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アンディとアリスを除く全員が頭を垂れる中、国王と王妃が大広間に現れた。ふたりは、大広間内の高座に設えられた玉座に着席した。
国王から許されて頭を上げると、高座のすぐ下にはバッキンガム大公夫妻とわたしの両親であるアルバーン公爵夫妻。それから、青年貴族が控えているのが見えた。
「なにか揉め事かな?」
国王が尋ねた相手は、王女である。
王女はたったいままで起こっていたことを、つぶさに語った。
その内容に眉をひそめたのは、バッキンガム大公夫妻と青年貴族だ。
「ブレナン伯爵夫妻っ!」
王女の説明が終ると、国王が鋭く呼んだ。
「は、はい」
人々の間からよろめき出てきたのは、ブレナン伯爵とその後妻だ。
伯爵は、亡くなった前妻がまだ生きている頃からその後妻と関係があった。アリスは、その後妻との子どもなのだ。
「みなまで申す必要はなかろう? おまえの娘は、今回のことだけでなくいろいろ問題を起こしている。いや。娘だけではない。おまえ自身もだし、おまえの後妻もだ。よって、三人とも追放を命じる。ブレナン伯爵の爵位と家名は、長女に継がせる」
亡くなった前妻との子どもである長女は、よくある後妻と義妹にいびり虐めいびられまくっていたのだ。
「そ、そんな……。アリス、おまえのせいだぞ」
「ど、どういうことかわからないわ。お父様だって、アンディをひっかけろっていったじゃない。いいえ。アンディだけじゃない。裕福な貴族子息をモノにしろってけしかけたわ」
途端に親子で口論が始まった。
「アンディ。おまえも同様だ。クズは、どこまでいってもいつまで経ってもクズだ。今宵も、どうせどこかのレディとすごしていて遅刻したのだろう? よって、わが娘との婚約は破棄。この王国から追放する。なお、バッキンガム大公家は次男のアンティが継ぐこととする」
「嘘だっ! どうしておれが……」
「あたりまえよ。遅すぎるくらいだわ」
狼狽えるアンディに王女が冷たく言った。
「レディ遊びだけでも許せないのに、大公家子息の立場を笠に着てやりたい放題。わたしのことが気に入らないとはいえ、度が過ぎたのよ」
「いや、待ってくれ。わかった。これからはちゃんとする」
「もう遅すぎるのよ、クズ野郎」
王女が鼻を鳴らすと、大広間内から拍手が起こった。
「それから、寝取り屋さん」
王女は、まだ親子で口論しているアリスの方を向いた。
「あなたがいくら生まれながらの貴族ではないとはいえ、自分の国の王女の顔や名前くらいわかってなきゃね。それから、寝取った相手のことも。アンディは、わたしの婚約者だったの。シノの婚約者じゃない。シノの婚約者は……」
「わたしだ」
バッキンガム大公夫妻といっしょにいる青年貴族が近づいてきた。
アンディとまったく同じ顔の青年貴族だ。
国王から許されて頭を上げると、高座のすぐ下にはバッキンガム大公夫妻とわたしの両親であるアルバーン公爵夫妻。それから、青年貴族が控えているのが見えた。
「なにか揉め事かな?」
国王が尋ねた相手は、王女である。
王女はたったいままで起こっていたことを、つぶさに語った。
その内容に眉をひそめたのは、バッキンガム大公夫妻と青年貴族だ。
「ブレナン伯爵夫妻っ!」
王女の説明が終ると、国王が鋭く呼んだ。
「は、はい」
人々の間からよろめき出てきたのは、ブレナン伯爵とその後妻だ。
伯爵は、亡くなった前妻がまだ生きている頃からその後妻と関係があった。アリスは、その後妻との子どもなのだ。
「みなまで申す必要はなかろう? おまえの娘は、今回のことだけでなくいろいろ問題を起こしている。いや。娘だけではない。おまえ自身もだし、おまえの後妻もだ。よって、三人とも追放を命じる。ブレナン伯爵の爵位と家名は、長女に継がせる」
亡くなった前妻との子どもである長女は、よくある後妻と義妹にいびり虐めいびられまくっていたのだ。
「そ、そんな……。アリス、おまえのせいだぞ」
「ど、どういうことかわからないわ。お父様だって、アンディをひっかけろっていったじゃない。いいえ。アンディだけじゃない。裕福な貴族子息をモノにしろってけしかけたわ」
途端に親子で口論が始まった。
「アンディ。おまえも同様だ。クズは、どこまでいってもいつまで経ってもクズだ。今宵も、どうせどこかのレディとすごしていて遅刻したのだろう? よって、わが娘との婚約は破棄。この王国から追放する。なお、バッキンガム大公家は次男のアンティが継ぐこととする」
「嘘だっ! どうしておれが……」
「あたりまえよ。遅すぎるくらいだわ」
狼狽えるアンディに王女が冷たく言った。
「レディ遊びだけでも許せないのに、大公家子息の立場を笠に着てやりたい放題。わたしのことが気に入らないとはいえ、度が過ぎたのよ」
「いや、待ってくれ。わかった。これからはちゃんとする」
「もう遅すぎるのよ、クズ野郎」
王女が鼻を鳴らすと、大広間内から拍手が起こった。
「それから、寝取り屋さん」
王女は、まだ親子で口論しているアリスの方を向いた。
「あなたがいくら生まれながらの貴族ではないとはいえ、自分の国の王女の顔や名前くらいわかってなきゃね。それから、寝取った相手のことも。アンディは、わたしの婚約者だったの。シノの婚約者じゃない。シノの婚約者は……」
「わたしだ」
バッキンガム大公夫妻といっしょにいる青年貴族が近づいてきた。
アンディとまったく同じ顔の青年貴族だ。
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