ダメ男はこの世から消し去りたい

ナホホ

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2ブーケ

俺様な男

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「なんですって! あんた誰よ!」

この緊迫した状況の中でセリコは彼が最上階の部屋のカードを持っていることを見逃さなかった。

 今どきこんなふうに助けてくれる人がいるなんて! それに加えてまさかの御曹司!?
見たところ20代前半だけど…。
セーフティーゾーンか?
 王子様って本当にいるもんなのね。

しかし、そんな呑気なことを考えている場合ではなかった。

「ココはあんたみたいな一般人が来る場所じゃないわよ!」
ミサキは強く言い返す。
「あのさぁ、誰に口聞いてんの? 俺16歳で起業して今じゃ社長やってんだけど。」
「だ、だ、からなによ」
彼の鋭い目つきにミサキの威勢の良さが段々となくなっていく。


「俺、あんたみたいなおばさんと同じ空気も吸いたくないんだけど。」

ん?


「なっ、失礼しちゃうわね。まもるくん、何か言ってやってよ。コイツに!」
自分の妻がふた周り以上も年下に馬鹿にされて黙っているようでは男ではない。

イケおじは口を開いた。

「大変申し訳ありません!社長。
すぐにこの場から去りますので!」

そういってミサキの腕を掴み、無理やり引っ張っていこうとした。

「待てよ、小野田。」
「は、はい」
イケおじは真っ青な顔で振り向く。
「お前の女か? 俺にあんたなんていった奴」
「…妻です。」
その時、誰しも嫌な予感がした。


「お前、明日から会社来なくていいから。」



この人は悪魔だ。王子様なんかじゃない。

「受付の女、はい、カード」
「あ、ありがとうございます…。」

我慢。我慢。我慢。
「残念だったな。お前の旦那、今日から無職だぜ。ま、離婚するってんならまた雇ってやってもいいけど。」
ホテルの為。ホテルの為。ホテルの為。

「俺は勝ち組。お前は負け組。この違いわかる?  おばさん。それはなあ、金があるかないかってはな」


「おい、歯食いしばれよ。小僧」
セリコは俺様男の左頬をグーで殴った。
女なら平手打ちが妥当だろう。なぜ彼女は綺麗にストレートを決めることが出来たのか。
 理由は単純だ。
かつて彼女は元ヤンキーで100人以上の男を束ねる女番長だったのだ。

「いっっっってぇ!」

彼の唇から血が流れている。

「そうでしょうね。久々に思いっきり殴ったんだから。」

今のセリコには青森で育った田舎娘の姿も可憐な受付嬢の姿もなかった。

「こんなことしていいと思ってんのか!俺はな、」
尻もちをついたままカッコ悪さ全開で怒る。
「ボクちゃん、何か勘違いしてない?」

元ヤンの姿だ。

「お前が食えて生活出来てんのは部下のおかげなんだよ。起業した奴が偉いのか? 金ある奴が勝ち組? 同じ空気吸いたくねぇ?
その年で敬語も使えねぇ奴が偉そうに道歩くんじゃねぇよ。小学校からこくごやり直してこい。」
「は、はい…」
「おめぇみでぇな男がいるから、わ(私)は結婚できねんだね!」

あ、やっちまった。

 こうしてセリコはこの世のダメ男をひとり成敗したのであった。

 この後彼女にはひどい後悔に駆られたのであった。彼女の為にも今日はこの辺で終わっておくとしようか。



 
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