歪な戦士の異世界転生録 〜授かった【変換】スキルが尖り過ぎてて異常な性能を得る〜

チャド丸

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勇者の子供編

光と闇

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(そろそろ、厳しいか・・・)
視界は黒く染まり、何度も体に強い衝撃を受けながら、ユウは変換する場所を選んでいた。
この際右目も変換するか、それとも別の器官や感覚を変換するか。状況を打破するために自己犠牲を真っ先に選ぶユウ。
だが突如として、温かいものに全身を包まれた。

(なんだ?どんな攻撃・・・を・・・)
反射的に目を瞑ったユウは、すぐに異変を察知する。
先ほどまで見えなかった目に白い光が差し込んできた。

「・・・なんだ?」
ユウの視界は復活している。でも異変はそれだけでなく、暗闇だったはずの空間は明るみに照らされていた。先ほど感じた暖かさはこの光によってもたらされたものであり、この光をもたらした者は・・・

「ごめんなさいね、ユウ。ようやく気付いたの」
ゆっくりと歩きこちらに近づく女性は、全身が淡く発光し神々しい姿をしている。
「強いから立ち向かうんじゃない。立ち向かえるから強いんだって」
そうしてユウの隣に並び立ち、剣を構えてハイドと向き合う。

(暖かい・・・傷が癒えていく)
隣にいたユウの身体は、パルファの放つ光を受けてみるみるうちに回復をする。
「この光、とても嫌ですねぇ・・・あぁ痒い痒い痒い!」
対してハイドのその身からは、パルファの光によって焦がれるような煙を上がっている。

清きものには癒しを与えて邪な者には痛みを与える。
勇者に相応しいその力は、さきほどまでの状況を明らかに好転させた。
「ユウ、あとは私に任せて」
そういったパルファの動きは、ユウの目をもってしても速く鋭いものだった。

光のような速さでハイドに肉薄したパルファは、白銀に輝く剣を横なぎに一閃する。
ハイドは後ろに飛びのき、そのまま翼を羽ばたかせ空中へと避難する。
時間差でハイドの胸元から鮮血が吹き出し、横一文字の傷が入る。
「ふっ、どうやら身体能力も上がったようですね。ですがこれしきの傷・・・!?」

ハイドが持ち前の再生能力によって傷をふさごうとすると、傷口の周囲に白いアザが出来てそれを阻んだ。
「ぐぅぅ、忌々しいスキルだ」
それは逆にハイドに強い痛みを与えたようで、胸元を押さえながら悶えている。

「いつまでも見下ろしていないで、降りてきなさい」
パルファはそう言って身に纏う光を強める。カッと光った次の瞬間、ハイドの翼は焼け焦げて床へと墜落した。
「がはっ!・・・図に乗るなニンゲンンンンン!!」

ダメージを受けたのがプライドに障ったのか、ハイドがどす黒いオーラを噴き出してパルファに迫る。さきほどユウに見せていた近接格闘に、さらに鋭利な爪や角の一撃も組み合わせて激しいラッシュを繰り出す。
パルファもそれに負けず、それらを剣でさばいてカウンターを返す。

ドスッ!
「ぐふっ!あなたも・・・ちょろちょろと邪魔ですねぇ!」
ユウも攻撃の最中に四方八方からハイドへと攻撃を繰り出す。闇が晴れたためか、先ほどよりも動きが悪くなったハイドには、明らかに攻撃が通るようになった。

「「はぁぁぁぁっ!!」」
パルファの袈裟切りとユウの蹴りを受けて、ハイドは後方に吹き飛ばされる。
戦いが始まって1時間ほど、初めてハイドに土を付けた瞬間だった。

「あぁ~・・・分かりました・・・分かったよ・・・」
ふらつきながら立ち上がるハイドの目は血走り、纏うオーラもさらに禍々しさが増す。

「・・・ぶち殺してやる」
あったはずの品性を捨て去ったハイド。そういった瞬間に筋肉が隆起して、焼かれたはずの翼も強靭になって復活した。
身長も伸びて顔も山羊のような獣のそれになり、人間さがあった外見はもはや見る影が無くなった。
『・・・第2ラウンドダ』
低く響く濁った声でそう告げて、戦いは再開した。

~~~~~

ハイドの身体が変化してから10分以上、ユウとパルファの2人はハイドと打ち合いをしていた。
殺傷力の増したハイドの攻撃を、パルファは受け流しユウは受け止める。ハイドも2人の攻撃をいなしつつ身で受けながら、お互いに決定打を繰り出せないでいた。
『コイ!』
その膠着した状況の中で、ハイドが眷属のアークデーモンを5体召喚する。

背後から2人を狙うアークデーモンたちを、ユウは瞬時に対処する。しかし手数の少なさが仇となり、3つある手足で3体を葬ったものの2匹をパルファ側に逃がしてしまう。
「パルファ!」
「大丈夫よ!」
一瞬振り返って2体のアークデーモンを切り伏せ、パルファはすぐにハイドへと向き合う。



―――ハイドが求めていたのは、その一瞬だった



一瞬身動きを止め、力を身体に巡らせて溜める。
魔力のふくらみを感じたパルファが瞬時に身動きを止めたハイドを両断しようとするが、ぎりぎりで動き出したハイドはそれを回避した。
(右腕しか取れなかった・・・!)

両断こそ避けたものの右腕を切り落とされ、ハイドはくぐもった声を出す。だがその声は、もしかしたら勝利を確信した喜びからくる笑い声だったのかもしれない。
溜めた力を周囲に放つことで、ハイドは闇魔法の衝撃波を巻き起こした。
その直撃をパルファは身に受ける。光が闇に食われた瞬間だった。
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