1 / 6
1ブーケ
女の価値
しおりを挟む
都心の駅から徒歩十分の場所にある外資系の高級ホテル。そこは全国にも姉妹ホテルをもっている。
ホテルの顔ともいわれるフロントで明るく丁寧に接客をするのはこの物語の主人公、都賀セリコ 35歳。
青森の田舎でりんごを食べて育ち、都会に憧れ上京。今では田舎娘の面影すらない。
「あの、21階に小野田って人は泊まっているかい?」
見たところ40代くらいのイケメンなおじさんが爽やかに尋ねてきた。
「小野田様ですね。少々お待ちください。」
セリコはとにかく仕事がはやい。35歳といっても若手には劣らないし正確に仕事をこなす。周りからの信頼も厚い。
「お待たせ致しました。小野田様はただいま外に出ております。なにか要件がございましたら承りますが」
「いや、大丈夫だ。急ぎじゃないから待たせてもらうことにするよ。」
「かしこまりました。」
その時セリコは無理やり顔に笑顔を貼り付けていた。
なんなのよ、あの溢れんばかりの色気は!
てか声も超セクシーだし、あのヒゲの感じもたまんないんだけど!
どこの会社の人だろ。アタックしてみるか?
セリコの心の中は乱れに乱れまくっていた。
「ねぇ、あんたセリコじゃない?」
「え?」
ここでは呼び慣れない自分の名前に反応する。セリコの目の前にいたのはかつて男をめぐり争った高校時代の女友達 だった。
「ミサキ?」
「覚えててくれたんだ~。ま、忘れるわけないか。」
ミサキは嫌な笑みを浮かべ、セリコを鼻で笑った。
「へぇー、こんなとこで受付嬢ねぇ。玉の輿でも狙ってた感じ? ここお金持ちばっかりくるもんね。」
セリコは核心を突かれ何も言い返せない。
「あ、でもさぁ、受付嬢未だにやってるってことは玉の輿に乗り損ねたってこと? 可哀想なんだけど~」
我を忘れないように必死に耐えた。
彼女との因縁はさかのぼること18年前。
「セリコってまんずダサいっきゃ。おめ、一条先輩のことどう思ってんだ?」
「わだす? どうも思ってねぇよ。ミサキのすぎな人だべ?なんもねぇよ。わだす顔ブスだはんで」
といった3時間後にセリコは先輩と付き合った。
「私が好きになった人は必ずといっていいほどあんたのこと好きになるのよ。こんな田舎娘のどこがいんだか。顔は老いぼれちゃったけど、男に色目使うのは変わってないのねぇ。笑っちゃう。」
耐えきれず立ち上がったその時
「ミサキ、いるなら声掛けてくれよ。」
ミサキ?
先程セリコを一瞬で虜にしたイケおじは彼女を下の名前で呼んだ。
「彼、私の旦那なのぉ。イケメンでしょ? あの大手株式会社で取締役やってるのよぉ。すごいでしょ?」
「やめてくれよ、ミサキ。恥ずかしいじゃないか。」
セリコはショックで言葉も出なかった。
「羨ましいでしょ? ねぇ、そうでしょ?
ねぇねぇ聞いてよ、まもるくん。この子昔っから男あさりまくって玉の輿とか狙ってたのに35歳の独身だよぉ?
女の旬過ぎてんのに受付嬢とかやっちゃってるし。」
「やめなよ、ミサキ。」
彼は止めようとしたがミサキは口を閉じない。
「あ、受付嬢じゃないか。嬢って年でもないもんね。
なんだろ? 受付おばさん?ってそのまんますぎるか。」
セリコは唇を噛んで言いたい言葉を必死に飲み込んだ。全てはこのホテルの気品を守り抜くため。
「ねぇ、なんかいいなさいよ。態度悪すぎ。ねえ。」
彼女はやってやったという満足気な顔をした。
「お前の態度の方が悪いだろ。」
キチッとしたスーツに青いネクタイをキメたその男は最上階の部屋のカードを片手に現れた。
ホテルの顔ともいわれるフロントで明るく丁寧に接客をするのはこの物語の主人公、都賀セリコ 35歳。
青森の田舎でりんごを食べて育ち、都会に憧れ上京。今では田舎娘の面影すらない。
「あの、21階に小野田って人は泊まっているかい?」
見たところ40代くらいのイケメンなおじさんが爽やかに尋ねてきた。
「小野田様ですね。少々お待ちください。」
セリコはとにかく仕事がはやい。35歳といっても若手には劣らないし正確に仕事をこなす。周りからの信頼も厚い。
「お待たせ致しました。小野田様はただいま外に出ております。なにか要件がございましたら承りますが」
「いや、大丈夫だ。急ぎじゃないから待たせてもらうことにするよ。」
「かしこまりました。」
その時セリコは無理やり顔に笑顔を貼り付けていた。
なんなのよ、あの溢れんばかりの色気は!
てか声も超セクシーだし、あのヒゲの感じもたまんないんだけど!
どこの会社の人だろ。アタックしてみるか?
セリコの心の中は乱れに乱れまくっていた。
「ねぇ、あんたセリコじゃない?」
「え?」
ここでは呼び慣れない自分の名前に反応する。セリコの目の前にいたのはかつて男をめぐり争った高校時代の女友達 だった。
「ミサキ?」
「覚えててくれたんだ~。ま、忘れるわけないか。」
ミサキは嫌な笑みを浮かべ、セリコを鼻で笑った。
「へぇー、こんなとこで受付嬢ねぇ。玉の輿でも狙ってた感じ? ここお金持ちばっかりくるもんね。」
セリコは核心を突かれ何も言い返せない。
「あ、でもさぁ、受付嬢未だにやってるってことは玉の輿に乗り損ねたってこと? 可哀想なんだけど~」
我を忘れないように必死に耐えた。
彼女との因縁はさかのぼること18年前。
「セリコってまんずダサいっきゃ。おめ、一条先輩のことどう思ってんだ?」
「わだす? どうも思ってねぇよ。ミサキのすぎな人だべ?なんもねぇよ。わだす顔ブスだはんで」
といった3時間後にセリコは先輩と付き合った。
「私が好きになった人は必ずといっていいほどあんたのこと好きになるのよ。こんな田舎娘のどこがいんだか。顔は老いぼれちゃったけど、男に色目使うのは変わってないのねぇ。笑っちゃう。」
耐えきれず立ち上がったその時
「ミサキ、いるなら声掛けてくれよ。」
ミサキ?
先程セリコを一瞬で虜にしたイケおじは彼女を下の名前で呼んだ。
「彼、私の旦那なのぉ。イケメンでしょ? あの大手株式会社で取締役やってるのよぉ。すごいでしょ?」
「やめてくれよ、ミサキ。恥ずかしいじゃないか。」
セリコはショックで言葉も出なかった。
「羨ましいでしょ? ねぇ、そうでしょ?
ねぇねぇ聞いてよ、まもるくん。この子昔っから男あさりまくって玉の輿とか狙ってたのに35歳の独身だよぉ?
女の旬過ぎてんのに受付嬢とかやっちゃってるし。」
「やめなよ、ミサキ。」
彼は止めようとしたがミサキは口を閉じない。
「あ、受付嬢じゃないか。嬢って年でもないもんね。
なんだろ? 受付おばさん?ってそのまんますぎるか。」
セリコは唇を噛んで言いたい言葉を必死に飲み込んだ。全てはこのホテルの気品を守り抜くため。
「ねぇ、なんかいいなさいよ。態度悪すぎ。ねえ。」
彼女はやってやったという満足気な顔をした。
「お前の態度の方が悪いだろ。」
キチッとしたスーツに青いネクタイをキメたその男は最上階の部屋のカードを片手に現れた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)その後
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合つまた。
その後、大学を卒業した祐輔(ユウスケ)の新たなストーリーが始まった。
全15話を予定
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる