【連載中】魔王様、婚約者は勇者の妹らしいですよ?

高校生_まさと

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第2話「勇者の妹、魔王城を歩く」

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「すごい!魔王城って本当に広いんですね!」

アリシアは無邪気な声を上げながら、石造りの廊下を歩いていた。その後ろを歩く俺――魔王レグナスは、冷めた目でその様子を見守っていた。

「そんなに騒ぐな。ここは観光地じゃない。」
「でも、こんな大きなお城に来るの、初めてなんですよ!お兄ちゃんの騎士団本部よりもずっと豪華だし……」

彼女はキョロキョロと城内を見回しながら、楽しそうにしている。その姿に周囲の魔族たちは不安げな視線を向けているが、彼女はまったく気にしていない。

「一応言っておくが、この城には君を歓迎していない者も多い。勝手に歩き回るな。」
俺が冷たく釘を刺すと、彼女は一瞬だけ真顔になり――すぐに明るい笑顔を浮かべた。

「大丈夫です!誰とでも仲良くなれる自信がありますから!」

その言葉に、俺は思わずため息をついた。


---

彼女を部屋まで案内する間、俺たちは城内の規則について話をした。

「君が暮らす間、守ってもらいたいルールは3つだ。」
「ルール?分かりました、何でも守ります!」
彼女の真剣な表情に、俺は淡々と説明を続ける。

「まず、城内を無断で歩き回るな。ここには魔力の強い者や、君を敵視する者がいる。」
「はい。」

「次に、戦いを挑まれても決して応じるな。君は戦えないだろうし、争いが起きれば和平どころの話ではなくなる。」
「もちろんです!私、武器とか持ったことありませんし。」

「最後に……俺の許可なく勝手に城を出るな。外は人間にとって安全とは言えない。」

「分かりました!絶対に守ります!」
彼女は自信満々に答えるが、その調子がどこまで続くかは怪しいものだ。


---

やがて、彼女の部屋に到着した。

「ここが君の部屋だ。」

扉を開けると、広々とした部屋が目の前に広がる。ふかふかのベッドに高級な家具、窓の外には城下町を見下ろす景色が広がっていた。

「わぁ……すごい!」
アリシアは目を輝かせながら部屋を見渡し、窓辺に駆け寄る。

「この部屋、本当に私が使っていいんですか?」

「当然だ。君は魔王城の婚約者として迎えられたのだからな。」

「ありがとうございます、魔王様!」
彼女の笑顔に、俺は少し戸惑いながらも言葉を返した。

「何かあれば侍女を呼べ。それから、約束を忘れるなよ。」


---

その夜、俺のもとに長老の一人であるバルガが訪れた。

「魔王様、あの人間の少女は本当に信じてよろしいのでしょうか?」

「彼女がここに来たのは俺の意思ではない。だが、和平の象徴として彼女を受け入れる以上、俺が責任を持つ。」

「しかし、勇者の妹というだけで城内の不安は高まっております。」

「その不安を払拭するのも俺の役目だ。余計なことは考えるな。」

バルガは不満そうな表情を浮かべながらも、深々と頭を下げて去っていった。


---

翌朝、玉座の間の扉が慌ただしく開かれた。侍従が駆け込んでくる。

「魔王様、大変です!勇者エリオが城に向かっているとの報告が!」

その言葉に、俺は眉間に手を当て、深く息を吐いた。

「……やはり来たか。」

次回:勇者エリオ襲来!魔王城で兄妹の激しい言い争いが始まる!?

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