学校1のイケメン♀️から逃げ出した先には地獄しかありませんでした

山田空

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第42話 もう一度

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「俺はきみと話していて決めたことがある」

「なんですか?」

「俺やっぱり桜のところに行かなくちゃ」

「それは……」

「それじゃあ俺は行ってくるよ」

そういって俺は志崎深雪に背中を見せる。

「わたくし我慢しないといけないですのになぜでしょうね」

志崎深雪が急に抱きついてくる。

「いやですわわたくしはまだ一緒にいたいんですわ」

急に抱きつかれて驚き俺は志崎深雪の方を振り向く。

志崎深雪は悲しそうな顔をしていた。

涙で顔がぐちゃぐちゃになっていた。

きれいで見るもの誰しもが好きになってしまうようなそんな美人な彼女が涙で原型がないほどに歪む。

俺はそんな涙で顔がぐちゃぐちゃになっていた彼女を抱きしめる。

「なんですか」

「別にただ抱きつきたかったから」

「変態ですね」

「あははそうだね」

「ねえやっぱりいやなんです」

「でも……応援してくれたじゃないか」

「だけどもう一度よりを戻したいと思う気持ちがあるのは普通でしょ」

「それでも俺はやっぱり」

「……ねえお願いです」

俺に抱き返してくる。

こんなに愛してくれるのはやっぱり嬉しい。

でも逃げたままはやっぱりよくない。

だから断らなくちゃいけない。

だけど彼女の顔を見るとどこか悲しい気持ちで一杯になる。

彼女の抱き返してきたちからがいつもよりも強くてそれだけ俺に消えてほしくないんだと思っているのだと伝わってくる。

でも断らなくちゃいけない。

そんな気持ちがじぶんを苦悩させる。

「くっ……」

ちからが強すぎて思わず苦しむ。

志崎深雪は泡を吹きはじめた俺に気がつき慌ててちからを緩める。

「あっごめんなさい」

「いや別にいいんだ」

咳き込みながらも俺は出来る限りの笑顔でそう返す。

「でもやっぱりゆうちゃんと一緒にふざけていて思いました」

「なにを?」

「ゆうちゃんとこのまま付き合いたいって気持ちです」

俺は気がつく。

あれ?彼女がお嬢様言葉を忘れている。

いつも演技をしていた。

余裕そうにしていたそんな彼女がいまは演技を忘れてまで俺を必死に繋ぎ止めようとしてくれている。

でも1つ思うんだ。

とんでもない言葉をいったあとでこんな感動的なシーンを流してもなんだか変だよなあと思ってしまう。

違和感がすごい。

唾液がじぶんの手に付着してわがままをいっていた俺はそこにはいなかった。

そのことを傷ついて怒る女の子の姿もそこにはいなかった。

そこには大切なものを選んでその人の元に行こうとする1人の男と応援したかったのに彼への気持ちを引きずってしまいもう一度付き合えないかとお願いをする一人の女性がいた。

風が俺たちの間に吹く。

彼女は俺の服に頭をうずめてくる。

どれだけの時間がたったかわからない。

彼女は涙を涙を流すのをやめる。

「引き止めちゃってごめんね」

「うんじゃあね」

俺たちは別れの挨拶をする。

それが彼女なりに決意を固めたのだと伝わった。

でも俺は震えている。

ああ格好悪いなあ。

会おうってなって応援されてそれなのに俺は怖がっている。

なんでだ。

おかしいじゃないか。

会わないといけないのに謝ってもう一度彼女に告白をしなくてはいけない。

それにもしかしたら誰かにとられてしまう可能性があるのがいやだ。

「いってらっしゃい」

志崎深雪が俺の背中を押す。

「なんで?」

俺は思わず聞く。

振り向くと彼女はいつもの笑顔だった。

ずっと涙を流していたのに彼女は最後はいつもの笑顔に変わったんだ。

それなら俺も覚悟を決めなくちゃいけない。

格好悪いままだったらダメだから俺は走る。

足がもつれて倒れそうになっても足を踏みしめて前を向き走る。

息がきれそうになってもそれでも俺は走る。

俺は病院に入る。

まだいるかなもしかして退院したかなそんな考えは走っていると忘れる。

看護師が注意をしてくる。

「病室で走るのをやめなさい」

「すいません」

そして俺はようやく病室の扉に手をかける。
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