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3話 隠し事(★)
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予算会議が行われる間、私は暇を持て余す。会議会場まで夏牙様を送り届けるまでが仕事であり、終わり次第お迎えに上がるのも仕事である。
──が、今日の夏牙様は会議の後十七時から鶴瀬様の御息女の結婚式にご出席の予定。会議室から結婚式会場までは同じ敷地内なので徒歩数分である。結婚式が終わるまで、私は自由の身ということだ。
昼食も会食会場ではあまりとっていない……けれど、この間にアレを受け取りに行ってしまおうかな。
私用のスマートフォンでショッピングアプリを開くと、どうやら例の物はコンビニに届いているようだ。今夜仕事の後取りに行くよりかは、今から行ってしまったほうが楽かもしれない。まだ時間はかなりあることだし、と車を走らせいつものコンビニへと向かう。やはりお腹も空いているようなので、ついでにサンドウィッチとスープパスタを購入し、荷物を受け取った。
今回購入した物は発売された直後、SNSで「オススメ!」と紹介がされていたようで、すぐに入手することが出来なかった。そのため、使用するのがとても楽しみで……けれどコレともう一つ、最後まで購入を悩んでいたものがあった。どちらの購入が正解だっただろう。まぁどちらにしても両方とも購入する気でいるので、もう一方のものはカートに入れっぱなしにしている。二ヶ月後のポイント倍増デー時に、別のものと併せて購入しようと考えている。
胸を弾ませながら自室に戻り、とりあえず食事を済ませる事にする。腹が減ってはなんとやら。お湯を沸かしている間にスーツの上着を脱ぎ、迷ったけれど届いた荷物の箱を開けた。食事の間に充電を済ませ、夜にでも使ってみようという魂胆だ。サンドウィッチはあっという間に平らげてしまったので、熱々のトマトスープパスタを懸命に冷ましながら食べ終えると時刻は十六時……まだ自由な時間はたっぷりとある。予算会議は通例ならば二時間はかかるはず。その後、夏牙様から電話がかかってくる予定であるので、それまでに終わらせておけばよいのだ。桜江様からの頼まれ事は、あと一件……夕方からの予定である。
ええい! 使ってしまおう!
まず部屋の鍵がかかっていることを確認する。そして窓を施錠しカーテンを厳重に閉める。私の部屋は数少ない住み込みの従業員が使う棟の一番上の階の一番端。こんな時間には誰もいないことはわかっているので、あまり我慢をせずに使うことが出来そうであった。
「さて……と」
表立って公言している私の趣味は、読書と生け花である。が、誰にも言えない趣味の一つは可愛い下着を集めること。そしてもう一つ──絶対に誰にも言えない、秘密の趣味。
真っ昼間からこんなことをするなんて、なんて破廉恥な女だろうと自分でも笑ってしまいそうになる。しかしそんなことなど、もうどうでも良い。これを初めて何年経っただろう……五年は経っただろうか?
ベッドに腰掛け、スラックスのファスナーに手を掛ける。すとん、と落下しお次はショーツだ。上は……まあいいか、と例の物を手に取り、どんなものかとまじまじと見つめる。手のひらサイズのピンク色だ。ひょうたんのような形で、なるほどここが回転するらしい。見ているだけで濡れてしまう──
では早速……。
「んッ……あ……あ゙ッ……」
先端を膣の入口に押し当て、ぐい、と挿入をする。奥まで押し込み、リモコンのスイッチを入れると中に入れたものがぐるぐると回転を始めた。
「あ゙……あッあッあッ……これ、やば……」
リモコンを操作すると、回転をしながら振動を始めた。流石に悶絶し、仰向けに倒れてしまう。腰がびくびくと跳ね、太腿が痙攣したようにヒクついてしまう。
「ん、ゔッ……ゔ……ぁ゙……ハァッ……あッあッあッ!」
漏れる声を抑えようと口元を抑えれば興奮度合いが増すというもので。あまりの快感に涙を滲ませながら、振動と回転の強度を上げていく。
「あんッあ……! あああッ! んああぁッ! イクッ……イク……!! はぁッ……はぁッ……はッ、はッ、はッ……ぃグッ……!!」
小さな ローターに掻き乱され、私の体は何度も絶頂に達する。一旦抜き、そして挿し、時間を忘れて何度も快感を味わった。
……私の、誰にも言えない秘密の趣味。
二か月に一度、自分へのご褒美として自慰グッズを買い求め、 自慰に精を出す。そしてその使い心地を稚拙ながら文章にしてまとめ、自サイトで公開しているのだ。これが中々に人気があり、少々困っている。公開当初は自己満足の日記のようなものであったが、いつの間にやら閲覧者が増え、広告で収益が得られるまでになっていた。確定申告をする程の額にまでは達していないので助かっている。
誰にも知られたくない、知られれば社会的に死ぬだろうな、という覚悟で精を出しているけれど、まあ……自分から白状しなければ誰に知られることもないだろう。買い求めたグッズは厳重に鍵を掛けた専用ケースに保管しているし、鍵は常に持ち歩いている。私が居ぬ間に開けることはまず不可能である以上、誰かに知られることなどないだろう。
──ヴー! ヴー! ヴー!
まだローターを挿入したままの状況で、私を驚かせたのは仕事用のスマートフォン……着信だ。起き上がり四つん這いの姿勢で慌てて画面をタップし、「はい」と平然とした声で応答をする。
「黒部」
「なっ、つきさま」
「休憩中にすまない。式でのスピーチの原稿はそちらにあるか? 少し確認したい箇所があって」
「えっ……あ……お待ち下さい、えっと……きゃあっ!」
「どうした?」
部屋の入口に置いた鞄の中を確認しようと、四つん這いの姿勢でベッドを這ったのがいけなかったのだ。私の膝はあろうことかローターのスイッチを踏みつけていた。
「やッだ……ちょ……あ゙……あ……ぁ……ゔッうッん゙……はぁッ……」
「……黒部?」
「ま゙……待って、くださ……んッん゙ッん゙んんッ……はぁ……ええと……あります……」
「……? そうか、よかった。今そちらに向かっている。もうすぐ着く」
「へぁっ!?」
すぽん、と抜き取ったローターが宙を舞う。ぼとり、と床に落ちたものを凝視し、我に返ると慌ててそれに毛布をかけて着衣を開始。そんなに時間が経っていたのかと、時刻を確認する余裕などある筈もなかった。
「あああ気持ち悪いっ! けど! 仕方ない!」
いつも事後にシャワーを浴びるようにはしているが、今はそうも言っていられない。この状況で夏牙様がここに来る……!
──コンコン。
「きゃあああああああっ!! やばばばばばっ!」
着衣は……完了した。スピーチ原稿スピーチ原稿……これだ! 開けるしかない、扉を……!
足がもたつかせながら、なんとか起き上がる、着衣は乱れていないだろうかと全身にザッと目を通し、呼吸を整えながら解錠し、扉を開いた。
「はぁっ……すみません、こちらです」
ああ……夏牙様がいつもにも増して眩しい。部屋の中で一人コソコソと自慰に励んでいた私とは違って、仕事で忙しくしていらっしゃる夏牙様が眩しすぎる。
すみません、本当に……こんな、仕事の合間に……。
「ああ……ありがとう。その、大丈夫か?」
「はい、問題ありません」
「通話が繋がったままだったが……悲鳴と叫び声が」
「問題ありません」
怪訝そうな顔の夏牙様に、私は無理矢理作り笑顔を向ける。これ以外に回避方法を何も思い浮かばなかったのだ。
「……では、失礼する。急に押しかけてすまなかったな」
「いえ」
ゆっくりと扉が閉まる。問題大アリだよチクショウ! と叫びたいのを堪え、淡々と部屋を片付けシャワーを浴びた。大丈夫、バレてない、大丈夫と念仏のように唱え続け、次の仕事へと向かったが、生きた心地がしなかった。
──が、今日の夏牙様は会議の後十七時から鶴瀬様の御息女の結婚式にご出席の予定。会議室から結婚式会場までは同じ敷地内なので徒歩数分である。結婚式が終わるまで、私は自由の身ということだ。
昼食も会食会場ではあまりとっていない……けれど、この間にアレを受け取りに行ってしまおうかな。
私用のスマートフォンでショッピングアプリを開くと、どうやら例の物はコンビニに届いているようだ。今夜仕事の後取りに行くよりかは、今から行ってしまったほうが楽かもしれない。まだ時間はかなりあることだし、と車を走らせいつものコンビニへと向かう。やはりお腹も空いているようなので、ついでにサンドウィッチとスープパスタを購入し、荷物を受け取った。
今回購入した物は発売された直後、SNSで「オススメ!」と紹介がされていたようで、すぐに入手することが出来なかった。そのため、使用するのがとても楽しみで……けれどコレともう一つ、最後まで購入を悩んでいたものがあった。どちらの購入が正解だっただろう。まぁどちらにしても両方とも購入する気でいるので、もう一方のものはカートに入れっぱなしにしている。二ヶ月後のポイント倍増デー時に、別のものと併せて購入しようと考えている。
胸を弾ませながら自室に戻り、とりあえず食事を済ませる事にする。腹が減ってはなんとやら。お湯を沸かしている間にスーツの上着を脱ぎ、迷ったけれど届いた荷物の箱を開けた。食事の間に充電を済ませ、夜にでも使ってみようという魂胆だ。サンドウィッチはあっという間に平らげてしまったので、熱々のトマトスープパスタを懸命に冷ましながら食べ終えると時刻は十六時……まだ自由な時間はたっぷりとある。予算会議は通例ならば二時間はかかるはず。その後、夏牙様から電話がかかってくる予定であるので、それまでに終わらせておけばよいのだ。桜江様からの頼まれ事は、あと一件……夕方からの予定である。
ええい! 使ってしまおう!
まず部屋の鍵がかかっていることを確認する。そして窓を施錠しカーテンを厳重に閉める。私の部屋は数少ない住み込みの従業員が使う棟の一番上の階の一番端。こんな時間には誰もいないことはわかっているので、あまり我慢をせずに使うことが出来そうであった。
「さて……と」
表立って公言している私の趣味は、読書と生け花である。が、誰にも言えない趣味の一つは可愛い下着を集めること。そしてもう一つ──絶対に誰にも言えない、秘密の趣味。
真っ昼間からこんなことをするなんて、なんて破廉恥な女だろうと自分でも笑ってしまいそうになる。しかしそんなことなど、もうどうでも良い。これを初めて何年経っただろう……五年は経っただろうか?
ベッドに腰掛け、スラックスのファスナーに手を掛ける。すとん、と落下しお次はショーツだ。上は……まあいいか、と例の物を手に取り、どんなものかとまじまじと見つめる。手のひらサイズのピンク色だ。ひょうたんのような形で、なるほどここが回転するらしい。見ているだけで濡れてしまう──
では早速……。
「んッ……あ……あ゙ッ……」
先端を膣の入口に押し当て、ぐい、と挿入をする。奥まで押し込み、リモコンのスイッチを入れると中に入れたものがぐるぐると回転を始めた。
「あ゙……あッあッあッ……これ、やば……」
リモコンを操作すると、回転をしながら振動を始めた。流石に悶絶し、仰向けに倒れてしまう。腰がびくびくと跳ね、太腿が痙攣したようにヒクついてしまう。
「ん、ゔッ……ゔ……ぁ゙……ハァッ……あッあッあッ!」
漏れる声を抑えようと口元を抑えれば興奮度合いが増すというもので。あまりの快感に涙を滲ませながら、振動と回転の強度を上げていく。
「あんッあ……! あああッ! んああぁッ! イクッ……イク……!! はぁッ……はぁッ……はッ、はッ、はッ……ぃグッ……!!」
小さな ローターに掻き乱され、私の体は何度も絶頂に達する。一旦抜き、そして挿し、時間を忘れて何度も快感を味わった。
……私の、誰にも言えない秘密の趣味。
二か月に一度、自分へのご褒美として自慰グッズを買い求め、 自慰に精を出す。そしてその使い心地を稚拙ながら文章にしてまとめ、自サイトで公開しているのだ。これが中々に人気があり、少々困っている。公開当初は自己満足の日記のようなものであったが、いつの間にやら閲覧者が増え、広告で収益が得られるまでになっていた。確定申告をする程の額にまでは達していないので助かっている。
誰にも知られたくない、知られれば社会的に死ぬだろうな、という覚悟で精を出しているけれど、まあ……自分から白状しなければ誰に知られることもないだろう。買い求めたグッズは厳重に鍵を掛けた専用ケースに保管しているし、鍵は常に持ち歩いている。私が居ぬ間に開けることはまず不可能である以上、誰かに知られることなどないだろう。
──ヴー! ヴー! ヴー!
まだローターを挿入したままの状況で、私を驚かせたのは仕事用のスマートフォン……着信だ。起き上がり四つん這いの姿勢で慌てて画面をタップし、「はい」と平然とした声で応答をする。
「黒部」
「なっ、つきさま」
「休憩中にすまない。式でのスピーチの原稿はそちらにあるか? 少し確認したい箇所があって」
「えっ……あ……お待ち下さい、えっと……きゃあっ!」
「どうした?」
部屋の入口に置いた鞄の中を確認しようと、四つん這いの姿勢でベッドを這ったのがいけなかったのだ。私の膝はあろうことかローターのスイッチを踏みつけていた。
「やッだ……ちょ……あ゙……あ……ぁ……ゔッうッん゙……はぁッ……」
「……黒部?」
「ま゙……待って、くださ……んッん゙ッん゙んんッ……はぁ……ええと……あります……」
「……? そうか、よかった。今そちらに向かっている。もうすぐ着く」
「へぁっ!?」
すぽん、と抜き取ったローターが宙を舞う。ぼとり、と床に落ちたものを凝視し、我に返ると慌ててそれに毛布をかけて着衣を開始。そんなに時間が経っていたのかと、時刻を確認する余裕などある筈もなかった。
「あああ気持ち悪いっ! けど! 仕方ない!」
いつも事後にシャワーを浴びるようにはしているが、今はそうも言っていられない。この状況で夏牙様がここに来る……!
──コンコン。
「きゃあああああああっ!! やばばばばばっ!」
着衣は……完了した。スピーチ原稿スピーチ原稿……これだ! 開けるしかない、扉を……!
足がもたつかせながら、なんとか起き上がる、着衣は乱れていないだろうかと全身にザッと目を通し、呼吸を整えながら解錠し、扉を開いた。
「はぁっ……すみません、こちらです」
ああ……夏牙様がいつもにも増して眩しい。部屋の中で一人コソコソと自慰に励んでいた私とは違って、仕事で忙しくしていらっしゃる夏牙様が眩しすぎる。
すみません、本当に……こんな、仕事の合間に……。
「ああ……ありがとう。その、大丈夫か?」
「はい、問題ありません」
「通話が繋がったままだったが……悲鳴と叫び声が」
「問題ありません」
怪訝そうな顔の夏牙様に、私は無理矢理作り笑顔を向ける。これ以外に回避方法を何も思い浮かばなかったのだ。
「……では、失礼する。急に押しかけてすまなかったな」
「いえ」
ゆっくりと扉が閉まる。問題大アリだよチクショウ! と叫びたいのを堪え、淡々と部屋を片付けシャワーを浴びた。大丈夫、バレてない、大丈夫と念仏のように唱え続け、次の仕事へと向かったが、生きた心地がしなかった。
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