ダメ男はこの世から消し去りたい

ナホホ

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1ブーケ

女の価値

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 都心の駅から徒歩十分の場所にある外資系の高級ホテル。そこは全国にも姉妹ホテルをもっている。

  ホテルの顔ともいわれるフロントで明るく丁寧に接客をするのはこの物語の主人公、都賀セリコ 35歳。
 青森の田舎でりんごを食べて育ち、都会に憧れ上京。今では田舎娘の面影すらない。
「あの、21階に小野田って人は泊まっているかい?」
見たところ40代くらいのイケメンなおじさんが爽やかに尋ねてきた。
「小野田様ですね。少々お待ちください。」
セリコはとにかく仕事がはやい。35歳といっても若手には劣らないし正確に仕事をこなす。周りからの信頼も厚い。
「お待たせ致しました。小野田様はただいま外に出ております。なにか要件がございましたら承りますが」
「いや、大丈夫だ。急ぎじゃないから待たせてもらうことにするよ。」
「かしこまりました。」


その時セリコは無理やり顔に笑顔を貼り付けていた。


なんなのよ、あの溢れんばかりの色気は! 

てか声も超セクシーだし、あのヒゲの感じもたまんないんだけど! 

どこの会社の人だろ。アタックしてみるか?


セリコの心の中は乱れに乱れまくっていた。

「ねぇ、あんたセリコじゃない?」
「え?」
ここでは呼び慣れない自分の名前に反応する。セリコの目の前にいたのはかつて男をめぐり争った高校時代の女友達 だった。
「ミサキ?」
「覚えててくれたんだ~。ま、忘れるわけないか。」
ミサキは嫌な笑みを浮かべ、セリコを鼻で笑った。

「へぇー、こんなとこで受付嬢ねぇ。玉の輿でも狙ってた感じ? ここお金持ちばっかりくるもんね。」
セリコは核心を突かれ何も言い返せない。
「あ、でもさぁ、受付嬢未だにやってるってことは玉の輿に乗り損ねたってこと? 可哀想なんだけど~」
我を忘れないように必死に耐えた。


彼女との因縁はさかのぼること18年前。
「セリコってまんずダサいっきゃ。おめ、一条先輩のことどう思ってんだ?」
「わだす? どうも思ってねぇよ。ミサキのすぎな人だべ?なんもねぇよ。わだす顔ブスだはんで」

といった3時間後にセリコは先輩と付き合った。

「私が好きになった人は必ずといっていいほどあんたのこと好きになるのよ。こんな田舎娘のどこがいんだか。顔は老いぼれちゃったけど、男に色目使うのは変わってないのねぇ。笑っちゃう。」

耐えきれず立ち上がったその時

「ミサキ、いるなら声掛けてくれよ。」

ミサキ?


先程セリコを一瞬で虜にしたイケおじは彼女を下の名前で呼んだ。

「彼、私の旦那なのぉ。イケメンでしょ? あの大手株式会社で取締役やってるのよぉ。すごいでしょ?」
「やめてくれよ、ミサキ。恥ずかしいじゃないか。」

セリコはショックで言葉も出なかった。

「羨ましいでしょ? ねぇ、そうでしょ?
ねぇねぇ聞いてよ、まもるくん。この子昔っから男あさりまくって玉の輿とか狙ってたのに35歳の独身だよぉ?
 女の旬過ぎてんのに受付嬢とかやっちゃってるし。」
「やめなよ、ミサキ。」

彼は止めようとしたがミサキは口を閉じない。


「あ、受付嬢じゃないか。嬢って年でもないもんね。
なんだろ?    受付おばさん?ってそのまんますぎるか。」

セリコは唇を噛んで言いたい言葉を必死に飲み込んだ。全てはこのホテルの気品を守り抜くため。

「ねぇ、なんかいいなさいよ。態度悪すぎ。ねえ。」
   

彼女はやってやったという満足気な顔をした。



「お前の態度の方が悪いだろ。」

キチッとしたスーツに青いネクタイをキメたその男は最上階の部屋のカードを片手に現れた。





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