抑圧から抜け、アルスタへ旅立った。ルトビア公爵家から援助金も出ているけれど、使節団としての給金も払われている。
またロバートも叙爵されたことやキャンベル侯爵家の当主代行を引き受けたことで、これまでのように王室と距離を取れなくなった。それならば思うように行動しようと思ったのだろう。
「さあ開けてみて」
レオナルドに促されてアリシアは包みを開ける。
両親からの贈り物は薄いピンクの美しいハンドバッグだった。
「まあ……。素晴らしい贈り物をありがとうございますと、お父様とお母様に伝えて下さい」
レオナルドが頷く。
それからレオナルドからのものと、ジェーンからのもの、ロバートからのものを順番に開いた。
レオナルドからの贈り物は素晴らしい彫刻が施されたコンパクトミラーで、ジェーンからの重り物はクリーム色のハンカチーフだった。そこにエメラルドグリーンと青色を使った繊細な模様が刺繍されている。この刺繍はジェーンが刺したものだろう。そしてロバートからの贈り物は、異国情緒溢れる模様が描かれたポーチだった。
「お兄様、これは…」
コンパクトもハンカチーフもポーチもハンドバッグに収められるもので、皆が合わせて用意したのは間違いない。
思わず目を潤ませるアリシアにレオナルドは満足そうな顔を見せた。
「ありがとうございます、お兄様」
優しく微笑む兄と兄の訪問を嬉しそうに迎え入れる妹。
いつもの様に2人が軽く抱き締め合うのをレイヴンは複雑な顔で見ていた。
2人の仲が良いのは有名で、今更誰も驚かない。モヤモヤしているのはきっとレイヴンだけだ。
「君の旦那様が怖い顔をしているから、そろそろやめようか」
2人の抱擁は可笑しそうに笑うレオナルドの言葉で打ち切られた。
昼食が終わり午後の休憩時間、アリシアのところへ戻って来たレイヴンはレオナルドを連れていた。
誕生日にレオナルドが訪ねてくるのは毎年のことなので、それを訝しむ者はいない。
「はい。これは誕生日の贈り物だよ」
レオナルドはソファへ座ると後ろに控える従者に持たせていた箱を受け取り、アリシアへ差し出した。その従者は公爵家に仕える者で、アリシアが会うのは久しぶりだ。
誕生日にはこうして懐かしい人と顔を合わせられることも楽しみの1つになっている。
「これは父上と母上からね」
レオナルドは次々と贈り物をテーブルの上に置いていく。ルトビア公爵夫妻はこうしてレオナルドに持たせることで、他の貴族たちからの贈り物に紛れることなく確実にアリシアの手に渡るよう考えてくれていた。
だからこれもアリシアにとってはいつものことだ。
だけどこの日はこれまでと違うことがあった。
「これはジェーンから。そしてこれはロイからだよ」
「ジェーンとロイ兄様が贈り物を?」
「そうだよ。2人が届けてくれたんだ」
並べられた2つの包みにアリシアは目を丸くする。
嫁いでからは2人から贈り物を受け取っていなかったからだ。
その理由は簡単で、ジェーンは王宮に届けられるような贈り物を用意する金を与えられておらず、ロバートは貴族たちの目が自分に向かない様に行動を慎み、王室とも距離を取っていたからだ。
アリシアたちが互いを想う気持ちは以前と変わらない。だけどその関係はアリシアが嫁いでから確実に変わっていた。
その関係があの処罰を機にまた変わったのだ。
ジェーンはデミオンやアンジュの抑圧から抜け、アルスタへ旅立った。ルトビア公爵家から援助金も出ているけれど、使節団としての給金も払われている。
またロバートも叙爵されたことやキャンベル侯爵家の当主代行を引き受けたことで、これまでのように王室と距離を取れなくなった。それならば思うように行動しようと思ったのだろう。
「さあ開けてみて」
レオナルドに促されてアリシアは包みを開ける。
両親からの贈り物は薄いピンクの美しいハンドバッグだった。
「まあ……。素晴らしい贈り物をありがとうございますと、お父様とお母様に伝えて下さい」
レオナルドが頷く。
それからレオナルドからのものと、ジェーンからのもの、ロバートからのものを順番に開いた。
レオナルドからの贈り物は素晴らしい彫刻が施されたコンパクトミラーで、ジェーンからの重り物はクリーム色のハンカチーフだった。そこにエメラルドグリーンと青色を使った繊細な模様が刺繍されている。この刺繍はジェーンが刺したものだろう。そしてロバートからの贈り物は、異国情緒溢れる模様が描かれたポーチだった。
「お兄様、これは…」
コンパクトもハンカチーフもポーチもハンドバッグに収められるもので、皆が合わせて用意したのは間違いない。
思わず目を潤ませるアリシアにレオナルドは満足そうな顔を見せた。
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