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21.推しの家にお泊りします。2
しおりを挟むお風呂から上がると、さっき俺がしたようにリンさんが待っていた。
「乾かしてあげます。」
「ありがとうございます!」
髪乾かしてくれるなんて、嬉しいな。ソファに座ってリンさんにされるがままになる。
俺のイメージとは違ってなかなか豪快な乾かし方だった。ワシャワシャと頭を掻き回されながら乾かされる。
それはまあ、痛い訳でもなかったし良かったのだけれど、俺の髪質的にぐちゃぐちゃの仕上がりになった。クシをあてながら丁寧にやらないときれいに仕上がらないのだ。
「……リンさん…」
「本当に申し訳ない…ふっ…自分で乾かす時もこんな感じで…くふっ…」
リンさんはそんな爆発したような俺の頭を見て、申し訳ないと謝りつつも笑いが堪えられないようだった。にこにこして可愛いけどさ!
「もー笑うなら笑ってください!」
「ん…あははっ本当に悪いと思ってるんだ…だけど面白…くて…ふふふっ」
「もー、良いですけど…」
「本当にごめんね」
「許しても良いですけど、代わりにリンさんの恥ずかしいところも見せてください!」
「俺の髪ボサボサにする?」
「いいえ!リンさんの女装で!」
「ええ!?うぅ…わかったよ今回は完全に俺が悪いからね。今度見せるよ」
「写真じゃ駄目です!生でみたいです!」
「うん、わかったよ」
よっしゃ!握手会の時のリンさん可愛かったもんね。もう一回見たかったし。
でもボサボサのかっこ悪いとこは見せたくなかったなー。でも見せたことで逆に仲良くなれた気がする。
ずっとあった壁がなくなったっていうか…そんな感じだ。
_______________
不本意ながら、推しに女装姿を再度お披露目することになってしまった。
俺のドライヤーが雑すぎてボサボサになってしまった藍月くんの頭。うん…俺が悪いね。
見るたびに笑えてしまうかもしれない。あまりに俺が笑ったから、藍月くんは自分で髪を直しに行った。
しばし、待っているといつもの格好いい藍月くんが戻ってくる。一体どうしたら、あの短時間であれが直るんだろう…。
まだ寝るには早い時間なので、テレビを見ながら話をする。
「そういえば話してなかったですけど、ライブ配信のメッセージ届きました?」
「…あ、えと、見てたよ」
「そうですか!どうでしたか?」
「…嬉しかった、です」
「はい!俺も嬉しいです!」
えへへと笑う藍月くんは、なぜだか幸せそうに見えた。
隣で座ってこうして直接話すことが出来ている、ファンの俺もとても幸せだけど…けれど、たまに不安にもなる。ファンとアイドルの関係としては間違ったものであると、自覚している。たとえ藍月くんが望んでくれても、それでもだ。
ライブ配信の話を一頻りして、その後も、こんなお仕事したから楽しみにしてて、とか、面白かった映画の話とかいろいろなことを話してくれた。
夜も更けて来て、そろそろ寝るか、ということになった。そこでベッドの譲り合いが始まった。
「リンさん!俺のベッド使ってください!」
「いや、俺は小さいしソファで大丈夫だよ」
「でも…俺がもてなしたいんです!だから、ベッド使ってください!」
「…藍月くんは忙しいし、疲れてると思う。きちんとした所で寝たほうがいいよ。」
「リンさんもこの間疲れてました、二人でベッド使って寝ますか?ダブルだし、いけなくはないと思います」
「やっぱり俺がソファで…」
「なら、俺は床で寝ます」
「…わかったよ…二人でベッドを使おう」
「やった!じゃあ行きましょう」
お洒落な間接照明のベッドルームには、藍月くんの言うように大きめのベッドが鎮座していた。
藍月くんが先にベッドに入って、おいでおいでするので、それに従って俺もベッドに上がる。うわ!ふかふかだ。思ったよりも柔らかめのベッドだった。
「おやすみなさい、リンさん」
「おやすみ、藍月くん」
それ以降は話すこともなくお互い目を瞑った。…寝れる気がしない。身体が触れる訳ではないけど、それでも、すぐそこにいるのだと分かるくらいには近い。
なかなか寝付けなかったけれど、そこそこ疲れが残っていたのだろう、一時間ほど経てば眠りに落ちていた。
_______________
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