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もう夏休み直前だ。夏休みには帰省することになっているから、秋夜とも離れることになる。とはいえ、番と離れるのはストレスになる。というわけで、秋夜と相談しないといけない。まあその前に試験があるから、それどころじゃないんだけど…。
俺…休み過ぎてるから全然わかんない…。卒業できるか不安になってきた。そういうわけでゆっくりしている訳にもいかなくなった。これから鳴海と勉強する約束をしている。抑えるべきポイントも教えてくれるらしいので、しっかり勉強しないとね!
「秋夜、行ってきます!」
「ん?どこに?」
「えっと鳴海のとこ行ってテスト勉強してくる!」
「…聞いてないけど?」
そこはかとない圧を感じる。これは…やらかしたかぁ?秋夜…怒らせちゃったかな…。
「あっとぉ…その…今日約束したから…?」
「ふぅん…テスト勉強なら俺が教えてあげるのに。俺より鳴海?ふぅん?」
ま、まずい…この流れは…取り敢えず…さっさと行くに限る!
「そ、そういうわけでは…と、取り敢えず行ってきます!」
「あ…香夜…送るから」
「いいの?」
「ん、仕方ないからね…でも、帰ったら話し合おうね?」
「は、はぁい…」
勢いで部屋を出ようとして、秋夜に止められた。怒ってはいても送ってくれるらしい。優しいよね、本当に。けれど、帰ったらどうなるんだろうなぁ…俺。話し合い…。お手柔らかにお願いしたい。
鳴海たちの部屋に入るのを見てから、秋夜は帰っていった。また帰りも来てくれるってさ。
「かぐちゃんいらっしゃい!」
「うん、お邪魔します。ところで鳴海、神谷さんは?」
「凰ちゃん?凰ちゃんはまだ帰ってこないよ。今日はGRACEの会議って言ってたから」
「あの…秋夜、普通に家にいるんだけど?」
「ああ、副総長の癖してGRACEの会議なんて1回も出たことないと思うよ?だから今更だよ」
「へぇ…それでいいのかな?」
「まぁ…Sクラスってことで特別扱いはされてると思うよ?だから誰にも縛られないし、許されてる。アレでも凰ちゃんやサクちゃんの言うことは聞いてる方だよ!だから、かぐちゃんに尽くしてるのは、本当に本当に凄いんだからね!」
「そう…なんだ。あんまり自覚が無いんだよね。」
「まぁ最初からあんなだもんね。そりゃそうか。」
「うん…って話すぎちゃった。勉強しに来たんだった!」
「そうだね、頑張ろう!」
オメガ用の授業は、実技と筆記試験があって、今回は薄茶の点前と生け花、フランス料理、ダンスの実技だ。筆記はマナーなどの内容で、これについては自分でそれなりに勉強できた。今回鳴海に見てもらうのは実技の方だ。これは、自分で出来ていない点が自覚しにくいし、正解もよくわからないので、鳴海に見本をやってもらって勉強するのだ。
「料理はいいとして…問題はダンスと生け花だね!」
「うん…」
「かぐちゃん、センスないからなぁ…」
「うっ…自覚はあるけど…そうハッキリ言わなくても…」
「だよねぇ、取り敢えずやってみよ!」
「はぁい…」
出来上がった生け花の出来栄えは…
「かぐちゃん…なんでこんなことになるの?いっぱい花を刺せばいいってわけじゃないんだよ!?空間を形作らないと!幼稚園児が適当に作ったみたいな…」
との評価をいただきました…。まぁ…俺もそう思う。やってるときはいい感じ!って思ってたんだけど。うむ、コレは無いわ。
「ご、ごめん…」
「そうだなぁ…かぐちゃんは花があればあるだけ使っちゃうみたいだから、本数制限してやってみよっか!」
「うん!やってみる!」
________
______
「出来た!」
「うん……そう、だね。さっきよりはマシ。試験のときは本数制限してやろうね!」
「うん、それで…受かるかな?」
「…多分…?」
「…そ、そっか…。」
まぁ…一応解決策が見つかったということで…最近は華道の先生も諦め気味で指導もあんまりしてくれなくなったし。多分受かるよな…。
時間も時間だし、ダンスは秋夜に教えてもらうかな。ただ…不安なのが、秋夜ってとことん俺に甘いから…駄目でも褒められそうなんだよね。でも練習やらないよりも良くはなるよね!
「じゃあ秋夜が迎えに来たら帰るね。今日はありがと鳴海」
「どういたしまして!お礼は…そうだなぁ…そうだ!夏休み遊びに行こうよ!」
「うん!全然いいよ!」
ピンポーン
「はーい」
「香夜迎えに来たよ。」
「じゃあね!鳴海。また明日!」
「ん、また明日!」
ドア前で待っていてくれた秋夜と部屋に戻ると、美味しそうなご飯が準備されていた。疲れているだろうからって、作ってくれたらしい。秋夜ってスパダリじゃない?完璧すぎて…惚れる。いや、もう惚れてるんだけど。
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