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ごめんね
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子供の頃から幼馴染の陽太とは、たくさんの時間を過ごしてきた。遥香にとって信頼のおける家族のような存在。でも本当の家族じゃない。
直哉の手を取ったら、もしかしてこのまま縁が切れてしまうのかも知れない。
大切だからこそ、失いたくない。
でも、大切だからこそ、嘘もつきたくない。
「ごめん……。ごめん陽太。私、陽太と過ごしてきた日々も大切なの。だから、柏木さんがダメなら陽太とか……そんなこと出来ない。ずっと、助けてもらっていたのに、甘えてばかりで陽太の気持ちに気が付けなくて、ごめんなさい」
真哉の事を自分の子供のように思ってくれる懐の深さも、いつも何気なく助けてくれる優しさも大好きだけれど、それは、恋愛感情ではなく家族愛に近いものだった。
だから、今は陽太の気持ちに応えられない。
俯いた陽太は、気持ちを切り替えるように深く息を吐きだした後、顔を上げる。
「いいよ、謝るなよ。それに泣くなよ。オレ、遥香に泣かれるとホントどうしていいのか、わからなくなるんだ」
「陽太、ごめんね」
陽太の横を抜け玄関を出ようと足を踏み出した。その遥香の腕を陽太が掴む。
ハッと顔を上げた遥香の瞳に、眉根を寄せ悲しそうな陽太が映る。
「だから、謝るなって。だてに何年も拗らせてねえから、まだあきらめたわけじゃない」
遥香を掴んでいた陽太の手が、すぅっと解けた。そして、肩をトンと押される。
「シンが待ってんだろ」
ニカッと無理して笑う陽太がいた。
陽太とふたり、家の外に出て、遥香は玄関のカギを取り出した。
普段、少しの時間ならカギなどかけない。わざわざカギを掛けたのは、長時間外出することを意味する。きっと、横にいる陽太もその意味を汲み取っているのだろう。
「ごめんね。私、行くね」
陽太は、眉間にしわを寄せ低い声で「ああ……」とだけ呟く。
陽太に背を向け、遥香は城間別邸へと歩き出す。足を踏み出すたびに足元の小石がジャリジャリと乾いた音を立てた。
直哉のところに行くと決めたのだから、振り返っちゃダメだ。
ここで振り返ったら陽太だって、あきらめがつかなくなる。
そう自分に言い聞かせ、遥香は足を進める。
だんだんと周りの景色が歪みだして、ツンと鼻の奥が痛い。涙がこぼれないように空を見上げると切れそうな三日月がポツンと浮いている。
(私……陽太に『ごめんね』じゃなくて『ありがとう』って、言いたかった。)
城間別邸の駐車場を過ぎ、花ブロックの先を曲がると、芝生の先に建物が見える。明かりのついたガラスの向こう、ソファの上で直哉が息子を膝の上で抱いている。
その光景は、遥香が欲しかった思い描いた幸せの形があった。
(今度こそ、幸せになれるはず。)
進む足がだんだんと速くなった。
直哉の手を取ったら、もしかしてこのまま縁が切れてしまうのかも知れない。
大切だからこそ、失いたくない。
でも、大切だからこそ、嘘もつきたくない。
「ごめん……。ごめん陽太。私、陽太と過ごしてきた日々も大切なの。だから、柏木さんがダメなら陽太とか……そんなこと出来ない。ずっと、助けてもらっていたのに、甘えてばかりで陽太の気持ちに気が付けなくて、ごめんなさい」
真哉の事を自分の子供のように思ってくれる懐の深さも、いつも何気なく助けてくれる優しさも大好きだけれど、それは、恋愛感情ではなく家族愛に近いものだった。
だから、今は陽太の気持ちに応えられない。
俯いた陽太は、気持ちを切り替えるように深く息を吐きだした後、顔を上げる。
「いいよ、謝るなよ。それに泣くなよ。オレ、遥香に泣かれるとホントどうしていいのか、わからなくなるんだ」
「陽太、ごめんね」
陽太の横を抜け玄関を出ようと足を踏み出した。その遥香の腕を陽太が掴む。
ハッと顔を上げた遥香の瞳に、眉根を寄せ悲しそうな陽太が映る。
「だから、謝るなって。だてに何年も拗らせてねえから、まだあきらめたわけじゃない」
遥香を掴んでいた陽太の手が、すぅっと解けた。そして、肩をトンと押される。
「シンが待ってんだろ」
ニカッと無理して笑う陽太がいた。
陽太とふたり、家の外に出て、遥香は玄関のカギを取り出した。
普段、少しの時間ならカギなどかけない。わざわざカギを掛けたのは、長時間外出することを意味する。きっと、横にいる陽太もその意味を汲み取っているのだろう。
「ごめんね。私、行くね」
陽太は、眉間にしわを寄せ低い声で「ああ……」とだけ呟く。
陽太に背を向け、遥香は城間別邸へと歩き出す。足を踏み出すたびに足元の小石がジャリジャリと乾いた音を立てた。
直哉のところに行くと決めたのだから、振り返っちゃダメだ。
ここで振り返ったら陽太だって、あきらめがつかなくなる。
そう自分に言い聞かせ、遥香は足を進める。
だんだんと周りの景色が歪みだして、ツンと鼻の奥が痛い。涙がこぼれないように空を見上げると切れそうな三日月がポツンと浮いている。
(私……陽太に『ごめんね』じゃなくて『ありがとう』って、言いたかった。)
城間別邸の駐車場を過ぎ、花ブロックの先を曲がると、芝生の先に建物が見える。明かりのついたガラスの向こう、ソファの上で直哉が息子を膝の上で抱いている。
その光景は、遥香が欲しかった思い描いた幸せの形があった。
(今度こそ、幸せになれるはず。)
進む足がだんだんと速くなった。
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