122 / 123
もうすです! 3
しおりを挟む
「ほぎゃあ、ほぎゃあ」
それは、産み出された命の始まりの声。
泣く事によって、胎児の時にはつぶれていた肺が広がり、空気が送り込まれる。心臓から肺へと血液が流れ、肺で酸素を含み、やがて全身に回る。
命が輝く瞬間だ。
沙羅は、小さな命の始まりの声を感謝で受け止めた。
「……ありがとうございます。私の赤ちゃん大丈夫ですよね」
「高良さん、おめでとうございます。2420グラムの可愛らしい男の子ですよ。よくがんばりましたね。常位胎盤早期剥離と言って、赤ちゃんが居るのに胎盤が剥がれてしまって、少し危険な状態だったんですが、高良さんが落ち着いていて行動してくれたので、無事に産まれましたよ」
助産師さんは、へその緒の処理を終え、綺麗に沐浴させた赤ちゃんを沙羅の胸の上に乗せてくれた。
産まれたての小さな命は、手をギュッと握り、探索反射や捕捉反射でおっぱいを探すような仕草をしている。
体温を感じ、その温かさにホッとして涙がこぼれた。
「お互いがんばりました。産まれて来てくれてありがとう。これからよろしくね」
◇
「高良さん、赤ちゃん無事に産まれましたよ。2420グラムの可愛らしい男の子です。おめでとうございます」
看護師さんの声に慶太と美幸は反射的に立ちあがった。
美幸は、嬉しそうに顔をほころばせ、キョロキョロと落ち着ない様子で、新生児室のガラス窓を見ていた。
慶太は、看護師へと向き直る。
「ありがとうございます。妻は無事でしょうか?」
「奥様も、ご無事ですよ。普通分娩で頑張ってくださいました。赤ちゃんは少し小さかったので、いまは保育器に入っています。あの右端の子ですよ」
看護師の指し示す方へ自然と顔が向いてしまった。
分娩室の横にある新生児室、ガラス窓向こうに3つ並んだ保育器が見える。すると、右端にある透明の箱の中で、小さな手を動かしていた。
沙羅と産まれてきた子供の無事を知って、慶太はやっと肩の力が抜ける。
「ありがとうございます。スタッフの皆様のおかげです」
「いえ、お母さんと赤ちゃんが頑張ったのをお手伝いをさせて頂いただけです」
そう言って、看護師は、持ち場へ戻って行った。
「わー、小さい! 動いてる~! 私の弟くん、お姉さんですよー」
新生児室のガラス窓に美幸は、かぶりつきで、呼びかけている。
「ねえ、お父さん。赤ちゃん、すごい小さいけど、さっきまでお母さんのお腹に入っていたかと思うと不思議だよね」
「ああ、すごいな……」
新しい命は小さくて、頼りない。
これから、父親として、この子を守り育てていかなければならない。
けれど、小さない命は、この先、自分に力を与えてくれるだろう。
心の支えになってくれるだろう。
それは、産み出された命の始まりの声。
泣く事によって、胎児の時にはつぶれていた肺が広がり、空気が送り込まれる。心臓から肺へと血液が流れ、肺で酸素を含み、やがて全身に回る。
命が輝く瞬間だ。
沙羅は、小さな命の始まりの声を感謝で受け止めた。
「……ありがとうございます。私の赤ちゃん大丈夫ですよね」
「高良さん、おめでとうございます。2420グラムの可愛らしい男の子ですよ。よくがんばりましたね。常位胎盤早期剥離と言って、赤ちゃんが居るのに胎盤が剥がれてしまって、少し危険な状態だったんですが、高良さんが落ち着いていて行動してくれたので、無事に産まれましたよ」
助産師さんは、へその緒の処理を終え、綺麗に沐浴させた赤ちゃんを沙羅の胸の上に乗せてくれた。
産まれたての小さな命は、手をギュッと握り、探索反射や捕捉反射でおっぱいを探すような仕草をしている。
体温を感じ、その温かさにホッとして涙がこぼれた。
「お互いがんばりました。産まれて来てくれてありがとう。これからよろしくね」
◇
「高良さん、赤ちゃん無事に産まれましたよ。2420グラムの可愛らしい男の子です。おめでとうございます」
看護師さんの声に慶太と美幸は反射的に立ちあがった。
美幸は、嬉しそうに顔をほころばせ、キョロキョロと落ち着ない様子で、新生児室のガラス窓を見ていた。
慶太は、看護師へと向き直る。
「ありがとうございます。妻は無事でしょうか?」
「奥様も、ご無事ですよ。普通分娩で頑張ってくださいました。赤ちゃんは少し小さかったので、いまは保育器に入っています。あの右端の子ですよ」
看護師の指し示す方へ自然と顔が向いてしまった。
分娩室の横にある新生児室、ガラス窓向こうに3つ並んだ保育器が見える。すると、右端にある透明の箱の中で、小さな手を動かしていた。
沙羅と産まれてきた子供の無事を知って、慶太はやっと肩の力が抜ける。
「ありがとうございます。スタッフの皆様のおかげです」
「いえ、お母さんと赤ちゃんが頑張ったのをお手伝いをさせて頂いただけです」
そう言って、看護師は、持ち場へ戻って行った。
「わー、小さい! 動いてる~! 私の弟くん、お姉さんですよー」
新生児室のガラス窓に美幸は、かぶりつきで、呼びかけている。
「ねえ、お父さん。赤ちゃん、すごい小さいけど、さっきまでお母さんのお腹に入っていたかと思うと不思議だよね」
「ああ、すごいな……」
新しい命は小さくて、頼りない。
これから、父親として、この子を守り育てていかなければならない。
けれど、小さない命は、この先、自分に力を与えてくれるだろう。
心の支えになってくれるだろう。
2
あなたにおすすめの小説
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
*全28話完結
*辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
*他誌にも掲載中です。
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
地味系秘書と氷の副社長は今日も仲良くバトルしてます!
楓乃めーぷる
恋愛
見た目はどこにでもいそうな地味系女子の小鳥風音(おどりかざね)が、ようやく就職した会社で何故か社長秘書に大抜擢されてしまう。
秘書検定も持っていない自分がどうしてそんなことに……。
呼び出された社長室では、明るいイケメンチャラ男な御曹司の社長と、ニコリともしない銀縁眼鏡の副社長が風音を待ち構えていた――
地味系女子が色々巻き込まれながら、イケメンと美形とぶつかって仲良くなっていく王道ラブコメなお話になっていく予定です。
ちょっとだけ三角関係もあるかも?
・表紙はかんたん表紙メーカーで作成しています。
・毎日11時に投稿予定です。
・勢いで書いてます。誤字脱字等チェックしてますが、不備があるかもしれません。
・公開済のお話も加筆訂正する場合があります。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
一夜限りのお相手は
栗原さとみ
恋愛
私は大学3年の倉持ひより。サークルにも属さず、いたって地味にキャンパスライフを送っている。大学の図書館で一人読書をしたり、好きな写真のスタジオでバイトをして過ごす毎日だ。ある日、アニメサークルに入っている友達の亜美に頼みごとを懇願されて、私はそれを引き受けてしまう。その事がきっかけで思いがけない人と思わぬ展開に……。『その人』は、私が尊敬する写真家で憧れの人だった。R5.1月
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる