黒豹拾いました

おーか

文字の大きさ
51 / 130

51

しおりを挟む






コクヨウと離れて早3年の時が経過していた。その間に俺にも恋人が出来かけたことはあった…しかしコクヨウのことが頭を過ぎって、俺の方から距離を取った。女性の時間を無駄にさせるのは申し訳ないからな…。そして結局3年間一人寂しい男のひとり暮らしを続けている。

俺は冒険者としてスールエの街で活動しているが、コクヨウらしき冒険者の噂も聞いている。こんな辺境まで噂が届くくらいだから余程頑張っているのだろうな。噂によると、コクヨウはもうすぐSランクに上がれそうらしい。

冒険者として活動して、広い世界を知った今、コクヨウがどんな選択をするか分からない。しかしそれでも俺を選んでくれるのなら…俺もコクヨウの隣に立つ覚悟を持たねばならない。

そう思って辺境の地でもコツコツと鍛錬を積み続けた。まぁコクヨウと別れてここに戻ってきて暫くは自堕落に生活していたんだが…突然訪ねてきたセンリに活を入れて貰ってからは、怠ることなく頑張ってきた…つもりだ。

「おう、タカミ、今日も依頼か?」

「ああ」

「精が出るな。頑張れよ。あ!ところでよ、あの話聞いてるか?ほらコクヨウのことだよ」

「もうすぐSランク試験受けるって話か?」

「そうそう!すげぇよなぁ。お前にくっついてた頃が懐かしいぜ!」

「あんなに小さかったのになぁ、成長ってのは早いもんだよな。」

「そうだな…危険な目に合わなきゃいいんだが…」

「なんだ?心配なのか?大丈夫大丈夫!お前が育てたんだ信じてやれ!」

「そうだな。アイツはきっと立派なSランクになる。だから俺もAランクに挑戦する。」

「お!やっとやる気になったか!頑張れよ!お前の実力なら問題ねぇからよ!」

「おータカミ頑張れよ。合格したら飯奢ってやるからな。」

「ああ、飛び切り高い物を食うとしよう。アンタの奢りで。」

「はははっ!自信はたっぷりってことだな!頑張って来い!」

「ああ、ありがとう。行ってくる」

とっくに追い越されてしまったが、俺だって立ち止まらなければいつかきっと上に行けると信じている。取り敢えず、そろそろ次のステップに進むことにしたのだ。ずっとBランクで停滞していたがAランク試験を受けることに決めたのだ。しかし試験を受けるのはいいが、この辺境の地ではAランク試験に適した依頼など勿論ない。

と言うわけで、俺は一度この街を出る。コクヨウ達もいるであろう強い魔物が出没する地域へと向かうのだ。もしタイミングが合えば、コクヨウ達にも会えるかもしれないな。俺はコクヨウに合わせる顔もないが…。

まぁだからといって逃げる訳にも行かないだろうな…。流石にこれ以上コクヨウを傷付けたら幾ら温厚なスールエの街の人達でも、俺をボコボコにするに違いない。コクヨウは割と素っ気なかったが、街の皆には愛されてるからな。

気合いを入れて行くとしよう。タダクより先は、一撃食らっただけで死にかけるからな。街の人たちに軽く挨拶しながら旅立つ。3年…いや、もっとかかったがやっと次へのステップの第一歩を踏み出す。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

オレの番になって──異世界に行って愛猫の番にされる話

まめ
BL
不慮の事故により、異世界に転移することになった神木周。 心残りは、唯一の家族だった愛猫・ネロのことだけだった。 ──目覚めた草原で再会したのは、見覚えのある大きな黒い獣。ネロが追いかけてきてくれたのだ。 わからないことばかりの異世界だけど、ネロがいるからきっと大丈夫。 少しずつ心をほどき、神に招かれた世界で穏やかな毎日を楽しむ周たち。 しかし、そんな彼らに不穏な気配が忍び寄る―― 一人と一匹がいちゃいちゃしながら紡ぐ、ほのぼの異世界BLファンタジー。 こんにちは異世界編 1-9 話 不穏の足音編 10-18話 首都編 19-28話 番──つがい編 29話以降 全32話 執着溺愛猫獣人×気弱男子 他サイトにも掲載しています。

アケミツヨウの幸福な生涯【本編完結】

リラックス@ピロー
BL
ごく普通の会社員として日々を過ごしていた主人公、ヨウはその日も普通に残業で会社に残っていた。 ーーーそれが運命の分かれ道になるとも知らずに。 仕事を終え帰り際トイレに寄ると、唐突に便器から水が溢れ出した。勢い良く迫り来る水に飲み込まれた先で目を覚ますと、黒いローブの怪しげな集団に囲まれていた。 彼らは自分を"神子"だと言い、神の奇跡を起こす為とある儀式を行うようにと言ってきた。 神子を守護する神殿騎士×異世界から召喚された神子

【本編完結】最強S級冒険者が俺にだけ過保護すぎる!

天宮叶
BL
前世の世界で亡くなった主人公は、突然知らない世界で知らない人物、クリスの身体へと転生してしまう。クリスが眠っていた屋敷の主であるダリウスに、思い切って事情を説明した主人公。しかし事情を聞いたダリウスは突然「結婚しようか」と主人公に求婚してくる。 なんとかその求婚を断り、ダリウスと共に屋敷の外へと出た主人公は、自分が転生した世界が魔法やモンスターの存在するファンタジー世界だと気がつき冒険者を目指すことにするが____ 過保護すぎる大型犬系最強S級冒険者攻めに振り回されていると思いきや、自由奔放で強気な性格を発揮して無自覚に振り回し返す元気な受けのドタバタオメガバースラブコメディの予定 要所要所シリアスが入ります。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

転移先で辺境伯の跡継ぎとなる予定の第四王子様に愛される

Hazuki
BL
五歳で父親が無くなり、七歳の時新しい父親が出来た。 中1の雨の日熱を出した。 義父は大工なので雨の日はほぼ休み、パートに行く母の代わりに俺の看病をしてくれた。 それだけなら良かったのだが、義父は俺を犯した、何日も。 晴れた日にやっと解放された俺は散歩に出掛けた。 連日の性交で身体は疲れていたようで道を渡っているときにふらつき、車に轢かれて、、、。 目覚めたら豪華な部屋!? 異世界転移して森に倒れていた俺を助けてくれた次期辺境伯の第四王子に愛される、そんな話、にする予定。 ⚠️最初から義父に犯されます。 嫌な方はお戻りくださいませ。 久しぶりに書きました。 続きはぼちぼち書いていきます。 不定期更新で、すみません。

処理中です...