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145.卒業旅行6
しおりを挟むテスラさんに目配せして、人通りの少ない場所で合流する。目立たないように顔を変えたり、地味な格好をしているものの、そのスタイルの良さは健在だ。
「コイルさん、デートしましょ!」
「…ナルア、友達は良いのか?」
「うん、二人きりにしてあげようと思って」
「そうか。それでは行こうか」
「うん!」
コイルさんは、勝手知ったる様子でスイスイと街を歩いていく。どこかに向かって迷い無く進んでいる。俺はおとなしくついていくことにする。
「コイルさん、母さんたちへのお土産何がいいと思う?」
「ふむ…そうだな、入浴剤などはどうだ?ここらで作られているものは性能がいいと聞いている。」
「入浴剤かー、いいかも!あとで見に行ってもいい?」
「ああ、もちろんだ。」
「あとはウェンさんとティナさんには…お酒でも買おうかな?」
「いいんじゃないか?ティナはああ見えて酒が好きだからな。」
「俺は味とかわからないから選んでくれる?」
「ああ、任せろ。」
テスラさんのことは信じているけれど、一体どこに向かっているんだ?段々と街から離れて、人の姿もない森に入っていこうとする。流石にちょっと不安だ。
「あの、テスラさん?どこ行くの?」
「ああ、言っていなかったか。天然の温泉だ。秘湯と呼ばれるところで、誰も居ないからな。二人で温泉に浸かるのには丁度いいかと思ってな。」
「温泉!!えへへ!どんなところなんだろ!楽しみ!」
「私もだ。時間があれば行きたいと思ってついつい調べてしまっていた…。本当ならそんなことをしても意味はなかったのにな…」
温泉があるのだと聞いてしまえば、不安は一気に払拭されて俺の心は喜色に染まる。確かに日本でも山奥に温泉があったりした。マグマの影響なんかがあるとかなんとか…?そんなフワッとした知識しかないが。まぁ何だっていい。そこに温泉があるのなら!!
それにテスラさんと温泉入れると思ってなかったから嬉しい。テスラさんが俺とお出かけしたいと思ってくれてるのが嬉しい。
せっかく温泉街に来たなら一緒に入りたいもんね。着替えとかは持ってきてないけど…まぁそこは仕方がないな。乾かすのは魔法でなんとかなるし、大丈夫だろう。
「ふふっじゃあまた今度二人でどこかに行こうね!」
「ああ、いい場所を探しておこう。」
「うん!」
十分程歩いて、少し登ったところに少しだけ湯気が見えてきた。近づいて行くとこじんまりとした温泉を発見出来た。手で温度を確かめてみる。程よい湯加減になっているようだ。辿り着くや否や服を脱ぎ捨てて、お湯に浸かろうとする俺をテスラさんが止める。
「ナルア、待ちなさい。結界を張る。」
「うん…」
「すぐに終わる。」
「はーい」
テスラさんによって美しい結界が構築される。それが終わってから、服を脱ぐ。多少ゴツゴツしているけど、怪我をするほどでもなさそうだ。先に俺が浸かって、テスラさんが隣に入ってくる。少しだけ肩が触れ合う距離感にドキドキする。
「ん…これはいいな…」
「テスラさん、連れてきてくれてありがとう!」
「ああ、共に来れて良かった。」
「んへへー…テスラさん、近づいてもいいですか?」
「ああ、おいで」
「うん!好き!」
「ふふっナルア、良い子だ。」
テスラさんの身体に背を預けて後ろから抱かれる形で密着する。暖かな体温が心地いい。が…好きな人とここまで密着してしまうと…その…下半身がマズい…。一応精通はまだしていないし、勃たないと思うけどさ…。
あぁ駄目だすっごいドキドキしてる。キスとかしたいなぁ。軽く振り返ってテスラさんの顔を見上げる。
「ん?どうしたナルア」
「んー…ちゅっ」
「っ!?…ナルア…不意打ちはズルいと思うんだが…」
「んふふ!」
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