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しおりを挟むあの約束が守られない…いや、その表現は正しくないな。俺が一方的に約束を破ることになったのはあれから1年と少し経った時だった。
この世界でもトップクラスの数少ないSランク冒険者のパーティーがたまたまこの街に訪れたのだ。辺境に飛行して危険な魔物が現れたのを退治した帰りとかそんな理由だったと思う。
この際その理由なんてどうでもいいことだ…。運が悪かったのか良かったのか…俺達はそんな彼らに出くわしてしまった。彼らは3人組で、人の良さそうな少しタレ目の男と筋骨隆々の盾役、豊満な胸を持った魔法使いの女で構成されていた。
俺達が二人で訓練をしていたところを見ていたらしく、目を付けられた。誰の目からも明らかなコクヨウの才を見出して、スカウトされたのだ。
「なぁ、お前俺達のパーティーに入れ。お前にはSランクに上がるだけの素質がある。」
「リーダーの言う通りだぜ!な!一緒に冒険しようぜ!」
「そうそう、魔力も有るみたいだし!お姉さんが鍛えてあげるわ!」
「お断りします。僕はもう既に所属するパーティーが決まってるので。」
「…そうか。その気になったらいつでも声をかけてくれ。あと一週間はこの街にいる。」
「ちぇー…残念…ぜってぇ強くしてやれるのによ…」
「そうね…凄くかっこいいのに…残念」
バッサリと切って捨てたコクヨウ。こんなに良い申し出を俺との約束のために不意にするのか…?コクヨウには幸せになって欲しい。20そこそこでまだBランク以上に上がれる気配もない俺とSランクに上がれる才のあるコクヨウ。パーティーを組むと約束したが、俺とコクヨウではいつか釣り合わなくなる。俺が足枷になるのなら…いっそ…初めから
「俺はタカミ…この間あんた等がスカウトしてくれた子の保護者だ。少し話したい、いいか?」
「お?あの獣人の子か!いいぜいいぜ!」
「おい、リーダーは僕だが?勝手に返事をするな。全く」
「でも何かしら?わざわざあの子の居ないところで話って?」
「その…あの子は…本当にSランクになれるんだろうか?」
「このまま成長を続ければ確実だろうと思うが」
「だな!俺もそう思うぜ」
「私も同意見だわ。でもそんなことを確かめてどうするの?」
「…俺はあの子の親として…あの子に幸せになってほしいと思ってる。将来パーティーを組むと約束したんだ。だからあの子は断ってしまった…。俺はあの子の足枷になるつもりはない。…良ければあの子を連れて行ってくれないか…。俺といるよりあんた等といたほうが…良いと思うんだ…」
「…それは…俺達は良いがよぉ…」
「そうね…」
「僕だってスカウトしたくらいだ…構わないが…それで当人は納得してくれるのか?僕は他の獣人にもあった事があるが、彼らの執着は凄まじいものがある…」
「まぁ…そこは無理矢理でも送り出すさ。あんた等には迷惑かけるかもしれねぇがよろしく頼む。」
そうして精一杯頭を下げてその場を後にした。コクヨウを送り出す日程も聞いている。旅の準備は整えた。コクヨウに持たせるものも完璧だ。祝に奮発して剣だって買った。
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