48 / 137
47
しおりを挟む暗い館内を二人で手を繋いで回っていく。ゆらゆらと揺らめく水面がライトに照らされて、水槽の中を美しくきらめかせる。悠々と泳ぐ魚達は色とりどりで美しい。ゆっくりとそんな水槽を見て回った。
「秋夜さん、このエビ可愛いですね!」
「ん?どれ?」
「このちっちゃいエビです!色も青ですよ!」
「ん、確かにかわいいね」
「はっ!」
小さな水槽をのぞきこんでいて、俺が指差した先を見ようと秋夜さんがさらに近づいてのぞき込んだ。気づいた時には至近距離で見つめ合っていた…。
「ん?」
「あ…すみません…顔近いから…その…」
「ふふっ照れてんの?可愛いね」
「うぅ…もうすぐそういうこと言って…勘違いしたらどうするんですか!」
「んー?勘違い?」
「俺が自分が可愛いなんて思い込んだらどうするんですか!」
「いいんじゃない?実際俺にとっては可愛いんだし」
「むぅ……」
「むくれてんのも可愛いよ」
もう何をしても可愛いとしか言われない気がする…。可愛いとか…言われなれないし、そもそも俺可愛くないんだけどなぁ。βだと思ってたし、俺も男だ。格好いいのほうが嬉しいと…思ってたのになぁ。
可愛いって言われてこんなに嬉しく感じる日が来るなんて思わなかった。ああ…やば!顔がニヤついちゃう。少し秋夜さんの前を歩いて、見られないようにした。
「香夜…そんなに急いでどうしたの?もうショーの時間だっけ?」
「え…あ…違います!ちょっとお腹減っただけです!」
咄嗟に出た言い訳がお腹減ったって俺食いしん坊みたいじゃん…恥ずかしい…
「お腹空いたの?じゃあ弁当食べよう。」
「お弁当?」
「そう、朝作っておいたから。」
「あ!その荷物!お弁当だったんですね!」
「ん、そうだよ。俺、他人が作ったもの食べれないから持ってきた。」
「そうなんですか?」
「そうだよ。」
「でも俺のご飯普通に食べてましたよね?」
「まぁね。香夜は俺の特別だから。」
「ふふっ秋夜さんの特別ですか」
「そうだよ。」
何か荷物持ってるなぁとは思ってたけど、まさかお弁当作ってくれてたなんて!最近良く秋夜さんにご飯作ってもらってる気がする。俺が好きだって言ったから作ってくれてるのかな。嬉しいな。
というか、確かに秋夜さん人が作ったもの食べないよなぁ。でも初対面で俺にご飯作って食べさせてって言われたの覚えてる。最初から俺のこと、特別だと思っててくれたってこと?
「なに?にこにこして…そんなに嬉しそうにされると…俺も嬉しい」
「えへへ!秋夜さん…早く食べましょ!楽しみです!」
「ん、香夜の好きなもの入れたから」
「やった!」
秋夜さんとご飯を食べて、その後はショーも堪能して充実した休日にすることができた。楽しかったなぁ!!
ちなみにお揃いでイルカのストラップを買ってくれた。家に帰って、早速鞄につけておいた。秋夜さんもつけてくれたみたい。
「おそろい、いいですね!」
「そうだね。ふふっ初めてだけど嬉しいものだね」
「はい!俺も嬉しいです!」
40
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる