12 / 22
副総長×平凡12
しおりを挟む正直言って油断していた。
だって学校の中はGRACEの人がいっぱいいるところだし安全だって思ってた…。
だから学校の帰り、秋夜さんが迎えに来る前にトイレに行っておこうと、一人で教室を出た。トイレを出ると待ち伏せされていて、殴られて意識も無かったから目が覚めてもここがどこなのかわからない。
目隠しはされていない。口は塞がれてるし、腕も縛られてるけど。少しでも状況把握したくてゆっくり目を開ける。人はいなかった。どこかの室内のベッドに寝かされているらしかった。捕まってしまった以上どうにもできないのは、自分でもわかっていたけど焦る気持ちが抑えられない。
冷静にならないと…。けれど俺のせいで、俺が捕まったせいで秋夜さんに何かあったら?鳴海に何かあったら、藍くんに何かあったら、茜くんに何かあったら。そんな考えが拭えない。
どうにか抜け出せないか、と腕を必死に動かして見るけれど、力を入れた腕に縄が食い込んで痛みを訴えてくるだけで、縄が外れる兆しはなさそうだった。
クソッ俺はどうなっても自業自得だけど、他の人に被害が行くのはイヤだ。
どうか秋夜さんたちが、俺のことを見捨ててくれればいい。けれど、俺のことを見捨てるような人ではないことは、俺の中では確信に近い思いがあった。
唐突に静かな室内にドアを乱暴にあける音が響く。室内は少し薄暗く、入ってきた人物がどんな容姿であるか殆ど確認出来なかった。
「お?起きてんじゃん!銀狼のお気に入りちゃん?ま、起きたならいいや。銀狼呼び出して喧嘩してくれるまでここにいてな?」
「……」
どうせ声は出せないけれど、取り敢えず睨みつけておく。銀狼…って秋夜さん?呼び出して喧嘩するって…。大丈夫なのかな…。喧嘩してるところを見たことないから、秋夜さんがどのくらい強いのかわからない。
「あー…取り敢えず口は外してやっても良いけど、騒がないって約束な?」
「……」
話せないよりはマシだろうと、騒がないと言う条件に肯定を示すようにコクリと頷く。近づいて来た男に口のガムテープを乱暴にベリッと剥がされる。
「なんで俺をさらったんですか?銀狼って?」
剥がされて直ぐに質問を重ねた俺に少し驚いたような空気があったが、どうやら答えてくれるらしい。
「なんでってお前が銀狼…佐久間のお気に入りだからだろ?」
「さらって何をするつもりですか?」
「んー?俺、喧嘩好きなんだよ。特に強いやつとの喧嘩。佐久間と喧嘩したかっただけ」
「喧嘩ですか?俺をさらわなくても出来ますよね?」
「ダメダメ。あいつはあしらって来てガチでやってくんねぇから。お前さらわれたら怒るだろ?」
喧嘩好きか…秋夜さんが揉めてるっていう相手なのか?違うのか?
「俺に何するつもりですか?」
「お前には何もしねぇよ。お前が騒がなきゃな?」
「…わかりました。…あなたはGRACEと今揉めてる人なんですか?」
「いーや?俺は違う。けどな、最初にお前をさらおうとしてたのは、敵対組織。んで、たまたま俺が通りかかってそいつ等からさらってきたのが俺。」
??
どういうことだ?この人の言うことが正しいとすると、学校で殴ってきたのは、GRACEの敵対組織で、そいつ等がさらってるところを見たこの男が、敵対組織から助けてくれた?のか?
「……助けてくれた…のか?」
「まぁな、俺もさらってきたから変わらねぇかもしれないけどな。」
「…ありがと…」
「ハハハッ!さらった相手に礼とか言うかよ。変なやつだなお前」
「あんたに言われたくない…それに如月香夜って名前があるんだよ!」
「あーはいはい、如月な、俺は望月愛人(もちづきあいと)よろしくな。」
「…ん、取り敢えずよろしく?ってか腕も外せよ!それに秋夜さんに連絡入れたいんだけど!」
「…外さねぇ。佐久間とタイマン終わったら外してやるから。」
「なんでそんなに喧嘩したいんだよ。それに秋夜さんを巻き込むなよ。」
「なんで…あんまり考えたことなかったな…たぶん楽しいから、だな。佐久間ってすげぇ強えって評判でな。そんなに噂になってたら気になんだろ?」
「そんなことで…はぁ…」
「ま、お前も起きたし、取り敢えず佐久間に連絡するわ。」
「はい…」
19
あなたにおすすめの小説
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
【書籍化決定】カメラ越しのシリウス イケメン俳優と俺が運命なんてありえない!
野原 耳子
BL
★執着溺愛系イケメン俳優α×平凡なカメラマンΩ
平凡なオメガである保(たもつ)は、ある日テレビで見たイケメン俳優が自分の『運命』だと気付くが、
どうせ結ばれない恋だと思って、速攻で諦めることにする。
数年後、テレビカメラマンとなった保は、生放送番組で運命である藍人(あいと)と初めて出会う。
きっと自分の存在に気付くことはないだろうと思っていたのに、
生放送中、藍人はカメラ越しに保を見据えて、こう言い放つ。
「やっと見つけた。もう絶対に逃がさない」
それから藍人は、混乱する保を囲い込もうと色々と動き始めて――
★リブレ様にて紙書籍・電子書籍化が決定しました!
応援してくださった皆様のおかげです! 本当にありがとうございます!
発売日などの詳細は、決まり次第、作者のXや近況ボードなどでご報告させていただきますのでお待ちいただければ幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる