歪な戦士の異世界転生録 〜授かった【変換】スキルが尖り過ぎてて異常な性能を得る〜

チャド丸

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ネグザリウス王国編

ワスレナグサ

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試験・講習・登録を経て、ユウは「王都在住の冒険者」という身分を手に入れた。

装備なども整えて、その日のうちに冒険者として活動するための準備を全て済ませた。

そんなユウは今、ベッドに突っ伏して身動きが取れなくなっている。

1日を終えて部屋にたどり着き安心した瞬間、体に力が入らなくなったのだ。

(痛みも倦怠感も、肉体の重要なストッパーだもんなぁ・・・)



そう。こうなるまでユウは、自分の身体がここまで疲労やダメージを蓄積していることに全く気づかなかった。

過去に余計な脂肪を自己治癒力に回していなかったら、ストッパーが無い自分の身体はすでに故障していたかもしれない。そんなことを考える。

もちろん考えるだけだ。ユウは焦る気持ちも怖がる気持ちも欠落している。



(痛みも疲れも無いなんて、まるでロボットみたいだな)



変換スキルは強力だが、やはり使っていくうちに自分はどんどん人間を辞めていっている実感がある。ここまで人間を辞めたユウのステータスは、以前よりも上がっていた。



==========

名前:ユウ

種族:人間

強度:D

【ユニークスキル】

変換 Lv1

==========



ランクというのは総合力だ。村にいて変換スキルを使っていない時はHだったが、変換スキルを多用した今は4段階上がったDになった。

ランクDは中堅の冒険者に多いらしい。すなわちユウは、新人冒険者にしてはかなり強力な力を持っているということだ。



(明日は勉強がてら採集系の依頼を受けよう。今戦闘を繰り返すと、いつガタが来てもおかしくないし・・・)



そう決めて、ユウは眠りに落ちていった。





~~~~~





「おっ、ここにも発見!順調だなぁ。」

次の日ユウは、ギルドで薬草採集の依頼を受けて王都周辺の森に来ていた。

集めるべき量まであと少し、森に来てから2時‬間程度でこれは上々だ。



「もう一つ何か受注しておくべきだったかな?っと、あれは・・・」

ユウの右目が捉えたのは、森の少し奥の方で自分の事をじっと見つめる少女だった。恐ろしい程軽装で、透き通るような雰囲気がある。



そんな彼女のすぐ近くを、ゴブリンが2~3匹歩いていた。

少女とかなり近い距離にいるが、奇跡的にまだ気づいていないらしい。

ユウはすぐ駆け出して距離を詰め、ゴブリンたちを瞬間で切り伏せる。

「大丈夫かい?」

そう声をかけた少女は、とても驚いた表情をしていた。





~~~少女side~~~





「なんであなたは・・・」

自分に話しかけてきたことに驚き、ついそんな言葉が口を突いて出る。

だがすぐに持ち前の冷静さを取り戻し、少女は別の言葉を口にした。



「いえ・・・大丈夫。ありがとう。」



これはいい機会だ。そう考えた。先日、ギルドの修練場以降ずっと彼を観察していたが、会話してみるのもアリだろう。



「なら良かった。キミはなんでこんなところに?」

少年は本気で私を心配しているようだ。今会ったばかりの私を。下心なども感じないし、純粋な心からきているのだろう。



「・・・少し用事があって。もう帰る。」

キミを視ていた。なんて間違っても言えない。私たちの存在は、まだ知られるわけにはいかないのだ。そう言って王都の方に歩き出すと、少年も着いてきた。



「そっか。じゃあ、送っていくよ。」

ニコッと笑って並んで歩く少年。本当に王都に帰るわけでは無いから撒こうかとも考えたが、この少年は私を発見してしまった。いきなり消えると、私を心配して探し続ける可能性がある。騒ぎになるのはまだ避けたい。

それに少し疑問もある。道すがら、この少年に聞くのもいいかもしれない。



そう思って、少年とポツポツと会話を始めた。

少年の名前はユウ。住んでいた村が盗賊に襲われて、2日前に王都へきたらしい。左目の眼帯は、その時に色々あったそうだ。



「なんでそんなことがあったのに、あなたはそんなに清らかなの?」

過去の話を聞いて、新しく浮かんだ疑問をユウに言った。



「う~ん、そうかな?僕自身、昨日気付いたんだけど、負けず嫌いだったり冷徹だったり、結構歪んでいるんじゃないかな?」



シルバとの戦いの事を言っているのだろう。確かに木剣といえどわき腹にフルスイングするのは、普通の人間であれば怖気づくはずだ。



「でも・・・そう感じてくれたとしたらじいちゃんたち・・・村の皆のおかげかな。優しさとか温かさを皆に教えてもらったから。」



そう言った後にあっ!と声を出して、ユウは少し道をそれた草むらに向かった。戻ってくると、手には綺麗な水色の花を持っている。



「キミの髪に似て綺麗な水色でしょ?■■っていう花で、珍しいから贈り物にすると喜ばれるんだって。こういうのも全部、皆から教わったんだ。」



そういって、その■■という花を私に向かって渡してきた。私にくれるというのだろうか?とりあえず受け取って歩いていると、森を抜けて視界の先に王都が見えた。



「王都が見えたね。そういえばキミの名前は?」

ユウは見える所まで来ても、しっかりと門まで送ってくれるようだ。しかしそれは少し困る。

「私はアイ。ここまでで大丈夫。ありがとう。」

そういってユウの目の前に出て向き直った。



「最後に質問。まだ薬草を集めている最中だったのに送ってくれて、身体が動けなくなるくらいだったのに私を助けてくれて・・・どうして?」

ジッと目を見つめて問いかけた。今初めてユウと目を合わせたかもしれない。向こうも少しびっくりしていることが分かる。



「えっと、そうだな・・・いつもこんな答えしか言えないんだけど、皆ならこうするかなって思うから。」



あぁ、そうか。この少年はどこまでいっても村の皆を基準にするのだ。いや、村の皆しか基準に出来ないのだろう。

まだこの少年は完成されていない。これから先多くの人の善意と悪意に触れて、その時私たちにとってどんな存在となっているかはまだ分からないのだ。

それが分かった時点で、この少年を観察する必要はなくなった。



「・・・あそこ。ここまで来るときに、あそこの木の根元に薬草があった。」

森の方を指さし、ユウがそっちに顔を向けた瞬間に能力を発動して、アイはその場を離れた。水色の花だけを持って。
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