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53.引っ越そうと言われました。
しおりを挟むプルル…____
プルルルル_____
意識の外で鳴る音が聞こえる。うーん…なに?うっすら目を開ければ、鳴っているのはスマホのようだった。取りに行こうと起きようとして、起き上がれないことに気づく。
見下ろした身体に巻き付く腕…藍月くん…
力はそんなに入っていないようで、持ち上げて布団を出る。スマホの表示を見ると、彼方からの電話のようだった。
「…もしもし…」
「はよ、どうだった?会ったんだろ?アイドルくんと」
「会ったよ…昨日ホントにびっくりしたんだぞ。」
「俺もビックリさせられたんだ、お互い様だろ?」
彼方がビックリさせられたってなんだ?っていうか今更だけど、彼方って藍月くんと知り合いなのか?
「…は?なんのことだよ。」
「まぁまた今度話す。んで?上手くいったのか?」
「あー…まぁたぶん?」
昨日、彼方じゃなくて藍月くんが来て、告白されて…それでアイドル辞めるとか言うから、俺も好きだって言った。会わないという決意も粉々である。
「曖昧だな…告られたんだろ?なんて応えたんだよ。」
「んー…俺も好きだよって言ったと思う。でも付き合うとかは言われてないからさ?」
「そんなんもう付き合ってんだろ」
「そーいうもん?俺付き合うとかしてこなかったし、分かんないんだよ。」
「まぁ…うまく行ったならいい…」
「ああ、うん。なんかありがとな。」
「ん、じゃあな。」
「ん、また」
思いの外心配してくれていたらしい彼方との通話を終える。振り返ると藍月くんが起きていて、ジッとこっちを見ていた。
「藍月くん、おはよう」
「リンさんおはよ!…誰と電話してたの?」
「ああ、彼方だよ」
「あー…協力してくれた人!」
「うん、そうだよ」
「俺もお礼言わなきゃ!あとで連絡しとこー」
「藍月くん、そういえば今日は予定は?」
「んー…仕事ある。」
「そっかじゃあ急がないとね。」
「ううん、大丈夫だよ。夕方からだから。それより、リンさんこっち来て」
「え?うん」
藍月くんに抱きしめられる。首筋に顔を埋めるようにしているから、髪が当たって少しくすぐったい。
「リンさんだー…ねぇ、リンさん俺達付き合ってるよね?側にいてくれるって言ったよね?」
「…うん…そうだね。付き合ってる。」
「じゃあお引越しいつにする?」
ん?……引越し?
なんのことだろう…?
「どういうこと?」
「んー?だって別々に住んでたらリンさん逃げちゃうんだもん」
「もう、逃げないよ。」
「駄目だよ、一回逃げてるから信じられない。」
「でも…引越しは…」
「俺が費用持つしお願い、リンさん」
首を傾げて、上目遣いにおねだりしてくる藍月くん。破壊力半端ない…。うん…好き…
はっ!危ない!溢れ出る魅力に頷いてしまうところだった…。
「駄目だ」
「意地悪…側にいてくれるって嘘だったんだ。」
「う、嘘じゃ…」
「一緒に住んでくれないのに?」
「むぅ…でも…俺の方が年上だし…」
「気にしないで?俺は働いてるんだし。」
「わかった…俺の貯金が貯まったら引越すよ。」
「やだやだ!そんなのずっと先でしょ?」
「バ、バイト頑張るから…」
「駄目!そうしたらまた俺との時間減るでしょう?」
「うぅ…」
「今すぐ引っ越そう?ねぇリンさんお願い…」
………
結論だけ言えば俺は藍月くんに押し負けた。
藍月くんの家に転がり込むことに決まってしまった。…お金とかないし…とりあえず家事頑張ろ…。
_______________
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