不良×平凡 オメガバース

おーか

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部屋はワンルームのようになっていて、キッチンもシャワーもあるし。すげえ。でもなんでこんな部屋があんだろ?

「秋夜さん、この部屋はなんのためにあるんですか?」

「俺のサボり用。香夜ならいつでも歓迎するから、いつでもおいで」

「そうなんですね。疲れたら来ようかな」

「ん、おいで。っていうか香夜疲れちゃった?」

「…実は少し…」

「そっか…じゃあ昼ごはんは俺が作る」

「いいんですか?」

「うん、休んでな」

「ありがとうございます!それに秋夜さんのご飯食べれるの嬉しいです!」

「ふふっ昨日も食べたでしょ」

「だってすごく美味しかったから!」

「ありがと」

食材も何故かきっちり準備されていたので、秋夜さんにご飯を任せて、少しソファで休ませてもらうことにした。慣れないことするのって疲れるよな。あ、このソファも秋夜さんの匂いする。 

クッションを抱きしめて、落ち着く。ふわぁ…。

俺が休んでいる間に手早く料理を終えた秋夜さんと、一緒にご飯を食べて、食休みを少ししてから、保健室に向かう。

「秋夜さん、保健室、咲人さんたちもいるらしいです」

「ああ、よく入り浸ってるからね」

「三野瀬さんと仲良いですよね」

「ん、そうだね」

「鳴海も保健室に行くって言ってました。」

「ふーん…アイツは来ないと思うけど。」

「?」

「まぁ、気にしないでいいよ」

「はい」

アイツって誰だろ?まぁ気にしても仕方ないか。秋夜さんも気にしないでって言うし。保健室に向かっていたんだけど、その途中で秋夜さんの様子がおかしくなった。なんだか体調が悪そうだ。

「はぁ…はっ…」

「秋夜さん?」

「ごめ…はぁ…さっきの部屋に戻る」

「あ、はい!」

さっきの部屋に戻るというので、秋夜さんに肩を貸して移動する。あんまり体重をかけられていないけど。廊下の途中で、後ろから追ってくる同じクラスのさっき睨んできた奴がいた。

「あ…待って!…僕の…匂い…いいでしょ?」

「……うぇ…はっ…」

「秋夜さん…急ぎますから」 

「ん…ありがと…」

「佐久間様!僕で気持ちよくなって…?…抱いて!!さぁ!その不細工なΩじゃなくて僕を…」

なんか顔も赤いし…これって発情期だよね。
でもこの人よりも今は秋夜さんを連れて行かないと。秋夜さんも嫌がってるように見えるし。体調悪そうだし。なんか悪口言われてるし。

これってフェロモンテロ…なのかな。なんでこんなこと。いや、秋夜さんのこと好きみたいだったからか。とりあえず秋夜さんを助けないと。

秋夜さんの部屋の鍵は、秋夜さんが自分で取り出して開けてくれた。あの人は秋夜さんを狙ってるみたいだったし、部屋に入ったらドアを閉めてしっかりと鍵をかけた。

ソファまで連れていくと、水でも持ってこようと側を離れようとした。が、秋夜さんに引き止められて抱き締められた。

「はぁ…はっ…もう…気持ち悪かった…吐くかと思った…」

「秋夜さん大丈夫ですか?」

「ん、香夜の匂い嗅いだらちょっと落ち着いた。…はぁ…最悪。」

「一応、三野瀬さんに連絡しましょうか」 

「ん、俺のスマホ使って連絡してくれる?」

「あ、はい」

「離れないで…」

「はい」

秋夜さんのスマホを肩越しに操作して三野瀬さんに電話をかける。

「もしもし、佐久間、どうした?」

「いえ、あの如月です。あの今秋夜さんといるんですけど、Ωの発情フェロモンに当てられたみたいで、部屋に戻ってきたんです」

「それはどこだ?」

「ええと、最上階の秋夜さんの部屋です」

「発情期のΩは知り合いか?」

「同じクラスの人でした。さっき睨まれたばっかりで…鳴海ならわかると思います。そこにいませんか?」

「ああ、いる。聞いておこう。それで、佐久間は大丈夫か?」

「体調は悪そうですけど…大丈夫みたいです」

「そうか、とりあえず、そのΩを確保しに向かう。部屋を出ないように頼む」

「わかりました。」

ずっと俺の首筋に顔をうずめたままの秋夜さんを落ち着かせるように背中をさする。吐き気もあったみたいだし。体調良くなるまで、擦っててあげよう。

「んー…ありがと…香夜」

「はい…」

「はぁ…疲れた…」






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