ダメ男はこの世から消し去りたい

ナホホ

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真面目な男

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優しすぎる男と失恋を果たし、セリコは仕事に生きることを決めた。

「セリコ先輩、102号室のお客様お帰りになりました。」
「わかりました。」

私、都賀 セリコは35歳の独身です。
もう処女ではないですけど…。

「セリコ先輩、今日一緒に飲みに行きませんか? いい居酒屋見つけたんですけど。」

同僚で後輩の北上 ナコ。27歳、独身。
セリコとの年の差はあるが頼りがいのある後輩で仲がいい。

「ここです。」
そう言って中に入ると仕事を終え男たちで溢れていた。

「へぇ、いいとこじゃん。
でも、ナココから飲みに誘うなんてめずらしいこともあるんだね。」

ナコは普段彼氏中心で生きているため、あまり女と一緒に行動することはない。
セリコの場合は仕事仲間なのでセリコから誘わない限り飲もうとしないのだ。

「聞いてくれます!? 私の愚痴!」

あ、そーゆうことね。


「いいよ。その代わりナココのおごりね。」
「セリコ先輩、神です!」
そういって抱きついた。


今日は思いっきり飲めないな。



前回の反省を生かし、自宅以外で飲むのは禁止したのだった。


「話というのは、私の彼のことなんですけどね?」
「あ~、横山社長の秘書の?」
「その人ならとっくに終わってますよ。」
笑いながら否定する。


マジで?    
この話聞いて一週間も経ってないよね?


「その次の次の人なんですけどね。」
「あ、うん。」

次の次…。

ナコはその男の話を始めた。

先週の日曜日。

「あの、」
「どうかなさいましたか?」

受付していれば声をかけられるのはよくあること。

「わ、たしとお付き合いしていただけないでしょしゅか!」

か、噛んだ

その瞬間その場にいた人間が全員こちらを見た。

「…お客様、ただいま仕事中ですので。」
ニコッと笑って誤魔化すナコ。
「ここじゃなきゃ、あなたに会えないですから!」
なぜか大声を出す男。
「ええ、まぁ、そうですよね。」
そして納得してしまうナコ。

「私、ずっとあなたの事が好きだったんです! お付き合いして頂けませんか?」

メガネの奥から伝わってくる真剣な眼差し。
 ナコは食事に誘われることはよくあっても
正面から告白されることは一度もなかった。

「…とりあえず、今日一緒に食事に行きましょうか。話はその時に。」

ナコは自分から初めて男を食事に誘った。
こんな大勢の前でこの男に恥をかかせるわけにはいかないと判断したからだ。
下手に動けばホテルの信用にも関わる。

ーその夜ー

「名もなのらず大変申し訳ありません。
杉山 マサキと申します。スポーツ会社に勤務しています。」
丁寧に挨拶をする。

「わたしは、」
「大丈夫です。北上ナコさんですよね。
プレートを見て名前は存じ上げておりました。」


なんか硬いんだよなー…。
ノリも全然合わないし、真面目すぎ。


「どうして私なんですか?」
「あなたが魅力的だったからです。」
頼りない笑顔で笑った。
そんな彼になぜかキュンときてしまった。

「そうですか。
付き合うお話ですが、お試しでしたら大歓迎ですよ。」

ナコは意地悪っぽく話す。

「本当ですか!?   嬉しいなぁ。
 ナコちゃん、ありがとう。」
「はあ!?  いいんですか?
本気じゃないんですよ? お試しとか好きな人が出来たら終わりですからね?
 それ、わかって言ってます?」

息を切らしながら怒った。
この人は変な壺を買ってしまうタイプの人だった。

「それでもいいんだよ。私みたいな男が君みたいな人に相手してもらえるってだけで夢みたいなことなんだ。だからそれでもいい。」

嘘偽りのない言葉と表情になにも言えなくなった。それと同時に罪悪感さえおぼえてしまった。

「…連絡先、教えてください。」
「え、うん!」
嬉しそうに携帯電話を取り出す。

「付き合うとかそんな大事なこと簡単に決められませんから考えさせてください。」
「もちろんだよ。」
「1ヶ月以内に私から連絡がなかったら私のことは忘れて他の人を探してください。
  ごちそうさまでした。」

そういってその場を立ち去った。





「ってわけなんですよ。」
「え~?  のろけじゃないんでしゅか~?」

あれ程飲むのを自粛したはずなのに最近は飲まな過ぎてすぐにできあがってしまった。

「先輩、話聞いてました? あと弱すぎ。」
「ナココは、その人に連絡しゅるべきかどうか迷ってるんでしょ~?」
酔っても話はちゃんと聞けるタイプだった。

「…はい。あの人真面目だから絶対私からの連絡待っていると思うんです。だけど、私はあの人が思う程いい女じゃありません。」


思い悩むナコを見つめるセリコ。自分にもあんな頃があったなと昔を振り返る。

「可愛いね、ナココ。」
「は、はい!? 」
「でもさ、その人のことでそんなに悩んでる  
  時点で答えはもう見つかってるんじゃないの?」

ナコは、はっとした。

「ありがとうございます。先輩。」
「あと、あんたは相当いい女だよ。」
うるうるとした目をしながら、セリコに抱きつく。

「電話、してきます。」
「うん。」

そう言って席を外し外に出た。
「はい、杉山です。」
「私です。お付き合いする話まだ有効期限すぎてないですか?」
「えっ、も、もちろんです。」
「こんな私でよかったらよろしくお願いします。」
「本当ですか!! やったー!ありがとうございます!こちらこそよろしくお願いします」
彼は喜びを隠せない。



一方その頃
「くそ羨ましんですけど~。うわぁーん。」
「お客さん、しっかり。」

ナコは酔いつぶれていたのだった。


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