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第2部 6章
69 おかえり
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アリシアの懐妊が公布されると国民は沸き立った。
王都で積極的に行われている孤児院や病院への慰問活動、医師の学校を設立したこと、医師不足に悩む村や町へ医師を派遣しようとする活動が支持されていたらしい。
それにレイヴンもアリシアも似合いの美男美女だ。国民たちは夢の中から出てきたような2人に、うっとりと憧れの眼差しを向けていた。
勿論その影にはギリギリと歯ぎしりする貴族令嬢の姿もあるわけだが……。
そんな話は国民たちの盛り上がりの中で埋もれてしまい、誰の耳にも入ることはなかった。
アリシアが王領へ移って早いもので三月が過ぎた。
今日アリシアは王都へ向けて王領を発つ。
王領での生活でアリシアはすっかり健康を取り戻していた。
食欲も落ち着き、体重は妊娠8ヶ月として標準的なものだ。お腹はすっかり大きくなっている。
アリシアはレオナルドの手を借り馬車に乗ると、座席に座ってお腹を撫でた。これからの旅路に興奮しているのか、よく蹴られているのだ。少し落ち着いて欲しい。
「すぐ傍におりますので、何かあれば必ずお知らせ下さい」
レオナルドの言葉にアリシアは頷いた。
ここまで来て何か起きては大事だ。性格上無理をしがちなアリシアだが、赤子の為にも我慢はしないと決めている。王都までの行程も、通常であれば4日の距離だが、5日掛けて進むことになっていた。
「それでは出発します」
レオナルドの声がして、馬車がゆっくりと動き出した。
今回レオナルドは馬車に同乗しない。兄としてではなく王太子の側近としてここへ来ている。
レオナルドに課せられた任務は王太子妃を無事に王都へ連れて帰ることだ。文官のレオナルドだが、王都から派遣された騎士たちは緊急時を除いてレオナルドの指示で動くことになっていた。
馬車が進むごとに沿道へ詰めかけた民衆から歓声が上がり、祝いの声が掛けられる。
今日王都へ戻ることは特に公布されていないが、王家の紋章がついた馬車を見てひとりでに集まってきたのだ。
アリシアは祝福の声に馬車の中から手を振って応えた。そうすると民たちは更に歓声を上げる。まるでパレードのようだ。
そんなお祭り騒ぎが王宮の門をくぐるまで続いた。
帰ってきた。
王宮の門が見えた時、アリシア自然とそう感じていた。
気付かない内にこの場所がアリシアの帰る場所になっていたのだ。
そしてここにはアリシアを待ってくれているレイヴンがいる。
「アリシアっ!!」
馬車が止まるとすぐにレイヴンの声が聞こえた。
馬車止まりの先頭で出迎えてくれている。
レイヴンは馭者が扉を開くのを待たずに自分で扉を開けた。
「レイヴン様……」
「おかえり、アリシア」
にっこり笑って手を差し出すレイヴンはまだ少し痩せていた。
アリシアが無事に戻ってくるか、ヤキモキしていたに違いない。馬車を降りるとそのまま抱き締められる。
「すっごく会いたかったよ、アリシア……」
「……ご心配を、お掛けしました……」
涙ぐんで抱き合う2人に声をかける者はいない。
誰もが苦難を乗り越えた2人をそっと見守っていた。
その後。
アリシアの腹越しに蹴られたレイヴンが驚いて飛び跳ね、集まった人々は一斉に笑い声を上げた。
もう2人きりではないのだ。
王都で積極的に行われている孤児院や病院への慰問活動、医師の学校を設立したこと、医師不足に悩む村や町へ医師を派遣しようとする活動が支持されていたらしい。
それにレイヴンもアリシアも似合いの美男美女だ。国民たちは夢の中から出てきたような2人に、うっとりと憧れの眼差しを向けていた。
勿論その影にはギリギリと歯ぎしりする貴族令嬢の姿もあるわけだが……。
そんな話は国民たちの盛り上がりの中で埋もれてしまい、誰の耳にも入ることはなかった。
アリシアが王領へ移って早いもので三月が過ぎた。
今日アリシアは王都へ向けて王領を発つ。
王領での生活でアリシアはすっかり健康を取り戻していた。
食欲も落ち着き、体重は妊娠8ヶ月として標準的なものだ。お腹はすっかり大きくなっている。
アリシアはレオナルドの手を借り馬車に乗ると、座席に座ってお腹を撫でた。これからの旅路に興奮しているのか、よく蹴られているのだ。少し落ち着いて欲しい。
「すぐ傍におりますので、何かあれば必ずお知らせ下さい」
レオナルドの言葉にアリシアは頷いた。
ここまで来て何か起きては大事だ。性格上無理をしがちなアリシアだが、赤子の為にも我慢はしないと決めている。王都までの行程も、通常であれば4日の距離だが、5日掛けて進むことになっていた。
「それでは出発します」
レオナルドの声がして、馬車がゆっくりと動き出した。
今回レオナルドは馬車に同乗しない。兄としてではなく王太子の側近としてここへ来ている。
レオナルドに課せられた任務は王太子妃を無事に王都へ連れて帰ることだ。文官のレオナルドだが、王都から派遣された騎士たちは緊急時を除いてレオナルドの指示で動くことになっていた。
馬車が進むごとに沿道へ詰めかけた民衆から歓声が上がり、祝いの声が掛けられる。
今日王都へ戻ることは特に公布されていないが、王家の紋章がついた馬車を見てひとりでに集まってきたのだ。
アリシアは祝福の声に馬車の中から手を振って応えた。そうすると民たちは更に歓声を上げる。まるでパレードのようだ。
そんなお祭り騒ぎが王宮の門をくぐるまで続いた。
帰ってきた。
王宮の門が見えた時、アリシア自然とそう感じていた。
気付かない内にこの場所がアリシアの帰る場所になっていたのだ。
そしてここにはアリシアを待ってくれているレイヴンがいる。
「アリシアっ!!」
馬車が止まるとすぐにレイヴンの声が聞こえた。
馬車止まりの先頭で出迎えてくれている。
レイヴンは馭者が扉を開くのを待たずに自分で扉を開けた。
「レイヴン様……」
「おかえり、アリシア」
にっこり笑って手を差し出すレイヴンはまだ少し痩せていた。
アリシアが無事に戻ってくるか、ヤキモキしていたに違いない。馬車を降りるとそのまま抱き締められる。
「すっごく会いたかったよ、アリシア……」
「……ご心配を、お掛けしました……」
涙ぐんで抱き合う2人に声をかける者はいない。
誰もが苦難を乗り越えた2人をそっと見守っていた。
その後。
アリシアの腹越しに蹴られたレイヴンが驚いて飛び跳ね、集まった人々は一斉に笑い声を上げた。
もう2人きりではないのだ。
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