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勇者の子供編
暴虐の群れ
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「よーし、早速木材を運ぶわよ!ズーリン呼んでくるわね!」
「僕は森の中にトラップを仕掛けてくるよ。」
「森と反対側の場所に、籠城する準備をします~!」
オッドの発言後、春風の一行は誰も文句を言うことなく、各々のできることをテキパキと始めた。
それに誘発され、慌てふためいていた村人達もできることをするために外へと出ていった。
ユウもローランドを手伝おうと思い、今は2人で森の中に罠をしかけながら移動している。
「ユウ。皆にも言われたかもしれないけど、危なくなったら」
「僕だけ逃げろ、ですよね。絶対イヤです。」
ローランドが言い終わる前にユウが割り込み、満面の笑みを持ってして返事を返した。
ローランドは困ったように笑って「そっか」と言い、罠の設置に取り掛かった。
その間ユウは周囲を警戒している。
「ローランドさんと合流する前に皆さんから言われました。でも僕は自分だけ逃げるなんて、絶対に嫌なんです。」
ロジカルさの欠けらも無い、まるで子供の駄々っ子のようにユウは言った。
「ユウならそう言うと思っていたさ。じゃあ、絶対に死なないでくれよ?ユウが死んだら春風だけじゃなくて、たくさん悲しむ人がいるんだ。」
背を向けて罠を仕掛けながらローランドは言う。
「それは皆さんもです。皆さんが死んでしまったら、僕は・・・」
「大丈夫さ。僕らのモットーは正しく安全にだからね。ユウがパーティーを抜けるまでも抜けたあとも、誰かが死ぬなんてことは無いよ。」
その発言に思わずユウはローランドの方を振り向いた。
「な・・・なんで分かったんですか?僕がそのうち抜けようとしているって・・・」
「たまに僕らのことを悲しそうな顔で見ているだろ?ちなみに皆気付いているよ。あのオッドでさえもね。」
あの鈍感なオッドでさえも・・・
自分が脱退を考えているのを知られていたことに驚いていると、罠を仕掛け終わったローランドがこちらに向き直った。
「・・・僕らといるようになってユウには笑顔が戻ったけど、それと同時に悲しみも与えてしまっているんだよね。」
そう言ってユウの目を見つめ、ローランドは悲しそうに笑う。
「みんなユウのことを弟のように思っている。いつ帰ってきてもいいんだ。もちろん、ユウがいつでも帰ってこれるように、ユウも僕らも死んじゃいけない。」
時刻は夕刻。夕日を背負ったローランドは、微笑みながらユウにそう言った。
ぽんぽんと頭を叩かれ、ローランドは次のポイントへと歩きだす。
ユウは少し遅れて、駆け足でその背を追いかけた。
「必ず、みんなで生きて帰りましょう!」
~~~~~
次の日の夕刻。
ユミシア村の人々は、細かく永続的な地鳴をきっかけに現実と向き合うこととなる。
補強した木の壁越しにも伝わる振動や猛々しい雄叫び。魔物の放つ大量の瘴気によって色が変わった、深く真っ赤な夕暮れ。
この幻想的で絶望的な情景を実際に見ているのは、先日に集会場にいた面々だ。
「他の皆は反対側の集会場に避難させた!あとは我々が生還するだけだ!」
年季の入った白銀の鎧を身に纏い、フウは村の住民で戦える者達を鼓舞した。住民達はおう、と大きな声で気合いの入った返事を返し、各々が武器を取って戦闘の準備をする。
だが、村人達は万が一村の中に入ってきた魔物を囲む為に武装している。
村の中に入る、もしくは外壁を破壊しそうな魔物を間引くのは、春風の一行が担当することとなった。
「おそらくあと10分もすれば、見えるところまで魔物の大群が押し寄せます。」
ユウはつい先程、壁の上から見て確認した情報を春風メンバーに伝える。次にオッドが口を開いた。
「手筈通りだ。ローラとローランドは空中班として、やぐらの上から飛行種を仕留めつつ仲間のフォローを。ほか全員は地上班として、壁を越えそうな奴と壊しそうな奴を叩くぞ。」
全員で頷きあい、ローラとローランドは外壁内側に組まれたやぐらに、オッド・ズーリン・カノン・ユウの4人は、外壁の外へと向かった。
―――そして数分後
ユウだけでなく、その場にいた全員が視界に多くの影を捉えた。
異形の群れが殺し合い自壊しながら、森の中から這い出てきている。
荒ぶった魔物に触発されて、また新たな魔物がその暴虐の群れに加わる。それを何度も繰り返して絶えず勢力を広げている。
負の連鎖という言葉がこれほど似合う光景はないだろう。
「ったく。あの中に混ざるだなんて、本当正気じゃないわな。」
オッドが呆れつつも剣を抜き放つ。
「全部倒そうなんて考えるな!1に安全、2に安全だ!誰かひとりでもヤバくなった時点で、村の中での籠城戦に切り替える!」
「「「おう!」」」
オッドの声に全員が答える。
そうして魔物達も正気を失った赤い目でこちらを視認し敵意を向けてきた時、ローランドとローラが群れへと攻撃を仕掛けた。
長い戦いの火蓋は、無数の矢と火球により切って落とされた。
「僕は森の中にトラップを仕掛けてくるよ。」
「森と反対側の場所に、籠城する準備をします~!」
オッドの発言後、春風の一行は誰も文句を言うことなく、各々のできることをテキパキと始めた。
それに誘発され、慌てふためいていた村人達もできることをするために外へと出ていった。
ユウもローランドを手伝おうと思い、今は2人で森の中に罠をしかけながら移動している。
「ユウ。皆にも言われたかもしれないけど、危なくなったら」
「僕だけ逃げろ、ですよね。絶対イヤです。」
ローランドが言い終わる前にユウが割り込み、満面の笑みを持ってして返事を返した。
ローランドは困ったように笑って「そっか」と言い、罠の設置に取り掛かった。
その間ユウは周囲を警戒している。
「ローランドさんと合流する前に皆さんから言われました。でも僕は自分だけ逃げるなんて、絶対に嫌なんです。」
ロジカルさの欠けらも無い、まるで子供の駄々っ子のようにユウは言った。
「ユウならそう言うと思っていたさ。じゃあ、絶対に死なないでくれよ?ユウが死んだら春風だけじゃなくて、たくさん悲しむ人がいるんだ。」
背を向けて罠を仕掛けながらローランドは言う。
「それは皆さんもです。皆さんが死んでしまったら、僕は・・・」
「大丈夫さ。僕らのモットーは正しく安全にだからね。ユウがパーティーを抜けるまでも抜けたあとも、誰かが死ぬなんてことは無いよ。」
その発言に思わずユウはローランドの方を振り向いた。
「な・・・なんで分かったんですか?僕がそのうち抜けようとしているって・・・」
「たまに僕らのことを悲しそうな顔で見ているだろ?ちなみに皆気付いているよ。あのオッドでさえもね。」
あの鈍感なオッドでさえも・・・
自分が脱退を考えているのを知られていたことに驚いていると、罠を仕掛け終わったローランドがこちらに向き直った。
「・・・僕らといるようになってユウには笑顔が戻ったけど、それと同時に悲しみも与えてしまっているんだよね。」
そう言ってユウの目を見つめ、ローランドは悲しそうに笑う。
「みんなユウのことを弟のように思っている。いつ帰ってきてもいいんだ。もちろん、ユウがいつでも帰ってこれるように、ユウも僕らも死んじゃいけない。」
時刻は夕刻。夕日を背負ったローランドは、微笑みながらユウにそう言った。
ぽんぽんと頭を叩かれ、ローランドは次のポイントへと歩きだす。
ユウは少し遅れて、駆け足でその背を追いかけた。
「必ず、みんなで生きて帰りましょう!」
~~~~~
次の日の夕刻。
ユミシア村の人々は、細かく永続的な地鳴をきっかけに現実と向き合うこととなる。
補強した木の壁越しにも伝わる振動や猛々しい雄叫び。魔物の放つ大量の瘴気によって色が変わった、深く真っ赤な夕暮れ。
この幻想的で絶望的な情景を実際に見ているのは、先日に集会場にいた面々だ。
「他の皆は反対側の集会場に避難させた!あとは我々が生還するだけだ!」
年季の入った白銀の鎧を身に纏い、フウは村の住民で戦える者達を鼓舞した。住民達はおう、と大きな声で気合いの入った返事を返し、各々が武器を取って戦闘の準備をする。
だが、村人達は万が一村の中に入ってきた魔物を囲む為に武装している。
村の中に入る、もしくは外壁を破壊しそうな魔物を間引くのは、春風の一行が担当することとなった。
「おそらくあと10分もすれば、見えるところまで魔物の大群が押し寄せます。」
ユウはつい先程、壁の上から見て確認した情報を春風メンバーに伝える。次にオッドが口を開いた。
「手筈通りだ。ローラとローランドは空中班として、やぐらの上から飛行種を仕留めつつ仲間のフォローを。ほか全員は地上班として、壁を越えそうな奴と壊しそうな奴を叩くぞ。」
全員で頷きあい、ローラとローランドは外壁内側に組まれたやぐらに、オッド・ズーリン・カノン・ユウの4人は、外壁の外へと向かった。
―――そして数分後
ユウだけでなく、その場にいた全員が視界に多くの影を捉えた。
異形の群れが殺し合い自壊しながら、森の中から這い出てきている。
荒ぶった魔物に触発されて、また新たな魔物がその暴虐の群れに加わる。それを何度も繰り返して絶えず勢力を広げている。
負の連鎖という言葉がこれほど似合う光景はないだろう。
「ったく。あの中に混ざるだなんて、本当正気じゃないわな。」
オッドが呆れつつも剣を抜き放つ。
「全部倒そうなんて考えるな!1に安全、2に安全だ!誰かひとりでもヤバくなった時点で、村の中での籠城戦に切り替える!」
「「「おう!」」」
オッドの声に全員が答える。
そうして魔物達も正気を失った赤い目でこちらを視認し敵意を向けてきた時、ローランドとローラが群れへと攻撃を仕掛けた。
長い戦いの火蓋は、無数の矢と火球により切って落とされた。
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