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しおりを挟む翌朝、目覚めたはいいが、起き上がれる気がしない。腰を中心に全身の重だるさが抜けない。おそらくコクヨウに回復魔法をかけてもらえば治るだろうが…回復魔法は貴重な魔法だからな。とりあえずポーションでも飲んでおくか。
少し痛みがある首筋に手をやれば、デコボコとした傷があるのがわかる。あーこれ、昨日最後ら辺に噛まれたやつだな。コクヨウの番だという証。コクヨウによって俺の身体に刻まれた痕が嬉しくて、何度も指でなぞった。
「あ、おはようタカミ」
「はよ…」
「ん、首跡残ってるね。ふふっ嬉しい。」
「おう…お…れも嬉しいぜ。」
「そっか。えへへ!ねぇ、タカミ動ける?」
「いや…無理かもな…」
「よし!…じゃなくて、えっとじゃあ今日の遠征は僕が一人で講師するね。」
「おい?…全く…まぁお前なら問題はねぇよな。しっかりやってこいよ。」
「うん。タカミを一人にするの嫌だけど、頑張るね。」
「おう…」
なんつーか、今のこの状況は態となんだろうな。コクヨウだったら俺を回復させるくらい訳ないし。それにさっき「よし!」とか言ってたしな。理由は分からんが、コクヨウが望むならまぁいいか。
このままのんびり寝かせてもらうとしよう。仕事ほっぽりだすのは気が引けるが…コクヨウに任せときゃ間違いないだろう。
タカミに許可をもらって残した項の噛み跡は、翌朝になってもくっきりと残っていた。タカミは僕の番だって証を付けた事で、更に独占欲が高まってる。取り敢えず今日は部屋にいてもらおう。
ふぅ…無事にタカミと騎士たちの接触機会を減らすことが出来た。タカミってばすぐに人と打ち解けて、惹き付けちゃうんだから…。接触は少ないに限るよね。もうすでに何人かタカミのこと目付けたみたいだし。
まぁ…そいつ等には今日の実戦訓練でちゃんとわからせてあげるけどね。
それにしても昨日のタカミ…凄かったなぁ。凄く乱れてて…気持ちよさそうにしてて…めちゃくちゃ可愛かった。1回しか出してない筈なのに凄く満たされた。項を噛んだし、精神的な要因なのかな?ともかくまたシたいなぁ…。タカミは嫌がりそうだけど。まぁそこは手練手管でなんとかしよっと。
なんだかんだタカミは僕に激甘だしね。この間話した僕の過去のこともあって、同情?してくれてるみたいだから、今なら多少の無茶も通る筈。
さて…今日はどうやって指導してあげようかな。さっさと騎士たちを育てて魔物狩れるようにして、講師やめさせてもらわないと。あの執事の人もいるから、多少強引に行っても大丈夫でしょ。
あの人強いみたいだし。僕の見立てでは多分騎士団長よりも強そうだった。
騎士たちも揃っているらしいし、クロード団長やミシェルもいる。直ぐに出立しても問題なさそうだな。
「お!来たな!…ん?タカミはどうした?」
「…タカミは来ない。…あと、あんまりタカミに馴れ馴れしくするな。」
「お、おー?なるほど。そういう関係か…。」
「おはようございます。コクヨウ様」
「ん」
「タカミ様はどうされたのですか?もし体調が優れないなど御座いましたらら、回復魔法を使えるものを呼びましょうか?」
「それには及ばない。タカミは大丈夫だから。」
「左様ですか。それでは本日もよろしくお願い致します。」
「ああ。今日で魔物の倒し方は一通り教える。死ぬ気でついて来い。」
騎士たちに向きなおって、少し威圧をしながら付いて来るように言う。魔物の倒し方には、勿論魔物ごとの特徴や弱点がある。けれど大体のセオリーというのも存在している。それを覚えていれば大丈夫というわけではないが、取り敢えず初心者にはセオリーを教えるものだ。
例えば人型の魔物である暗黒騎士やゾンビ、ゴブリンなどといった魔物は首を飛ばせば倒すことが出来る。例外として吸血鬼などの回復能力の高い魔物がいるが、この辺りには出ないらしいので無視していいだろう。
そして無形の魔物である主にスライムは核を潰すことで倒すことが出来る。四足歩行の獣の魔物であるウルフやブラッドベアなどは、近接攻撃しか持たない場合が多いので、距離を取って魔法や槍などで攻撃するのが良い。
この辺りに出没する魔物だとその程度だろう。まぁ…この地域で活動している冒険者を雇って聞くのが一番手っ取り早い。けれど騎士は基本的にプライドだけは高いからな。高ランクならともかく、Bランク以下の冒険者教えを請うことなどしない。
全く面倒だな…。さっさと終わらせてタカミのところに帰ろ。
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