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しおりを挟むあれから、何事もない平穏な日々が続き、たまに暑いと感じる日が混じりはじめた5月のはじめ。待ちに待ったゴールデンウィークがやってきていた。楽しい旅行の予定だが、それと同時に、来なければいいとも思っていた。
秋夜さんに触れられるのは嬉しい…しかし発情期でもない今、秋夜さんを誘惑して興奮させられる自信が微塵もない。発情期だったらフェロモンが出て勝手にやってくれるのに…。
秋夜さんに隠れて色々調べたり、恥を忍んで茜くんや鳴海、咲人さんに聞いてみたものの、キスしてやれだの、相手に任せておけばいいだのと言われ全くもって参考にならなかった。まぁあの三人は何もしなくても魅力的だからこそ、だろうな。
それに比べて俺は…平凡な顔に貧相な体。経験がなくて、積極的にも行けない。…結論…俺では勃たないのでは?ということだ。
「香夜、そろそろ出るよ」
「あ!はい!」
準備をした荷物を持って、部屋を出る。そしてさり気なく秋夜さんに荷物を奪われる。色々…主に夜のことで頭が一杯でぼーっとしていて秋夜さんに荷物を持たせてしまっていることにも全然気づいていなかった。申し訳ない…。
「香夜、最近良く考え事してるみたいだけど、何か困ってることがあるなら相談乗るから」
「はい…でも大丈夫です!」
流石に夜のことで悩んでますなんて…秋夜さんにだけは言えない…。
「そう?まぁ…言いたくないことなら仕方ないね」
「すみません…」
「ん、いいよ。許してあげる。代わりに旅行中は出歩いたりするとき手繋ごうね」
「えっと…はい…」
「ん、ありがと。デート楽しみだね」
「楽しみ、ですね」
「いい思い出にしようね」
「はい!」
秋夜さん楽しそうだな。というか、楽しくしてくれてるんだ。俺も夜のことは一旦忘れて、秋夜さんとのデートを純粋に楽しもう!そうじゃないとせっかくの一日が勿体無いもんね!寮を出て、秋夜さんが手配してくれた車に乗り込むと、運転手さんが車を目的地まで走らせてくれる。
「浴衣とかも良いですね!」
「だね、香夜浴衣似合いそうだよね」
「そうですか?俺は秋夜さんが浴衣着てくれたら絶対格好いいと思います!」
「ふふっありがと。」
「ついたら取り敢えず、温泉入りましょ!それから部屋でゆっくりしたりお土産買いに行ったり!」
「そうだね」
車中でも色々なことを話しながら、今日泊まる宿に到着した。見た目は純和風の造りで、とても豪華で綺麗なところだ。今日泊まるのは旅館なので、着物を着た従業員の方が出迎えてくれた。
「ようこそいらっしゃいました」
「予約している佐久間です」
「佐久間様、2名様ですね。承っております。お荷物お運びさせていただきます。」
「荷物は自分たちで運ぶので」
「畏まりました。それではお部屋ご案内させて頂きます。」
「はい」
対応は秋夜さんがしてくれて、案内に従ってついていくと、離れのようになっている部屋についた。少々距離が取ってあるので、音なども気にせず楽しめるようだ。宿選びは一応一緒にしたけどここまで豪華なところだったとは…。
でも秋夜さんは平然としている。高いところも慣れてるんだな。住む世界が違うというかなんというか。普段一緒に暮らしているだけでは気づけない部分だったな。
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