病弱な姉は、何でも許されると勘違いしている。だから、あえて婚約者を譲ってやった。が、姉は知らない。彼は「病弱な幼馴染」を最優先することを

ぽんた

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5.

「だけど、フェアバーンズ公爵家の長男ってたしか幼馴染の……」
「おいっ、やめないか!」

 パートナーが言いかけたところに、ライオネル男爵家子息が鋭く注意した。

 わたしが壁の花になっていることに気がついたのだ。

 男爵家子息とそのパートナー。それから、姉のことを散々言っていた人たちが、気まずそうにわたしに会釈してきた。

 気を遣わせてしまった。だから、愛想よく満面の笑みで会釈を返しておいた。

「みなさん」

 そのタイミングでフェアバーンズ公爵家子息たちがやって来た。つまり、アレックスとクリスである。

「よくお越しくださいました」

 クリスは、友好的かつやわらかい笑みでもって招待客たちに愛想を振りまいている。そのうしろで、アレックスはどこか落ち着かないようだ。しきりに時間を気にしている。

「ご招待いただきありがとうございます。それから、おめでとうございます」
「おめでとうございます」

 ついさきほどまで姉をこき下ろしていた人たちは、途端に兄弟二人をチヤホヤし始めた。

 その中心にいるクリスと目が合った。

 彼は、そうとわからぬよう目玉をグルリとまわした。

「あーっ、いたわ」

 病弱なレディとはかけ離れた金切り声とともに、招待客たちをかきわけ姉が突進してきた。そのうしろから、両親と兄もついてきている。

「アレックス様、ご招待ありがとうございます。それから、この度はおめでとうございます。婚約者として鼻が高いですわ。もちろんわたしはアレックス様にふさわしいレディとして、今後もふるまうつもりです」

 姉は、周囲の人をぶっ飛ばす勢いでアレックスに近づいた。それから、あからさまに媚びを売った。

「きみは? たしかランの姉だったよね?」

 アレックスは、その姉の勢いにさすがに意識がこの場に戻ってきたらしい。彼は、驚いたように尋ねた。

「きみがわたしの婚約者っていったい……」
「ちょっとどういうことよ? あなた、ちゃんと伝えたの?」

 姉がすごい剣幕で尋ねた相手は、もちろんわたしだ。

「伝わっているはずです。なにせ会えませんので、伝言をお願いしました」
「そういえば、聞いたような気がするな。興味がないからすっかり忘れていたよ。っていうか、抜け落ちていた」
「興味がないですって? わたしは、あなたの婚約者ですよ? 妻になるのですよ? それなのに、興味がないって……」
「彼女、おまえの婚約者じゃないのか?」

 アレックスは姉のクレームをスルーし、弟であるクリスに尋ねた。

「兄上、わたしはとっくの昔に彼女に婚約破棄されました。でっ、彼女は兄上の婚約者になったわけです」
「面倒だな」

 アレックスは、ひと言で感想を述べた。

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