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2章 ~過去 カールとエリザベート~
2
エリザベートが回復してもカールの新しい婚約者探しは続いていた。
だけど婚約者候補に名乗り出る者は現れない。
カールとエリザベートが想い合っているのは誰もが知っているし、エリザベートは意識を取り戻してから順調に回復している。カールは時間が許す限りエリザベートの元を訪れ、献身的に療養生活を支えているようだ。
カールに婚約を解消するつもりがないのは明らかで、そこへ娘を無理に押し込んでも恨まれるだけで良い関係を築けるとは思えなかった。
元々正妃になれるのは侯爵家以上の令嬢と決められているので候補者が少ないのだ。
更に歳の近い令嬢は既に婚約者が決まっている。
カールとエリザベートに憧れた彼女たちは婚約者と良い関係を築いているし、その婚約を解消してまで憎まれ役を務めたい思うような令嬢はいない。
歳が離れた令嬢にしても、妃教育を思えば時間が取れるのは良いことかもしれないが、自分や家を憎む相手の為に辛い妃教育を耐えようとは思えなかった。
高位貴族の義務として、王家に命じられたら従う――。
誰もがそんな消極的な態度だったのだ。
それに王家が一番しなくてはならないのはカールの説得だった。
カール自身にエリザベートと婚約を解消するつもりがない。
エリザベートが意識を取り戻す前も後も、婚約解消について話そうとする両親を拒み続けていた。
だけどいつまでも逃げられない。
ある日国王夫妻―カールの両親―はカールを国王の執務室へ呼び出した。カールの弟の第三王子もいる。
ここへ呼び出したのは、家族として話すのではなく、国王と王妃として王太子と話す為だ。
体を壊したエリザベートは厳しい公務に耐えられない。
それに妃として最も重要な役目である子を生めないかもしれない。
エリザベートを大切にしてくれる相手を王家が責任をもって探す。
だからカールはエリザベートを諦め、別の令嬢と顔合わせをするように――。
王命を出すのではなくカールに受け入れさせようと、淡々と言い聞かせる国王夫妻にカールは激しく反発をした。
「わたしはエリザベートしか望みません!わたしの妻になるのはエリザベートだけです!彼女が王太子妃に相応しくないと言うのなら……、わたしは王太子の位を降ります」
「カール!」
「あなた、なんてことを!!」
「兄上!!」
3人が悲鳴のような声を上げる。
だけどカールに譲るつもりはなかった。
彼らは知らなかったが、カールはエリザベートから同じことを言われていたのだ。
「私ではきっとカール様のお役に立てません」と婚約解消を望み、もう公爵邸へ来ないよう告げるエリザベートにカールは泣きながら懇願をする。
「そんなことを言わないでくれ。愛しているんだ。リーザがいないと生きていけない」
カールはそう言ってエリザベートを抱き締める。
エリザベートも本心から別れたがっているわけではないので、抱き締められると抵抗できずに腕の中で泣き崩れた。
「愛しているリーザ。俺と結婚して欲しい。リーザの為なら王位を捨てても構わない」
「カール様!いけません!!」
エリザベートが王太子妃に相応しくないというなら王太子位を降りる。
カールはとうにその覚悟を決めていた。
だけどエリザベートは自分のせいでカールがこれまで努力してきたすべてを捨てるなんて耐えられない。
「俺はリーザと一緒になる為ならなんでもする。本気だよ」
カールはエリザベートを離すと跪いてその手を取った。
そっと口づけて視線を合わす。
「俺と結婚して欲しい。リーザしか考えられない」
エリザベートがカールと別れようとしているのは、自分ではカールの足を引っ張ってしまうと思うからだ。
もっと健康で、将来に何の憂いもない令嬢の方が相応しい。
だけどカールは、エリザベートが王太子妃に相応しくないからと婚約解消を望むのなら王太子位を捨てると言う。
王太子と王太子妃となるか、臣籍降下して公爵と公爵夫人となるか。どちらにしろカールと結ばれるなら、エリザベートが選べるのはひとつしかない。
「………っ」
言葉を発せられずコクコクと頷くエリザベートをカールは優しく抱き締める。
絶対に離さないとカールは心に誓っていた。
だけど婚約者候補に名乗り出る者は現れない。
カールとエリザベートが想い合っているのは誰もが知っているし、エリザベートは意識を取り戻してから順調に回復している。カールは時間が許す限りエリザベートの元を訪れ、献身的に療養生活を支えているようだ。
カールに婚約を解消するつもりがないのは明らかで、そこへ娘を無理に押し込んでも恨まれるだけで良い関係を築けるとは思えなかった。
元々正妃になれるのは侯爵家以上の令嬢と決められているので候補者が少ないのだ。
更に歳の近い令嬢は既に婚約者が決まっている。
カールとエリザベートに憧れた彼女たちは婚約者と良い関係を築いているし、その婚約を解消してまで憎まれ役を務めたい思うような令嬢はいない。
歳が離れた令嬢にしても、妃教育を思えば時間が取れるのは良いことかもしれないが、自分や家を憎む相手の為に辛い妃教育を耐えようとは思えなかった。
高位貴族の義務として、王家に命じられたら従う――。
誰もがそんな消極的な態度だったのだ。
それに王家が一番しなくてはならないのはカールの説得だった。
カール自身にエリザベートと婚約を解消するつもりがない。
エリザベートが意識を取り戻す前も後も、婚約解消について話そうとする両親を拒み続けていた。
だけどいつまでも逃げられない。
ある日国王夫妻―カールの両親―はカールを国王の執務室へ呼び出した。カールの弟の第三王子もいる。
ここへ呼び出したのは、家族として話すのではなく、国王と王妃として王太子と話す為だ。
体を壊したエリザベートは厳しい公務に耐えられない。
それに妃として最も重要な役目である子を生めないかもしれない。
エリザベートを大切にしてくれる相手を王家が責任をもって探す。
だからカールはエリザベートを諦め、別の令嬢と顔合わせをするように――。
王命を出すのではなくカールに受け入れさせようと、淡々と言い聞かせる国王夫妻にカールは激しく反発をした。
「わたしはエリザベートしか望みません!わたしの妻になるのはエリザベートだけです!彼女が王太子妃に相応しくないと言うのなら……、わたしは王太子の位を降ります」
「カール!」
「あなた、なんてことを!!」
「兄上!!」
3人が悲鳴のような声を上げる。
だけどカールに譲るつもりはなかった。
彼らは知らなかったが、カールはエリザベートから同じことを言われていたのだ。
「私ではきっとカール様のお役に立てません」と婚約解消を望み、もう公爵邸へ来ないよう告げるエリザベートにカールは泣きながら懇願をする。
「そんなことを言わないでくれ。愛しているんだ。リーザがいないと生きていけない」
カールはそう言ってエリザベートを抱き締める。
エリザベートも本心から別れたがっているわけではないので、抱き締められると抵抗できずに腕の中で泣き崩れた。
「愛しているリーザ。俺と結婚して欲しい。リーザの為なら王位を捨てても構わない」
「カール様!いけません!!」
エリザベートが王太子妃に相応しくないというなら王太子位を降りる。
カールはとうにその覚悟を決めていた。
だけどエリザベートは自分のせいでカールがこれまで努力してきたすべてを捨てるなんて耐えられない。
「俺はリーザと一緒になる為ならなんでもする。本気だよ」
カールはエリザベートを離すと跪いてその手を取った。
そっと口づけて視線を合わす。
「俺と結婚して欲しい。リーザしか考えられない」
エリザベートがカールと別れようとしているのは、自分ではカールの足を引っ張ってしまうと思うからだ。
もっと健康で、将来に何の憂いもない令嬢の方が相応しい。
だけどカールは、エリザベートが王太子妃に相応しくないからと婚約解消を望むのなら王太子位を捨てると言う。
王太子と王太子妃となるか、臣籍降下して公爵と公爵夫人となるか。どちらにしろカールと結ばれるなら、エリザベートが選べるのはひとつしかない。
「………っ」
言葉を発せられずコクコクと頷くエリザベートをカールは優しく抱き締める。
絶対に離さないとカールは心に誓っていた。
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