歪な戦士の異世界転生録 〜授かった【変換】スキルが尖り過ぎてて異常な性能を得る〜

チャド丸

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真の勇者編

解決と疑問

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ユウは今、ジィファの屋敷に来ていた。
教えてもらった暗号を守衛に伝えて、屋敷の中に入る。途中女性の使用人に、目当ての人物がどこに居るかを尋ねた。
私室にいるとのことで、ユウはその使用人に案内をしてもらった。

部屋の前にたどり着き、使用人にお礼を言って下がってもらう。
扉をノックすると、か細い声でどうぞと声が聞こえた。
入室したユウは、部屋の主に優しく声をかけた。

「来たよメリィ」
「・・・ユウ」
そこにはいつも以上に顔色が優れず、涙を流したメリィがいた。

「あのスキルは、キミだったんだね」
ユウの言葉に、メリィはコクリと頷いた。幻影アランを作り出し貴族を殺していたのは、メリィだったのだ。

「私のスキル【羨望】は、自分の憧れを具現化できるスキルなの」
そう言ってメリィは、目の前に3人の男女を出現させた。
「強く頼もしいお父様の姿、優しかったお母様の姿、元気に動ける自分自身の姿」

「あの日チャールズ邸に来たメリィも、もしかして?」
ユウの問いに、またもメリィは頷く。あの日門兵に止められなかったことやユウかギリギリまで気づかなかったのは、このスキルによるものだったのだ。

どこにでも現れることができて、誰にも視認されず直接攻撃が効かない。
そのような強力なスキルを持ってして、メリィは犯行に及んだのだ。

「先に言うけど、復讐はお父様の指示でなく、私が自ら進んで行ったの。お母様をバカにした貴族が、なにより許せなかった」
アランに強要されたことでなく、あくまで自分がやったというメリィ。
「アランさんには言っていたの?」
 「・・・うん。止められたし、悲しそうな顔をされたけどね」

「お父様は、私の復讐を少しでも早く終わらせるために、悪徳貴族の割り出しをしたんだと思う」
メリィは顔を伏せながら続ける。
「そして貴族の粛清が終わって、お父様の復讐を手伝おうとしたの。でもお父様は、私に手を出すなと言ったの。私はもう、何もしないでくれと」

アランとの戦いにメリィのスキルが乱入したとき、アランが呟いていたのはそのことなのだろう。
アランはメリィに、これ以上手を汚してほしくなかったのだ。
「お父様の想いを晴らすために、私はあなたの邪魔をして、ジィファ叔父様とパルファを殺す手助けをした。そして、たくさんの貴族を殺した」

顔を上げたメリィは、清々しくも不安定な笑みを見せた。
「罪は、償わなきゃね」

~~~~~

メリィはその日のうちに自首をした。
自分がスキルを使って貴族を殺したこと、そして王と勇者を狙うジィファの手助けをしたこと。
全てを告白し、騎士団へ出頭したのだ。

そして明日、王の面前にて裁判が開かれる。
事件の関係者であるユウやパルファ、ジィファも同席をする予定だ。
明日に備えて寝床に入ろうとしたユウだったが、ふと机の上に置いたナイフを見つめた。

気になったことがあり、ユウはおもむろに庭へ出る。
そうして適当な石を拾い、新たに身につけた体外変換のスキルを使用した。
石はみるみるうちに尖り、忍者が使うクナイのような形状になる。

そしてもう一度、変換スキルを使用する。今度はまた、丸い石になるようにイメージをして。
だがその石は、どれだけ念じても元に戻ることは無かった。
「やっぱり・・・」

ユウは確信する。この体外変換も、今までと同じく一方通行のスキルであると。
失った左目や痛覚が戻せないように、1度変形させたものは戻らないのだ。
だが、それなのにユウのナイフはアランを止めるために変形させた状態から、気づくと今までと同じナイフの状態に戻っていた。

「もしかして、これが【自由】の効果?」
ナイフの加工に使用したハイドの魔石。その魔石が備えていた【自由】という効果は、どんな形状に変化させても戻れるというものなのかもしれない。

「これは、僕じゃなきゃ活かせないな」
そう呟いてから、ユウはベノムに言われたことを思い出す。
『効果はすぐに分かるだろう』
あの鍛冶師は、どうして魔石の効果と、ユウがそれに適したスキルを持っていると気づいたのだろう。

しばらく考え込んでいると、冷たい夜風が吹いてクシャミが出た。
「ユウさん、風邪ひいちゃいますよー!」
屋敷の窓から、リリアが身を乗り出してユウを呼ぶ。
「はい!今戻ります」
考えても仕方がないと割り切って、ユウは屋敷の中に入った。
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