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第04話 リリア視点
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朝の王都には、黄金の光が差し込んでおり、まるで輝いているようにも見える。澄んだ冷たい空気が、石畳の街路を滑るようにすり抜けてゆく。
その街の中央――聖セントマリア学園の正門前に、一人の少女が立っていた。
リリア・セントマリアーー新調された制服に身を包み、彼女はゆるやかな笑みを浮かべている。
白と金を基調とした制服には、繊細なレースと刺繍が施されており、それはブロンドがかった明るい髪色や、澄んだ青の瞳と相まって、まるで物語の中から抜け出たような美しさを際立たせていた。
通り過ぎる少女たちの視線が、彼女に吸い寄せられていく。
「――あの子が、新入生?」
「もしかして噂のお嬢様では?」
ひそやかなざわめきと好奇の視線。けれどそれすらも、リリアにとっては馴染み深い【舞台】にすぎなかった。
(……やっと、始まるのね)
胸の内でそっと呟く。
その声は、【リリア】ではなく、【タチバナ カナコ】と言う、嘗ての名を持つ少女のモノだった。
高校二年の冬――それは、本当に何気ない日常の一日だった。
期末試験が終わって、放課後の帰り道にそれは起こった。
その日は風は冷たく、空はどこまでも青かった。制服のコートのポケットには小さく握りしめたチョコレート菓子。明日は、少しだけ好きだったクラスメイトに話しかけてみよう――そう思っていた。
でも、その【明日】は来なかった。
信号が変わったはずだった。ちゃんと左右も確認した。なのに、次の瞬間、世界は一瞬にしてひっくり返っていた。
眩しい光と、鋭い金属音。耳鳴りのような衝撃と、急速に遠のいていく喧騒。
そして、温かさ――皮肉にも最後に感じたのは、流れ出す血の温度だった。
誰かの悲鳴が聞こえた。
駆け寄る足音。呼びかける声。
けれど、すべてが遠かった。
まるで、自分だけがガラスの向こう側に取り残されたような――そんな不思議な静けさに包まれていた。
(あ、私……死んだんだ)
それはあまりにも呆気なくて、簡単に終わってしまった【世界】だった。
けれど――次に目を開けたとき、彼女はまったく違う景色の中にいた。
ふかふかの天蓋付きのベッドに薔薇を思わせる繊細な意匠のカーテン。暖炉の火がぱちぱちと燃え、どこからか花の香りが漂っている。
見知らぬ天井。けれど、まったく知らないわけではなかった。
自分が見ていた世界は間違いなくゲームで、何度も目にした画面の中。乙女ゲームである《月下の誓い》――あのファンタジー世界の、【ヒロイン】の私室だった。
自分は、【リリア・セントマリア】になっていた。
金髪碧眼の、誰もが振り返る美しい少女。慈愛と品性を持ち合わせ、全ての攻略対象に愛される【選ばれた主人公】に。
その瞬間、理解した。
(私はもう、カナコじゃない)
(ここでは、誰も私を見逃したりしない。見てくれないなんてこともない)
(私は、この世界の主役になった……ヒロインになったんだ!)
だから、もう後悔しない。
【選ばれなかった側】の人生は、ここで終わったのだ。
これからは――リリアとして、物語を歩いていく。
「お困りでしょうか、お嬢様?」
そんな時、すぐ近くから柔らかな声が響いた。
振り向くと、整った銀縁の眼鏡をかけた青年が立っていた。濃紺の制服をきちんと着こなし涼しげな目元には、控えめな笑みが浮かんでいる。
(……アレン・グレイロックだ!)
リリアの心が、わずかに高鳴る――忘れるわけがない。
《月下の誓い》のメイン攻略対象の一人。名門・グレイロック家の嫡子であり、リリアにとっては【幼なじみ枠】のキャラクターだった。
だが今、目の前の彼はまるで初対面のような距離感で丁寧に立っている。
「初登校の日は緊張されますよね。もしよければ、学園内をご案内いたします」
やさしく差し出された手。それに自分の手を重ねながらリリアの中で小さな違和感が芽生えた。
(……あれ?もっと、気安く話しかけてくれると思ってたのに……?)
ゲームの中では、アレンはもっと親しげだった。「大丈夫か、リリア」と気軽に声をかけ、からかうような笑みを浮かべるような、そんな幼なじみらしさがあったはずだ。
けれど今の彼は、どこまでも上品な名家の御曹司として接してきている。
(……まあ、シナリオ通りってわけじゃないのね。これも【選択肢】があるってことかしら)
「ありがとうございます。……ええ、少し緊張していて」
「ご安心を……ここで緊張しなかった方が、珍しいくらいです」
アレンはそう言って、少しだけ微笑んだ。
「改めて、私はアレン・グレイロック。学園の二年生で入学式の世話役を仰せつかっています。どうか気楽にお付き合いください」
その名乗りに、リリアは丁寧に礼を返した。けれど内心ではやはり違和感が拭えなかった。
(このアレン……ちゃんと私の事を覚えてないの?幼なじみだったよね?――あ、そっか。これはゲームと違って、現実の世界なんだ。最初から全てが決まってるわけじゃない)
そう思い直すと、胸の奥にある奇妙な興奮がふつふつと湧いてくる。
ルートが決まっていないのなら、自分が【選ばせる】。ヒロインとして、この物語を【始めさせる】のだ。
「よろしくお願いします、アレン様。ご案内お願いできますか?」
「もちろんです。リリア嬢、こちらへどうぞ」
差し出された腕にそっと手を添えて、ふたりはゆっくりと歩き出す。
学園内には、淡い光が差し込んでいた。
シャンデリアに赤い絨毯、彩り豊かなステンドグラス。その全てがまるでヒロインのために用意された舞台装置のようだった。
「あなたのような方なら、すぐに学園でも注目の的になるでしょうね」
「まぁ……それは少し、恐れ多いですけれど」
「いえ、本心です。貴女には【華】のようなモノがあります。おそらく、誰もが目を奪われるでしょうね」
(……やっぱり、これよ)
この空気。この視線。この肯定。彼の言葉はまるで、恋のプロローグのようだ。
(アレン、王子、カミル、魔術師、平民の青年……)
(そして最後に、悪役令息・ハイデン)
リリアの心の中で、物語の輪郭が形を取り始めていた。
心の中で、ルートの順序をなぞる。物語の流れは、プレイヤーだった頃に何度も経験してきた。
けれど、その中で彼女が最も苦しめられた存在がいた。
――ハイデン・ヴァルメルシュタイン。
ただの悪役ではない。
物語の終盤、必ずプレイヤーの前に立ちはだかる、最後の障壁。冷酷で、強大な魔力を持ちであり、そしてヒロインを邪魔者として排除しようとする【ラスボス】だ。
だからこそ――彼を乗り越えたときにこそ、ヒロインは【幸せ】を掴める。
(彼は、ただの悪役なんかじゃない。この世界を閉じる【鍵】なのよ)
どんなルートを選んでも、最後には彼を倒すことでしかエンディングに辿り着けなかった。それほどにハイデンは強すぎる【存在】なのだ。
(でも今回は違う。私は【リリア】になったんだから)
(前みたいに、失敗なんてしない)
やがて案内が終わり、アレンが優雅に頭を下げる。
「また学内でお会いしましょう、リリア嬢」
「ええ、今日はありがとうございましたアレン様」
微笑みとともに告げると、周囲の女生徒たちからざわめきが起きた。だがそれすらもリリアと言う存在が周知され、そして歓迎されているかのような、そんな証にしか見えなかった。
ゆっくりと校舎を振り返り、その瞳はどこまでも澄んでいた。けれど、その奥に潜むものは――。
(ハイデン……あなたも、そろそろ出てきなさい)
(【物語】を終わらせるために。私の幸福を証明するために)
青空の下、リリアの瞳は細められる。その笑みの奥に宿る確信は、まるで舞台の幕が上がる合図のようだった。
だが彼女はまだ知らない。
物語はすでに、【歪み】と言うモノが始まっていると言う事を。
その街の中央――聖セントマリア学園の正門前に、一人の少女が立っていた。
リリア・セントマリアーー新調された制服に身を包み、彼女はゆるやかな笑みを浮かべている。
白と金を基調とした制服には、繊細なレースと刺繍が施されており、それはブロンドがかった明るい髪色や、澄んだ青の瞳と相まって、まるで物語の中から抜け出たような美しさを際立たせていた。
通り過ぎる少女たちの視線が、彼女に吸い寄せられていく。
「――あの子が、新入生?」
「もしかして噂のお嬢様では?」
ひそやかなざわめきと好奇の視線。けれどそれすらも、リリアにとっては馴染み深い【舞台】にすぎなかった。
(……やっと、始まるのね)
胸の内でそっと呟く。
その声は、【リリア】ではなく、【タチバナ カナコ】と言う、嘗ての名を持つ少女のモノだった。
高校二年の冬――それは、本当に何気ない日常の一日だった。
期末試験が終わって、放課後の帰り道にそれは起こった。
その日は風は冷たく、空はどこまでも青かった。制服のコートのポケットには小さく握りしめたチョコレート菓子。明日は、少しだけ好きだったクラスメイトに話しかけてみよう――そう思っていた。
でも、その【明日】は来なかった。
信号が変わったはずだった。ちゃんと左右も確認した。なのに、次の瞬間、世界は一瞬にしてひっくり返っていた。
眩しい光と、鋭い金属音。耳鳴りのような衝撃と、急速に遠のいていく喧騒。
そして、温かさ――皮肉にも最後に感じたのは、流れ出す血の温度だった。
誰かの悲鳴が聞こえた。
駆け寄る足音。呼びかける声。
けれど、すべてが遠かった。
まるで、自分だけがガラスの向こう側に取り残されたような――そんな不思議な静けさに包まれていた。
(あ、私……死んだんだ)
それはあまりにも呆気なくて、簡単に終わってしまった【世界】だった。
けれど――次に目を開けたとき、彼女はまったく違う景色の中にいた。
ふかふかの天蓋付きのベッドに薔薇を思わせる繊細な意匠のカーテン。暖炉の火がぱちぱちと燃え、どこからか花の香りが漂っている。
見知らぬ天井。けれど、まったく知らないわけではなかった。
自分が見ていた世界は間違いなくゲームで、何度も目にした画面の中。乙女ゲームである《月下の誓い》――あのファンタジー世界の、【ヒロイン】の私室だった。
自分は、【リリア・セントマリア】になっていた。
金髪碧眼の、誰もが振り返る美しい少女。慈愛と品性を持ち合わせ、全ての攻略対象に愛される【選ばれた主人公】に。
その瞬間、理解した。
(私はもう、カナコじゃない)
(ここでは、誰も私を見逃したりしない。見てくれないなんてこともない)
(私は、この世界の主役になった……ヒロインになったんだ!)
だから、もう後悔しない。
【選ばれなかった側】の人生は、ここで終わったのだ。
これからは――リリアとして、物語を歩いていく。
「お困りでしょうか、お嬢様?」
そんな時、すぐ近くから柔らかな声が響いた。
振り向くと、整った銀縁の眼鏡をかけた青年が立っていた。濃紺の制服をきちんと着こなし涼しげな目元には、控えめな笑みが浮かんでいる。
(……アレン・グレイロックだ!)
リリアの心が、わずかに高鳴る――忘れるわけがない。
《月下の誓い》のメイン攻略対象の一人。名門・グレイロック家の嫡子であり、リリアにとっては【幼なじみ枠】のキャラクターだった。
だが今、目の前の彼はまるで初対面のような距離感で丁寧に立っている。
「初登校の日は緊張されますよね。もしよければ、学園内をご案内いたします」
やさしく差し出された手。それに自分の手を重ねながらリリアの中で小さな違和感が芽生えた。
(……あれ?もっと、気安く話しかけてくれると思ってたのに……?)
ゲームの中では、アレンはもっと親しげだった。「大丈夫か、リリア」と気軽に声をかけ、からかうような笑みを浮かべるような、そんな幼なじみらしさがあったはずだ。
けれど今の彼は、どこまでも上品な名家の御曹司として接してきている。
(……まあ、シナリオ通りってわけじゃないのね。これも【選択肢】があるってことかしら)
「ありがとうございます。……ええ、少し緊張していて」
「ご安心を……ここで緊張しなかった方が、珍しいくらいです」
アレンはそう言って、少しだけ微笑んだ。
「改めて、私はアレン・グレイロック。学園の二年生で入学式の世話役を仰せつかっています。どうか気楽にお付き合いください」
その名乗りに、リリアは丁寧に礼を返した。けれど内心ではやはり違和感が拭えなかった。
(このアレン……ちゃんと私の事を覚えてないの?幼なじみだったよね?――あ、そっか。これはゲームと違って、現実の世界なんだ。最初から全てが決まってるわけじゃない)
そう思い直すと、胸の奥にある奇妙な興奮がふつふつと湧いてくる。
ルートが決まっていないのなら、自分が【選ばせる】。ヒロインとして、この物語を【始めさせる】のだ。
「よろしくお願いします、アレン様。ご案内お願いできますか?」
「もちろんです。リリア嬢、こちらへどうぞ」
差し出された腕にそっと手を添えて、ふたりはゆっくりと歩き出す。
学園内には、淡い光が差し込んでいた。
シャンデリアに赤い絨毯、彩り豊かなステンドグラス。その全てがまるでヒロインのために用意された舞台装置のようだった。
「あなたのような方なら、すぐに学園でも注目の的になるでしょうね」
「まぁ……それは少し、恐れ多いですけれど」
「いえ、本心です。貴女には【華】のようなモノがあります。おそらく、誰もが目を奪われるでしょうね」
(……やっぱり、これよ)
この空気。この視線。この肯定。彼の言葉はまるで、恋のプロローグのようだ。
(アレン、王子、カミル、魔術師、平民の青年……)
(そして最後に、悪役令息・ハイデン)
リリアの心の中で、物語の輪郭が形を取り始めていた。
心の中で、ルートの順序をなぞる。物語の流れは、プレイヤーだった頃に何度も経験してきた。
けれど、その中で彼女が最も苦しめられた存在がいた。
――ハイデン・ヴァルメルシュタイン。
ただの悪役ではない。
物語の終盤、必ずプレイヤーの前に立ちはだかる、最後の障壁。冷酷で、強大な魔力を持ちであり、そしてヒロインを邪魔者として排除しようとする【ラスボス】だ。
だからこそ――彼を乗り越えたときにこそ、ヒロインは【幸せ】を掴める。
(彼は、ただの悪役なんかじゃない。この世界を閉じる【鍵】なのよ)
どんなルートを選んでも、最後には彼を倒すことでしかエンディングに辿り着けなかった。それほどにハイデンは強すぎる【存在】なのだ。
(でも今回は違う。私は【リリア】になったんだから)
(前みたいに、失敗なんてしない)
やがて案内が終わり、アレンが優雅に頭を下げる。
「また学内でお会いしましょう、リリア嬢」
「ええ、今日はありがとうございましたアレン様」
微笑みとともに告げると、周囲の女生徒たちからざわめきが起きた。だがそれすらもリリアと言う存在が周知され、そして歓迎されているかのような、そんな証にしか見えなかった。
ゆっくりと校舎を振り返り、その瞳はどこまでも澄んでいた。けれど、その奥に潜むものは――。
(ハイデン……あなたも、そろそろ出てきなさい)
(【物語】を終わらせるために。私の幸福を証明するために)
青空の下、リリアの瞳は細められる。その笑みの奥に宿る確信は、まるで舞台の幕が上がる合図のようだった。
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