歪な戦士の異世界転生録 〜授かった【変換】スキルが尖り過ぎてて異常な性能を得る〜

チャド丸

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勇者の子供編

不在の主

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三階層に降りてきたパルファとユウは、ひとまず安心した。
目の前には、二階層と同じ絨毯敷きの廊下が続いていたためだ。
もし三階層になってガラッと仕様が変わったら・・・と、2人には少し懸念があったが、少なくとも視覚的に戸惑うことはなさそうだ。

(同じだからって油断できないけど。ダンジョンで定番のループとかも警戒しないと・・・)
ユウは心の中でそう思いつつ、パルファと共に剣を構えて奥へと歩を進める。
二階層では戦いによって、床や壁に多少傷がついている。初めて訪れたこの階層にそういった跡があった場合、ループしていると考えられる。

だがユウのその警戒も、すぐに解かれることとなる。暗闇の向こうから影のような何かが滑るようにこちらに近づいてきた。
「シャドウストーカーね・・・私に任せて」
そう言ってパルファはユウの前に出て、【純白】スキルが持つ効果によって剣に聖気をまとわせる。

(シャドウストーカー・・・Bランクで種族は精魂系、そして僕では倒せない敵・・・)
パルファが数体のシャドウストーカーを相手取っている様子を見ながら、ユウはそう考えていた。一階層で出たデュラハンもそうだが、ユウは一定ランク以上のアンデッドや精魂系の魔物に対抗するすべを持っていない。

Dランクのグール程度であれば細切れにして終わりだが、Aランクで回復能力が備わったデュラハンは何度切っても倒しきれない。目の前にいるシャドウストーカーやゴーストなどの精魂系の魔物には、そもそも攻撃を当てることすらできないだろう。

(今後そんな敵に出会ったときのために、何か対策をしておかないとな。毎回パルファにおんぶにだっこじゃダメだ)
属性付きの魔剣を買うか、属性付与のアクセサリーを買うか。はたまた変換スキルによって魔法でも習得してみようかなど、思考を巡らせているうちにパルファの戦闘が終わった。

「ふぅ・・・そこの少年、ケガはないかしら?」
「ふふっ。ありがとうございます、勇者様」
ユウの思いを察したのかパルファが優しく笑って演技じみた言葉をかけ、ユウもそれに乗っかる。
(すぐにどうこうできる問題でもないか・・・)
それ以外の魔物でパルファよりも頑張ろう。ユウは心でそう誓って、また奥へと進んでいった。

~~~~~

「これは・・・」
「まぁ・・・明らかにボス部屋ね」
今2人の目の前には、大きな両開きの扉があった。
高さは3メートルほどだろうか。2人が進んできた廊下は、鉄製で重厚感があるその扉へと続いていた。

「3階層でダンジョンボスなんてことあるのかな?」
「過去には一階層しかないダンジョンもあったそうだから、可能性として無くはないはずよ」
それにこのダンジョンなら・・・ね。と、パルファは最後につけたした。確かにいきなりがモンスタールームであったこの特異なダンジョンであれば、三階層で急にボス部屋という可能性も十分あるだろう。

「まだ日は高い時間よ。どうする?」
パルファの問いかけにユウは少し考える。ここまで二人には大した疲労もダメージも無い。ボスモンスター相手でも、十分なパフォーマンスを発揮できるだろう。
「・・・よし、入ろう」
ユウがそう言うとパルファも頷き、2人は扉をゆっくりと押し開けた。

「え・・・何も、ない?」
「・・・いや、奥に何かあるみたいだ」
パルファの何もないという感想も無理ない。ここは部屋というよりも、空間という言葉が合うだろう。足元の床は無機質でよどんでおり、扉がある背後意外は壁なども存在しない。星の無い宇宙空間のような場所だった。

だが奥の方に淡く光る何かがある。そのぼんやりとした輝きのせいでユウの目にも物体が分からない。が・・・
「きっとダンジョンコアだと・・・思う」
「そう、つまりここには・・・」
―――ダンジョンボスがいる。
瞬時に察した2人は、先が見えない空間に全神経を張り巡らせながら先へと進む。

「いきなり足場がなくなるなんてないわよね?」
「・・・無いと信じたいけど、それも用心した方がいいね。一階層のモンスタールームのように、一定ラインを越えたら魔物とボスが出てくる可能性もある」
そろりそろりとダンジョンコアへと進む2人は、少しでも頭をよぎった不安を口に出して共有する。

しかしその心配に反して、2人はダンジョンコアが触れる距離までたどり着いてしまった。間近で、さらに初めて見るその宝玉は、遠めで見た時の幻想的な光からは想像できないほど普遍的なものだった。
以前行った深淵石のあった洞窟で壁から生えていた水晶よりも少し小さいくらいの結晶体が、150センチくらいの高さに浮いている。だがそれよりも・・・

「魔物が出てこない・・・?こんなことって・・・」
ダンジョンボスがいないボス部屋に、パルファもかなり戸惑っているようだ。
「触ったら出てくるとかかな?」
「・・・ちょっと、それは触るんじゃなくて切るっていうのよ」
剣を振り下ろす構えを取るユウに、パルファがツッコミを入れる。

(・・・出てこないか)
もちろんユウも本気でそんなボケをしたわけではない。もしかしたらダンジョンボスがこちらの様子を窺っており、破壊しようとするそぶりを見せれば出てくるかと思ったのだ。

だがその空間に、ダンジョンボスが現れることは無かった。
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