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158.魔術学園9
しおりを挟む困惑し、引いた様子の狐の子を前に、俺は新しい友達を得る機会だとワクワクしていた。狐の子は冷や汗をかいているように見えるけど、きっと気のせい。
「おい、ナルア…引かれているようだぞ。」
「うっ…ククルは黙ってて!今大事なところなんだから!」
「…お前と友達になんてならない!それに俺はこの学園に遊びに来た訳じゃない。」
「じゃあ何も教える気はないよ。」
「…いい。話させる術なんて沢山有るんだから。」
「ふふっ俺に通じるといいね?」
ニッコリ微笑んであげると、ばッと距離を取られた。なんで…?
「そもそも…お前怖いんだよ!!本当なら絶対に関わりたくねぇ!」
「酷いっ!?そこまでの言われようなの…?俺…」
怖い…怖いかぁ…。そんなこと言われたことなかったから、ちょっと吃驚してる。だって首輪付きだって舐めてくる人のほうが多かったし。
「首輪付きって舐めてくるものじゃないの?」
「まぁ、実力のない者はそうかもな。だがある程度、例えばこの学園に入れるくらいの実力があれば、お前の強さを感じ取れるだろうな。俺は強い奴が好きだから別として、普通の獣人は強過ぎると恐怖を覚える。生き物には生存本能というものがあるのだ。知らなかったか?ナルアよ。」
「…ククル…俺…友達欲しいよぉ…」
「…まぁ、頑張れ。俺は少なくとも友達でいてやる。」
「ありがとう!!」
そうか…みんなを怖がらせてたのかぁ。それは心外。ちゃんと気配を抑えておかなくちゃね。
「…それは悪手だと思うが…まぁいい。そのうち気が付くだろう。」
「ククル、なんか言った?」
「いや、狐の奴が逃げるぞ」
「あ!待ってよ!」
放課の間、追いかけっこをして、授業にはちゃんと参加した。なかなか素早くて、気配を消すのも上手くて、ついつい楽しんでしまった。俺の目的はこれではない。遊ぶのは楽しいけどね。
「つーかまえた!遊びは終わりね!」
「なっ…くっ…仕方がないか。」
「え?なんで武器構えるの?訓練する?」
「…は?遊びは終わりなのだろう。」
俺は全力だったんだけどね。この猫、嫌味かな?
俺の持つ全てを持ってして、逃げていたんだけど…この猫には全く通じなかった。ニコニコと追いかけられて、今日は命日だと覚悟したんだけど…。向こうにとっては遊びだったようだ。
本当…アホらしくなってきた。武器をしまって、猫と向かい合う。どうやら本当に戦う気はないみたいだし。
「はぁ…もういい。俺を追いかけ回しやがって…疲れた…」
「あはは!楽しかったね!俺達もう友達だね!よろしく!俺ナルア!君は?」
「ウェネル…」
「ウェネル!よろしくね!あ!やばっ帰らないと。また明日!」
「…ああ…」
嵐のようなやつだった…奴を見送って、その場に大の字に倒れ込む。しかし完敗だ。これでも里随一を自負していたんだけどね。なんであんなに追って来れるんだか…。誰かが教えたんだろうけど…あそこまでの技術を仕込むなんて只者では無い。しかし里の外にそんな者は居ない筈…。
だが心当たりはある。昔、里を抜けたという天才が居たらしいのだ。随分と隠そうとしていたようだが、俺にかかれば情報を手に入れるのは簡単だった。
アイツはそいつと関わりがあるのか…?抜け人を探そうとは思っていたけど、こんなに簡単に手掛かりを得られるとは、ね。俺はそいつを越えたくて来たんだけど…弟子に負けるようじゃ勝てる筈もない。
「はぁ…修行のやり直しだな。あー…またあんなことするなんて死にそう…だる…でもぜってぇ負けねぇ。」
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