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第2部 6章
88 王太子妃のドレス②
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2回目の結婚式は王宮内の教会で行う。
マルグリットの提案を話すとレイヴンはあっさり頷いた。レイヴンも大聖堂での結婚式やパレードを行うのは無理があると思っていたようだ。
そう決まると周りは一気に騒がしくなった。
結婚式の話を聞いたレオナルドは目を丸くして、アダムからは「愚かなことをなさるべきではありません」と苦言を呈された。
宰相としては前例がない上に資金も掛かる式を認めるわけにはいかないのだろう。
だけど式はレイヴンとアリシアの個人資産で行う。その上で国王と王妃が認めているのだから、アダムにはどうすることもできなかった。
結婚式は約半年後の初夏に決まった。
雨が少なく気候が良いというのもあるが、1度目の結婚式を同じ頃に挙げているのだ。
まったく同じ日というわけにはいかなかったが、記念日を祝う良いイベントになりそうである。
式が決まると話題になるのはやはりアリシアが着るドレスだ。
レイヴンはアリシアの好きなドレスを着て欲しいと言っていたが、アリシアが着たいのはやはり王太子妃のドレスである。
レイヴンが式典を取り仕切る式部職の女官長に交渉したが、使用許可は下りなかった。
それはそうだろう。
王太子妃を迎える為の重要なドレスである。お遊びの式で使って良いはずがない。
レイヴンもそれがわかっているので食い下がることはなかったが、それならアリシアのドレスはどうすれば良いのか困ってしまった。
その状況を打破したのもやはりマルグリットの一言である。
「新しく作ってしまえば良いじゃない」
そう言って優雅に紅茶を口に運ぶマルグリットをレイヴンとアリシアは困惑して見つめた。
アリシアのドレスを作る、のは初めから出ていた話だ。
だけどアリシアは新しいドレスではなく、王太子妃のドレスが着たい訳で――。
「だから同じドレスを作ってしまえば良いのよ」
「っ!!」
意味を理解したアリシアは絶句した。
マルグリットは王太子妃のドレスと同じものを新しく作れば良いと言っているのだ。
確かに同じデザインであっても使われる布を変えれば同じものにはならない。それに受け継がれてきた年月の分、本物のドレスは色味が変わっている。その重みを人工的に再現することはできないだろう。
同じデザインであっても別のもの。お遊び用のドレスだ。
「レイヴンが本来望んでいたのは、あのドレスをアリシアの好みに合わせて調整することでしょう?絶対に実現させるべきだと思うわ」
「……僕より母上の方が望んでおられたみたいですね」
レイヴンの指摘にマルグリットがにっこり笑う。
アリシアはここで思い出した。
義娘の好みを取り入れられるよう一緒に闘うのがマルグリットの夢だったのだ。
こうしてドレスの方針が決まった。
ウェディングドレス作りを任されたのは、王家お抱えのデザイナーだった。
マルグリットに気に入られてお抱えとなった女性だが、最近アリシアは私的なドレスを公爵家お抱えのデザイナーに依頼している。
このままでは近い将来立場を失ってしまうと危機感を抱いていた彼女は、アリシアに気に入られようと必死でドレスを作ってくれた。
出来上がったドレスは、本物のドレスに比べてレースの形が少し変えられていた。ベールもロングの金糸ベールだが、本物にはない細かな刺繍がされている。
王家の者や高位貴族には結婚式で本物を目にした者も多く、歴史書にも馴染みがあるが、低位貴族では結婚式に参列していても遠い席であまり見えていない者も多い。万が一盗み出して悪用しようという者がいた時の為に、一目で偽物とわかるよう考えられた措置だった。
だけどそれ以外のところはすべて本物を真似て作られている。
これを土台にしてアリシアの好きなように変えていくのだ。
マルグリットの提案を話すとレイヴンはあっさり頷いた。レイヴンも大聖堂での結婚式やパレードを行うのは無理があると思っていたようだ。
そう決まると周りは一気に騒がしくなった。
結婚式の話を聞いたレオナルドは目を丸くして、アダムからは「愚かなことをなさるべきではありません」と苦言を呈された。
宰相としては前例がない上に資金も掛かる式を認めるわけにはいかないのだろう。
だけど式はレイヴンとアリシアの個人資産で行う。その上で国王と王妃が認めているのだから、アダムにはどうすることもできなかった。
結婚式は約半年後の初夏に決まった。
雨が少なく気候が良いというのもあるが、1度目の結婚式を同じ頃に挙げているのだ。
まったく同じ日というわけにはいかなかったが、記念日を祝う良いイベントになりそうである。
式が決まると話題になるのはやはりアリシアが着るドレスだ。
レイヴンはアリシアの好きなドレスを着て欲しいと言っていたが、アリシアが着たいのはやはり王太子妃のドレスである。
レイヴンが式典を取り仕切る式部職の女官長に交渉したが、使用許可は下りなかった。
それはそうだろう。
王太子妃を迎える為の重要なドレスである。お遊びの式で使って良いはずがない。
レイヴンもそれがわかっているので食い下がることはなかったが、それならアリシアのドレスはどうすれば良いのか困ってしまった。
その状況を打破したのもやはりマルグリットの一言である。
「新しく作ってしまえば良いじゃない」
そう言って優雅に紅茶を口に運ぶマルグリットをレイヴンとアリシアは困惑して見つめた。
アリシアのドレスを作る、のは初めから出ていた話だ。
だけどアリシアは新しいドレスではなく、王太子妃のドレスが着たい訳で――。
「だから同じドレスを作ってしまえば良いのよ」
「っ!!」
意味を理解したアリシアは絶句した。
マルグリットは王太子妃のドレスと同じものを新しく作れば良いと言っているのだ。
確かに同じデザインであっても使われる布を変えれば同じものにはならない。それに受け継がれてきた年月の分、本物のドレスは色味が変わっている。その重みを人工的に再現することはできないだろう。
同じデザインであっても別のもの。お遊び用のドレスだ。
「レイヴンが本来望んでいたのは、あのドレスをアリシアの好みに合わせて調整することでしょう?絶対に実現させるべきだと思うわ」
「……僕より母上の方が望んでおられたみたいですね」
レイヴンの指摘にマルグリットがにっこり笑う。
アリシアはここで思い出した。
義娘の好みを取り入れられるよう一緒に闘うのがマルグリットの夢だったのだ。
こうしてドレスの方針が決まった。
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マルグリットに気に入られてお抱えとなった女性だが、最近アリシアは私的なドレスを公爵家お抱えのデザイナーに依頼している。
このままでは近い将来立場を失ってしまうと危機感を抱いていた彼女は、アリシアに気に入られようと必死でドレスを作ってくれた。
出来上がったドレスは、本物のドレスに比べてレースの形が少し変えられていた。ベールもロングの金糸ベールだが、本物にはない細かな刺繍がされている。
王家の者や高位貴族には結婚式で本物を目にした者も多く、歴史書にも馴染みがあるが、低位貴族では結婚式に参列していても遠い席であまり見えていない者も多い。万が一盗み出して悪用しようという者がいた時の為に、一目で偽物とわかるよう考えられた措置だった。
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