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しおりを挟むドワーフのカルロスの店に訪れる。うん、相も変わらず店内には誰もいない。やっぱり場所が場所だからな。借りた剣も凄かったし、カルロスの腕は確かなんだが。まぁカルロス本人は気に入らない客は相手にしたくないみたいだからこれでいいんだろう。
「お!きたな、お前ら!よし、表はもう締めちまうから裏行け。」
「おう。」
テンション高めに迎えてくれたカルロスに、この間試し切りをした裏へと通される。入ってくる人はほとんど居ないが、本当に店を締めてしまったらしいな。なんか悪いな。
「カルロス、砂漠の素材もきちんと取ってきたぞ。」
「おう、それは後でいい。取り敢えず、コクヨウはこれだ。タカミにはこっちだ。よし、振ってみろ!」
「おう」
手渡された剣は、以前使っていたものよりも断然振りやすい。コクヨウの剣もコクヨウに合っているらしいな。
「良い剣だ。」
「うん、こっちの剣も凄くいい。」
「ふはは!そうだろうそうだろう!!いい剣が出来たと思ってたんだ!」
「ああ、ありがとうカルロス」
「おうよ!細かい調整も請け負うが、どこか使いにくい所はあるか?」
「俺は特にないな。コクヨウは?」
「うん…柄の素材は前のやつがいい。」
「柄の素材か!それならすぐに終わるからよ。ちょっとだけ待っててくれや。」
「ああ、それで素材はどこに置けばいい?」
「付いてきてくれ。工房に置く場所があるからよ。」
「ああ」
カルロスに感謝されながら、素材を渡し最終調整を終えた剣を受け取って街を出た。そのまま南下して、途中の街で情報収集やギルドに立ち寄って魔物の素材を売ったりすることにした。俺はギルドに魔物素材を持ち込み、コクヨウは食料などを補充しに行ってくれた。
「タカミ様、素材承りました。すぐに鑑定は終わりますので、ギルド内でお待ち下さい。こちら引き換えの番号です。」
「ああ」
そんなに大きな街ではないのでこじんまりとしたギルドだな。だが冒険者の質は悪くないようだ。下手に絡んできたりするチンピラ紛いの冒険者も居ないし。堅実そうな者が多い印象だ。
「む?見かけない顔だな。アンタ、他所から来た冒険者か?」
「ああ、何か用か?」
「いや、強そうだし、珍しかったから声かけちまっただけだ。迷惑だったか?」
「いや別に迷惑じゃないが。」
「んじゃあどこから来たとか聞かせてくれや。」
「魔術都市からだ。今からは南に行く予定だ。」
「南というと…温泉街か?」
「ああ」
「ほぉ!そりゃいい!あそこの温泉は最高だからな!」
「温泉街はここからは道に沿って歩きゃいいのか?」
「おう、南門を出て真っ直ぐ行きゃあいい。」
「そうか。ありがとう。」
「いや、これくらい構わねぇよ。ところでアンタ強そうだがランクは?俺はBランクだぜ。」
「…Aランクだ。大して強かねぇがな。」
「そんなことないだろ!すげぇな!」
「3番でお待ちの冒険者様!鑑定が終了しました。受付にどうぞ。」
「ああ、悪い。呼ばれたから行く。」
「おう、また会ったらよろしく頼むぜ。」
「ああ」
「タカミ…」
話しかけてきた冒険者と別れて、受付へ向かおうとすると後ろから呼び掛けられる。振り返れば、冷たい視線を向けるコクヨウがいた。
「っ…コクヨウ?もう終わったのか、早かったな。」
「うん、急いだからね。タカミを一人にすると直ぐに人を寄せ付けるから。ねぇ?タカミ…」
「おい、誤解するなよ?ただの世間話だ。ついでに道も聞けたしな。」
「ふーん…でもお仕置きだから」
俺に身体を寄せたコクヨウに耳元で囁かれる。お仕置きって…何するつもりだよ。っていうか人目のある場所で何言ってんだ!!
「っ///馬鹿言ってんなよ…受付行くぞ。鑑定終わったからな。」
「うん。照れてるタカミも可愛いね。」
「あぁ…もういい!黙ってろ。」
「うん」
受付で買取金額の確認をして、金銭を受け取り足早にギルドを後にする。
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