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グレン、結婚式にて
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「は?出席されるのですか?」
アニエスをザルツコードに送り帰し、朝食
の席で家宰のヨーゼフに弟の結婚式に出席
すると告げると困惑された。
その困惑したヨーゼフの声にその場にいた
使用人達が一斉にうるうると涙目で俺に
心配目線をくれる。
──いや、待てお前達。
何も泣かんでもいいだろう?
心配するな。弟の結婚式に行くだけだぞ?
「何か心境の変化でもございましたか?」
ヨーゼフも明らかに心配顔だ。
こいつも大概過保護だな。
この年になっても家族関係を使用人に心配
される俺……なんか情けない。
そんなに不幸そうか?
そこの侍女、止せ。本格的に泣くな。
……料理長、なんでお前も扉の隙間から
泣きながら聞き耳をたてているんだ。
別に俺は傷ついてなどいないぞ?
ましてや今更、幼少期の不遇など気にして
いない。
ただ血の繋がりがあるだけの人間が罪悪感
をたっぷり漂わせて家族のように寄って
来るのが面倒なだけだ。
「いや、俺が行かないとマックスがアニエス
をエスコートして出席するらしい。
しかも既にアニエスにドレスを贈っている。
冗談じゃない。絶対に見過ごせない」
「成る程……あのザルツコードの小童め!
かしこまりました。まずは先方に出席の連絡
とアニエス様にドレスでございますね?」
「一週間しかないからな……間に合うか?」
どうせならマックスから贈られたドレス
よりも良いものを贈りたい。
……クソ。イライラする。
あいつがアニエスと同じ屋根の下で寝食を
共にしているかと思うとムカムカする。
「ご安心下さい。一通りのドレスは作成
済みですし、アニエス様専用の工房を
押さえております。どんなドレスもすぐに
できますとも」
ドヤ顔のヨーゼフの言う通り、三日後には
アニエスの元にドレスが届けられた。
きっと似合うはず。楽しみだ。
正装したアニエスをエスコートするのは
去年の王宮舞踏会以来だ。
思わずにやける。
もう、すっかり結婚式に出席する目的が
違っているな。笑える。
当日、ザルツコードにアニエスを迎えに行く
とマックスが苦虫を噛み潰したような顔で
俺を見る。
ふん。アニエスは俺の婚約者だ。
「グレン様……無理をして出席しなくとも
よかったのでは?あなたが絶対出席しないと
思ったからアニエスにドレスを贈ったのに」
「悪いがそのドレスはお蔵入りだな。他の
男の贈ったドレスなど絶対に袖を通させん」
「心が狭いと言われませんか?」
「今、知ったのか?俺に広い心などない。
死にたくなかったら節度を持った距離を
とれよお義兄様?」
「思い出作りぐらいさせて下さいよ。
アニエスを好きになったのは僕の方が先
なんですから」
「お前のそれは仕事だろう」
「ええ、運命を呪っています。最初から
彼女はあなたのものでしたから」
「それは関係ない。俺がアニエスに惚れた
のは……」
「足ですよね?足!最低ですよね!」
「なんとでも言え。きっかけは何でも俺は
心の底からアニエスを愛している!」
マックスはアニエスの前の養家である
パリス伯爵家に従僕として潜伏していた。
ドルツ侯爵家と帝国との繋がりや人身売買、
違法薬物の流通網を探るため。
変装しての潜入捜査だ。
そのために虐待されるアニエスを身近に
見守っていた。
ひどい目にあってきたのに全く歪まずに
お人好しで呑気な性格に育ったアニエス。
マックスが惹かれるのも分かる。
俺もそんなところを尊敬している。
この事はアニエスは知らない。
マックスも言う気はないようだ。
まあ監視、護衛対象であるアニエスに恋愛
感情を持ってしまったとは言えないだろう。
ましてや今、義兄としてあれだけ慕われて
いたら尚更だ。
マックスは最初からアニエスが高魔力持ち
で俺の相手にとオーウェンが目をつけて
いた事を知っている。
最初から行き止まりの八方塞がりの恋。
思えば気の毒としか言いようがないが
だからと言ってアニエスを譲る事は
絶対にない。
「グレン様!お待たせしてすみません」
淡いオレンジ色のドレスに身を包んだ
アニエスがパタパタと走ってこちらに
やって来る。
か、可愛い!
小さな小花をあしらったドレス。
白いレースや金糸の刺繍が美しい。
髪には真珠と金の髪飾りが飾られている。
まるで花の妖精だ。
「うん。似合っているな」
「ドレス、ありがとうございました」
ふんわりと笑うアニエスに見惚れる。
……ん?ところでこの金と真珠の髪飾りは?
俺が贈ったものではないな?
アニエスに似合ってはいるが……まさか。
マックスを見るとニヤリと笑う。
──クソ!こいつか!
「どこかの心の狭い方のせいで、せっかく
僕が贈ったドレスを着てもらえませんで
したからね。まあ、これぐらいはお見逃し
下さい。義弟よ?」
なにが義弟だ。ムカつく。
マックス……すっかりオーウェンに似て
きたな。この悪魔二号が!
こいつ……どこかで一度シメるか?
「おお~そっか。私とグレン様が結婚する
とグレン様はマックス義兄様の義弟になる
のですね。何かへんなの。ふふふ!」
アニエスが俺とマックスを見て笑う。
呑気なアニエスに毒気を抜かれる。
俺とマックスは目を合わせると同時に
ため息をついた。
「まあ、面白い。若いっていいわね。
マックスは元からだからともかく、グレン
も中々鬱陶しい男になったわねぇ。うふふ」
マックスのパートナーは母親のマリーナだ。
深い青色のドレス姿。
相変わらず美しい。オーウェンは今は単身、
南辺境にいる。
アニエスと俺の結婚式が終わったら
マリーナも南辺境へと移住する。
アニエスはだからザルツコードに帰りた
かったのだ。
もうすぐ遠くに行ってしまう義母を慕って。
俺もこの人の事は実の母より慕っている。
子供の頃にずいぶん可愛がってくれた。
「俺が鬱陶しくても国は滅ばないだろう?」
「国は滅びないけれどアニエスに嫌われ
ないようにほどほどにね」
「母上……僕は元からって?」
「あなたほど鬱陶しい子も他にいない
じゃない?オーウンにそっくりだもの」
ニッコリ笑って止めを刺すマリーナ。
マックスはどこか遠くを見るような虚ろな
目になる
………父親にそっくりね。悪魔にそっくり。
一番言われたくない言葉だろう。
マックス、母親に撃沈される。
ちょっと可哀想になってきたな。
髪飾りぐらいは見逃すか。
不憫になったので俺は労りながら
顔色の悪いマックス背中を
ポンポンと軽く叩いた。
──弟の結婚式は滞りなく無事に終わった。
大聖堂での式に参列し、各自馬車で披露宴の
行われるアーマカイン公爵家本邸に集まる。
弟の花嫁は侯爵家の三女。
見たところ新婚夫婦の互いの魔力の
バランスはいい。
おそらくこの二人の間に子ができても母の
ようにはなるまい。
あの人の不幸の原因は魔力が低いのにも
かかわらず王族と婚姻し子を設けた事だ。
魔力差はあっても相性の良さから子供は
出来たが、その出来た子供が俺じゃあな。
馬鹿高い魔力持ちの子供を孕んでしまった
のが彼女の運の尽きだ。
幸い次子である弟はそんなに魔力が
高くない。
あの父親は馬鹿だろう。
もしも弟が俺なみに魔力が高かったら
きっと母は生き永らえる事はできなかった
だろうに。
あれだけ出産で乱心したのに。
何でまた子供を作ったんだ。
アホだろう。弟がたまたま魔力の低い子供
だったから無事だった。
運が良かっただけの結果論。
愛する女にそんな負担を強いる。
俺なら絶対にやらない。
そのアホな父親は俺が式に参列したので
感極まって泣きやがった。
──うざい。
俺はただマックスにアニエスのエスコートを
させたくなかっただけだ。
そう。心が狭いのだ。
まあ、俺の心が狭くても国は滅びないから
いいだろう。
弟夫妻とは普通に挨拶した。
弟は父親を反面教師にしたのかちゃんと
空気の読める男だ。
俺に過度に寄って来ない。
母親に似た柔らかな印象の弟。
花嫁も優しそうだ。良かった。
ちゃんと幸せにな。
母親が式の時からずっとチラチラ俺も見る。
せっかく正気になって幸せになったんだ。
俺の事などもう気にするなよ。
実家での宴席。
新婚の弟夫妻がファーストダンスを踊り
会場が拍手に包まれる。
次の曲が流れたのでアニエスと踊る。
そういえば王宮舞踏会では高速ステップで
アニエスを振り回したな。
負けず嫌いなアニエスは身体強化まで使って
俺のスピードに合わせてきた。馬鹿だろ。
あれは面白かったな。
「グレン様。今日はさすがに高速ステップは
やめて下さいよ?お祝いの席ですからね?」
「はは!アニエスもあれを思い出していたの
か。あれは面白かったよな」
「もう!グレン様のお陰で私は王宮舞踏会
でドヤ顔でフィニッシュポーズまでしたん
ですよ?あれは恥ずかしかった!
もうやりませんよ?」
「お前、ノリノリだったよな」
「恥ずかしいから言わないで~!もう!
グレン様の馬鹿!」
「ははは!」
三曲、続けて普通に踊る。
アニエスが俺がいつ高速ステップを繰り
出すかびくびく警戒しているのがおかしい。
リスのびくびくダンス。
本当に面白い。
アニエスが喉が乾いたと言うので踊りの
輪から抜ける。給仕から冷えたシャンパンを
もらい喉を潤す。
ん?これはエルドバルド領産のものか?
「美味しい!グレン様、このシャンパン。
すごく美味しいですね」
キラキラ目を輝かせてアニエスが言う。
こいつも酒好きだよな。
「家の領地産のものらしいな」
「え?本当ですか?グレン様……ワイナリー
巡り!ちゃんと連れて行って下さいね?
シャンパンもこんないいものを作っている
なんて。ああ~早く行きたい」
リスが酒に目が眩んでいる。
うむ。どこかで時間を作るか。
長く家を留守にしていたから仕事は貯まって
いるが、アニエスのおねだり。
何とかしよう。
最悪、領地まで『穴』を繋げればいいかと
考えていたら、母と目が合う。
すると青い顔で真っ直ぐ俺に向かって
歩いて来る。
止せ、止せ。
そんな青い顔で無理をして俺に近づくな。
「グレン、一曲踊っていただけますか?」
何を思ったのか俺にダンスのお誘いだ。
大丈夫か?この人。
決死の覚悟がひしひしと伝わってくる。
いや、本当にもう気にしないでくれ。
この世に生み出してくれただけで感謝して
いる。それ以上俺は何も望んでいない。
「お願いします」
頭を下げる母に困惑する。
アニエスを見ると心配そうに俺を見ている。
思わずため息が出る。
今の俺は竜だ。
竜は人との間に子を成すために体と魔力を
人に合わせて変化させている。
人であった頃に母を苦しめた俺の魔力は
竜として変化している。
触れても問題ない。プリシラは俺に触れて
その変化に驚いていた。
何せプリシラは俺に抱きついては嘔吐して
いたから無理もない。
人化している時と竜化している時では
当然体の構造も魔力も違う。
オーウェンが白竜の血を浴びて無傷だったの
は白竜が人化していた時の血だからだ。
アルフォンスやアイリス、アルマは竜化した
時の黒竜の血を浴びて傷を負った。
竜の血は猛毒。
血の契約は竜化した竜の血でなければ駄目
なのでは?今度黒竜に確認してみるか。
だとすると俺はなぜ、人の姿のアニエスの
血を舐めて血の契約者になったのだろう?
つくづくアニエスは謎の存在だ。
目の前に頭を下げたままの母。
こんな小柄な人だったろうか。
やれやれ。俺ははため息をつくとアニエス
に声をかける。
「アニエス、母と踊ってきてもいいか?」
「はい。行ってらっしゃいませ」
アニエスの満面の笑顔に背を押される。
ならばついでにもう一つ片付けるか。
離れた所で社交に励むマックスを見る。
マリーナは夫人同士の付き合いで親しい友人
と話込んでいる。
マックスが俺の視線に気づき急ぎ足で
こちらにやって来た。
「俺が戻るまでアニエスのエスコートを
頼む。一曲だけ踊っていいぞ」
マックスに告げるとポカンとした顔になる。
俺の気が変わらないうちにさっさとアニエス
をダンスに誘えアホが。
さて俺も誘うとするか。
「では一曲お相手願えますか?」
母に手を差し出した。
パッと顔をあげ俺の顔をしげしげと見る母。
震える手で俺の手をとった。
すると一瞬、驚いた顔をする。
昔と魔力が違うでしょう?
もう、俺はあなたを傷つけない。
ずっとお互い無言のまま踊る。
母の瞳が涙で潤んでいる。
……結局、俺はこの人を泣かせてばかりだ。
曲が終わる。
「……ありがとう。どうか元気で」
「ええ、あなたもお元気で」
短い別れの挨拶。
まさか母とダンスを踊る日がくるとはな。
父は弟の結婚を期に爵位を弟に譲り領地に
戻って隠居する。母も当然一緒だ。
もう会う事はないかもしれない。
父の元へと歩く母の背中を見送る。
どうか穏やかに。幸せになって下さい。
心の中で別れを告げた。
「グレン様!」
ダンスを終えたアニエスが笑いながら
マックスにエスコートされて戻ってきた。
二人とも楽しそうに踊っていたな。ふん。
「ありがとうございました。いい思い出に
なりましたよ」
マックスは真面目な顔で俺に礼を言うと
また社交に戻って行った。
「大丈夫ですか?」
アニエスが俺の顔を見上げる。
「ああ。いい記念になった」
「グレン様。グレン様には私がいます。
二人で幸せになりましょうね」
「ああ。そうだな。早くアニエスと結婚
したい。人の結婚式を見ると早く式をあげ
たくなるな」
「それは大変ですね~。まだ、これから
結婚式ラッシュがあるのに。
先ずはアルマさんとマクドネル卿の結婚式
ですよ。ふふふ!」
「ああ。アルマの奴。もう結構腹が大きく
なっているらしいな?」
「グレン様が私のために作ってくれた八十
着のウエディングドレスが役に立ちました。
マクドネル卿が用意していたドレスがきつく
なってしまって困ってましたから」
そう。マクドネルが困っていたので沢山ある
から一着、提供した。
思っていたよりアルマの腹が大きいらしい。
サイズが合わなくなって慌てていたから
丁度よかった。
アニエスとアルマは体形がほぼ一緒だ。
アルマやアイリス、エリザベートはよく
アニエスに自分のドレスをお下がりで着せて
愛でていた。
あいつらの結婚式が迫っている。
俺の作った八十着のドレスは……
計画性のない奴らの救世主になっている。
式までに腹まわりがどんなに大きくなっても
対応できる。
計画性のある俺に感謝して欲しい。
隣でニコニコ笑うアニエス。
俺達の結婚式まであと半年を切った。
それまでに腹が大きくなるかな?
竜は子供が出来にくいと聞く。
そりゃ長命種がうじゃうじゃ増えたら困る。
自然の摂理だ。
うん。励むとしよう。
ニッコリ笑ってアニエスの手に口付ける。
「……なんか悪寒が走りました!邪な事を
考えてはいませんか?グレン様?」
普段は鈍すぎるほど鈍いクセにこのリスは……
俺は邪な事など考えてはいない。
──考えているのはエロい事だ。
「何ですかそのキラキラしい笑顔!
魔王みたいで怖いからやめて下さいよ」
「俺が魔王で国が滅ぶか?」
「滅びますよ……」
疲れたようになげやりに言うアニエス。
──笑える。
さっきまで僅かにあった切なさと寂しさは
もう、微塵もない。
温かく楽しい気持ちだ。
アニエスといると楽しい。
心からの笑みを向けるとアニエスも笑う。
愛する人が笑顔を返してくれる。
──幸せだ。
弟の結婚披露宴。あれだけ面倒に感じていた
のに。アニエスと楽しくダンスを踊る。
悪くない。──いや来てよかった。
夜は更ける。
花のように笑うアニエスと踊り続けた。
アニエスをザルツコードに送り帰し、朝食
の席で家宰のヨーゼフに弟の結婚式に出席
すると告げると困惑された。
その困惑したヨーゼフの声にその場にいた
使用人達が一斉にうるうると涙目で俺に
心配目線をくれる。
──いや、待てお前達。
何も泣かんでもいいだろう?
心配するな。弟の結婚式に行くだけだぞ?
「何か心境の変化でもございましたか?」
ヨーゼフも明らかに心配顔だ。
こいつも大概過保護だな。
この年になっても家族関係を使用人に心配
される俺……なんか情けない。
そんなに不幸そうか?
そこの侍女、止せ。本格的に泣くな。
……料理長、なんでお前も扉の隙間から
泣きながら聞き耳をたてているんだ。
別に俺は傷ついてなどいないぞ?
ましてや今更、幼少期の不遇など気にして
いない。
ただ血の繋がりがあるだけの人間が罪悪感
をたっぷり漂わせて家族のように寄って
来るのが面倒なだけだ。
「いや、俺が行かないとマックスがアニエス
をエスコートして出席するらしい。
しかも既にアニエスにドレスを贈っている。
冗談じゃない。絶対に見過ごせない」
「成る程……あのザルツコードの小童め!
かしこまりました。まずは先方に出席の連絡
とアニエス様にドレスでございますね?」
「一週間しかないからな……間に合うか?」
どうせならマックスから贈られたドレス
よりも良いものを贈りたい。
……クソ。イライラする。
あいつがアニエスと同じ屋根の下で寝食を
共にしているかと思うとムカムカする。
「ご安心下さい。一通りのドレスは作成
済みですし、アニエス様専用の工房を
押さえております。どんなドレスもすぐに
できますとも」
ドヤ顔のヨーゼフの言う通り、三日後には
アニエスの元にドレスが届けられた。
きっと似合うはず。楽しみだ。
正装したアニエスをエスコートするのは
去年の王宮舞踏会以来だ。
思わずにやける。
もう、すっかり結婚式に出席する目的が
違っているな。笑える。
当日、ザルツコードにアニエスを迎えに行く
とマックスが苦虫を噛み潰したような顔で
俺を見る。
ふん。アニエスは俺の婚約者だ。
「グレン様……無理をして出席しなくとも
よかったのでは?あなたが絶対出席しないと
思ったからアニエスにドレスを贈ったのに」
「悪いがそのドレスはお蔵入りだな。他の
男の贈ったドレスなど絶対に袖を通させん」
「心が狭いと言われませんか?」
「今、知ったのか?俺に広い心などない。
死にたくなかったら節度を持った距離を
とれよお義兄様?」
「思い出作りぐらいさせて下さいよ。
アニエスを好きになったのは僕の方が先
なんですから」
「お前のそれは仕事だろう」
「ええ、運命を呪っています。最初から
彼女はあなたのものでしたから」
「それは関係ない。俺がアニエスに惚れた
のは……」
「足ですよね?足!最低ですよね!」
「なんとでも言え。きっかけは何でも俺は
心の底からアニエスを愛している!」
マックスはアニエスの前の養家である
パリス伯爵家に従僕として潜伏していた。
ドルツ侯爵家と帝国との繋がりや人身売買、
違法薬物の流通網を探るため。
変装しての潜入捜査だ。
そのために虐待されるアニエスを身近に
見守っていた。
ひどい目にあってきたのに全く歪まずに
お人好しで呑気な性格に育ったアニエス。
マックスが惹かれるのも分かる。
俺もそんなところを尊敬している。
この事はアニエスは知らない。
マックスも言う気はないようだ。
まあ監視、護衛対象であるアニエスに恋愛
感情を持ってしまったとは言えないだろう。
ましてや今、義兄としてあれだけ慕われて
いたら尚更だ。
マックスは最初からアニエスが高魔力持ち
で俺の相手にとオーウェンが目をつけて
いた事を知っている。
最初から行き止まりの八方塞がりの恋。
思えば気の毒としか言いようがないが
だからと言ってアニエスを譲る事は
絶対にない。
「グレン様!お待たせしてすみません」
淡いオレンジ色のドレスに身を包んだ
アニエスがパタパタと走ってこちらに
やって来る。
か、可愛い!
小さな小花をあしらったドレス。
白いレースや金糸の刺繍が美しい。
髪には真珠と金の髪飾りが飾られている。
まるで花の妖精だ。
「うん。似合っているな」
「ドレス、ありがとうございました」
ふんわりと笑うアニエスに見惚れる。
……ん?ところでこの金と真珠の髪飾りは?
俺が贈ったものではないな?
アニエスに似合ってはいるが……まさか。
マックスを見るとニヤリと笑う。
──クソ!こいつか!
「どこかの心の狭い方のせいで、せっかく
僕が贈ったドレスを着てもらえませんで
したからね。まあ、これぐらいはお見逃し
下さい。義弟よ?」
なにが義弟だ。ムカつく。
マックス……すっかりオーウェンに似て
きたな。この悪魔二号が!
こいつ……どこかで一度シメるか?
「おお~そっか。私とグレン様が結婚する
とグレン様はマックス義兄様の義弟になる
のですね。何かへんなの。ふふふ!」
アニエスが俺とマックスを見て笑う。
呑気なアニエスに毒気を抜かれる。
俺とマックスは目を合わせると同時に
ため息をついた。
「まあ、面白い。若いっていいわね。
マックスは元からだからともかく、グレン
も中々鬱陶しい男になったわねぇ。うふふ」
マックスのパートナーは母親のマリーナだ。
深い青色のドレス姿。
相変わらず美しい。オーウェンは今は単身、
南辺境にいる。
アニエスと俺の結婚式が終わったら
マリーナも南辺境へと移住する。
アニエスはだからザルツコードに帰りた
かったのだ。
もうすぐ遠くに行ってしまう義母を慕って。
俺もこの人の事は実の母より慕っている。
子供の頃にずいぶん可愛がってくれた。
「俺が鬱陶しくても国は滅ばないだろう?」
「国は滅びないけれどアニエスに嫌われ
ないようにほどほどにね」
「母上……僕は元からって?」
「あなたほど鬱陶しい子も他にいない
じゃない?オーウンにそっくりだもの」
ニッコリ笑って止めを刺すマリーナ。
マックスはどこか遠くを見るような虚ろな
目になる
………父親にそっくりね。悪魔にそっくり。
一番言われたくない言葉だろう。
マックス、母親に撃沈される。
ちょっと可哀想になってきたな。
髪飾りぐらいは見逃すか。
不憫になったので俺は労りながら
顔色の悪いマックス背中を
ポンポンと軽く叩いた。
──弟の結婚式は滞りなく無事に終わった。
大聖堂での式に参列し、各自馬車で披露宴の
行われるアーマカイン公爵家本邸に集まる。
弟の花嫁は侯爵家の三女。
見たところ新婚夫婦の互いの魔力の
バランスはいい。
おそらくこの二人の間に子ができても母の
ようにはなるまい。
あの人の不幸の原因は魔力が低いのにも
かかわらず王族と婚姻し子を設けた事だ。
魔力差はあっても相性の良さから子供は
出来たが、その出来た子供が俺じゃあな。
馬鹿高い魔力持ちの子供を孕んでしまった
のが彼女の運の尽きだ。
幸い次子である弟はそんなに魔力が
高くない。
あの父親は馬鹿だろう。
もしも弟が俺なみに魔力が高かったら
きっと母は生き永らえる事はできなかった
だろうに。
あれだけ出産で乱心したのに。
何でまた子供を作ったんだ。
アホだろう。弟がたまたま魔力の低い子供
だったから無事だった。
運が良かっただけの結果論。
愛する女にそんな負担を強いる。
俺なら絶対にやらない。
そのアホな父親は俺が式に参列したので
感極まって泣きやがった。
──うざい。
俺はただマックスにアニエスのエスコートを
させたくなかっただけだ。
そう。心が狭いのだ。
まあ、俺の心が狭くても国は滅びないから
いいだろう。
弟夫妻とは普通に挨拶した。
弟は父親を反面教師にしたのかちゃんと
空気の読める男だ。
俺に過度に寄って来ない。
母親に似た柔らかな印象の弟。
花嫁も優しそうだ。良かった。
ちゃんと幸せにな。
母親が式の時からずっとチラチラ俺も見る。
せっかく正気になって幸せになったんだ。
俺の事などもう気にするなよ。
実家での宴席。
新婚の弟夫妻がファーストダンスを踊り
会場が拍手に包まれる。
次の曲が流れたのでアニエスと踊る。
そういえば王宮舞踏会では高速ステップで
アニエスを振り回したな。
負けず嫌いなアニエスは身体強化まで使って
俺のスピードに合わせてきた。馬鹿だろ。
あれは面白かったな。
「グレン様。今日はさすがに高速ステップは
やめて下さいよ?お祝いの席ですからね?」
「はは!アニエスもあれを思い出していたの
か。あれは面白かったよな」
「もう!グレン様のお陰で私は王宮舞踏会
でドヤ顔でフィニッシュポーズまでしたん
ですよ?あれは恥ずかしかった!
もうやりませんよ?」
「お前、ノリノリだったよな」
「恥ずかしいから言わないで~!もう!
グレン様の馬鹿!」
「ははは!」
三曲、続けて普通に踊る。
アニエスが俺がいつ高速ステップを繰り
出すかびくびく警戒しているのがおかしい。
リスのびくびくダンス。
本当に面白い。
アニエスが喉が乾いたと言うので踊りの
輪から抜ける。給仕から冷えたシャンパンを
もらい喉を潤す。
ん?これはエルドバルド領産のものか?
「美味しい!グレン様、このシャンパン。
すごく美味しいですね」
キラキラ目を輝かせてアニエスが言う。
こいつも酒好きだよな。
「家の領地産のものらしいな」
「え?本当ですか?グレン様……ワイナリー
巡り!ちゃんと連れて行って下さいね?
シャンパンもこんないいものを作っている
なんて。ああ~早く行きたい」
リスが酒に目が眩んでいる。
うむ。どこかで時間を作るか。
長く家を留守にしていたから仕事は貯まって
いるが、アニエスのおねだり。
何とかしよう。
最悪、領地まで『穴』を繋げればいいかと
考えていたら、母と目が合う。
すると青い顔で真っ直ぐ俺に向かって
歩いて来る。
止せ、止せ。
そんな青い顔で無理をして俺に近づくな。
「グレン、一曲踊っていただけますか?」
何を思ったのか俺にダンスのお誘いだ。
大丈夫か?この人。
決死の覚悟がひしひしと伝わってくる。
いや、本当にもう気にしないでくれ。
この世に生み出してくれただけで感謝して
いる。それ以上俺は何も望んでいない。
「お願いします」
頭を下げる母に困惑する。
アニエスを見ると心配そうに俺を見ている。
思わずため息が出る。
今の俺は竜だ。
竜は人との間に子を成すために体と魔力を
人に合わせて変化させている。
人であった頃に母を苦しめた俺の魔力は
竜として変化している。
触れても問題ない。プリシラは俺に触れて
その変化に驚いていた。
何せプリシラは俺に抱きついては嘔吐して
いたから無理もない。
人化している時と竜化している時では
当然体の構造も魔力も違う。
オーウェンが白竜の血を浴びて無傷だったの
は白竜が人化していた時の血だからだ。
アルフォンスやアイリス、アルマは竜化した
時の黒竜の血を浴びて傷を負った。
竜の血は猛毒。
血の契約は竜化した竜の血でなければ駄目
なのでは?今度黒竜に確認してみるか。
だとすると俺はなぜ、人の姿のアニエスの
血を舐めて血の契約者になったのだろう?
つくづくアニエスは謎の存在だ。
目の前に頭を下げたままの母。
こんな小柄な人だったろうか。
やれやれ。俺ははため息をつくとアニエス
に声をかける。
「アニエス、母と踊ってきてもいいか?」
「はい。行ってらっしゃいませ」
アニエスの満面の笑顔に背を押される。
ならばついでにもう一つ片付けるか。
離れた所で社交に励むマックスを見る。
マリーナは夫人同士の付き合いで親しい友人
と話込んでいる。
マックスが俺の視線に気づき急ぎ足で
こちらにやって来た。
「俺が戻るまでアニエスのエスコートを
頼む。一曲だけ踊っていいぞ」
マックスに告げるとポカンとした顔になる。
俺の気が変わらないうちにさっさとアニエス
をダンスに誘えアホが。
さて俺も誘うとするか。
「では一曲お相手願えますか?」
母に手を差し出した。
パッと顔をあげ俺の顔をしげしげと見る母。
震える手で俺の手をとった。
すると一瞬、驚いた顔をする。
昔と魔力が違うでしょう?
もう、俺はあなたを傷つけない。
ずっとお互い無言のまま踊る。
母の瞳が涙で潤んでいる。
……結局、俺はこの人を泣かせてばかりだ。
曲が終わる。
「……ありがとう。どうか元気で」
「ええ、あなたもお元気で」
短い別れの挨拶。
まさか母とダンスを踊る日がくるとはな。
父は弟の結婚を期に爵位を弟に譲り領地に
戻って隠居する。母も当然一緒だ。
もう会う事はないかもしれない。
父の元へと歩く母の背中を見送る。
どうか穏やかに。幸せになって下さい。
心の中で別れを告げた。
「グレン様!」
ダンスを終えたアニエスが笑いながら
マックスにエスコートされて戻ってきた。
二人とも楽しそうに踊っていたな。ふん。
「ありがとうございました。いい思い出に
なりましたよ」
マックスは真面目な顔で俺に礼を言うと
また社交に戻って行った。
「大丈夫ですか?」
アニエスが俺の顔を見上げる。
「ああ。いい記念になった」
「グレン様。グレン様には私がいます。
二人で幸せになりましょうね」
「ああ。そうだな。早くアニエスと結婚
したい。人の結婚式を見ると早く式をあげ
たくなるな」
「それは大変ですね~。まだ、これから
結婚式ラッシュがあるのに。
先ずはアルマさんとマクドネル卿の結婚式
ですよ。ふふふ!」
「ああ。アルマの奴。もう結構腹が大きく
なっているらしいな?」
「グレン様が私のために作ってくれた八十
着のウエディングドレスが役に立ちました。
マクドネル卿が用意していたドレスがきつく
なってしまって困ってましたから」
そう。マクドネルが困っていたので沢山ある
から一着、提供した。
思っていたよりアルマの腹が大きいらしい。
サイズが合わなくなって慌てていたから
丁度よかった。
アニエスとアルマは体形がほぼ一緒だ。
アルマやアイリス、エリザベートはよく
アニエスに自分のドレスをお下がりで着せて
愛でていた。
あいつらの結婚式が迫っている。
俺の作った八十着のドレスは……
計画性のない奴らの救世主になっている。
式までに腹まわりがどんなに大きくなっても
対応できる。
計画性のある俺に感謝して欲しい。
隣でニコニコ笑うアニエス。
俺達の結婚式まであと半年を切った。
それまでに腹が大きくなるかな?
竜は子供が出来にくいと聞く。
そりゃ長命種がうじゃうじゃ増えたら困る。
自然の摂理だ。
うん。励むとしよう。
ニッコリ笑ってアニエスの手に口付ける。
「……なんか悪寒が走りました!邪な事を
考えてはいませんか?グレン様?」
普段は鈍すぎるほど鈍いクセにこのリスは……
俺は邪な事など考えてはいない。
──考えているのはエロい事だ。
「何ですかそのキラキラしい笑顔!
魔王みたいで怖いからやめて下さいよ」
「俺が魔王で国が滅ぶか?」
「滅びますよ……」
疲れたようになげやりに言うアニエス。
──笑える。
さっきまで僅かにあった切なさと寂しさは
もう、微塵もない。
温かく楽しい気持ちだ。
アニエスといると楽しい。
心からの笑みを向けるとアニエスも笑う。
愛する人が笑顔を返してくれる。
──幸せだ。
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のに。アニエスと楽しくダンスを踊る。
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夜は更ける。
花のように笑うアニエスと踊り続けた。
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