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ダンジョン
ライバル心
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「はああああああぁぁぁぁ!」
「せやあああああぁぁぁぁ!」
「……………………はぁ」
私はアレンとマルクの二人を見てため息を吐くことしか出来なかった。
今週からは来週の武道大会に向けて授業が実践向きの内容が多くなってきていた。
そのため、今日から授業はおおよそ自学自習ということで訓練場で各自、自習をすることになっている。
今まで自習とはだらだらと談笑したり、適当に時間を潰す時間であるはずだった。
しかし、マルクとアレン。平民からも貴族からも畏怖されている二人が同級生になったことで皆が死に物狂いで鍛練に励み始めた。
実際、現在は放課後であるにもかかわらず、誰一人欠けることなく補習をしている。
特にアレンとマルクは何故か朝の初対面の時からどこかバチバチと視線をぶつけ合い、ライバル視している。
今だって…………
「【水の玉】! あ、ごめんアレン! そっち飛んじゃったよ!」
マルクは白々しくアレンに向かって水の弾丸を放つ。
その弾丸は普通の生徒では防ぎようのない殺傷力のある弾丸である。
私が当たってしまえば骨が一瞬で砕けるだろう。
まぁマルクもアレンなら防いでくれるだろうと思ってのことだ。中級魔法で済ませているのはそういう意味であるはず。
だが、そんな安っぽい挑発をアレンが無視するはずもない。
「【|断罪】!」
アレンはマルクから放たれた弾丸を鞘に収まっていた長剣を抜刀し、切り捨てる。
しかし、それだけでは収まらない。
私は知っている。アレンが剣を振った時に魔力を込めていたことを。微笑を浮かべていたことを。
「すまない。俺のもそっち飛んでった」
すると、予想していた通り、アレンの斬撃は弾丸を切り捨てた後もぐんぐんと空気を切り続けてマルクへと向かう。
マルクはアレンの言動に少し血管を浮き上がらせるものの、
「ぜ、全然大丈夫だよ。このぐらいの斬撃、蚊の方が怖いさ」
マルクは無理矢理、苦笑いをして空気中に漂う魔素を吸収し始めた。
この技は王宮魔導士レベルにならないと出来ない技である。ちなみにキールは自然としていた。
この技を使いこなせば魔力切れが一生起こらない。まさに人力チートだ。
マルクは甲高く声を上げ魔法を展開する。
「水の加護のもとに…………【水の聖域】!】
すると、マルクを中心に水の壁が発現した。
まるで水の防具服。そんな状態である。
アレンから放たれた斬撃は見事にその防具服によって防がれた。
「すまんな。次からは気を付ける」
「こちらこそ。S級冒険者に傷をつけたとなると王子でも糾弾されるからね」
アレンはマルクの方へと近づき、頭をかきながら謝罪をする。
マルクも魔法を解除し、同じように謝罪をした。
そう。二人とも謝罪をしているのだ。
しかし、どことなく二人の間にバチバチと見えるのは気のせいだろうか。
すると、そんな均衡を遮るように一人の従者の声が聞こえる。
「エリス様~! どこにいるのか探しま…………早く今日は帰りましょうか」
「え、ええ?」
どうやら私のことを探してくれていたようだ。
少しキールの額からは汗が浸っている。
キールは私の目の前にいる二人を見ると何故か言葉を止め、私の手を引っ張って帰ろうとする。
しかし、二人はそれを許そうとはしなかった。
「他クラスが邪魔するのはどうなのかな?」
「従者が主を無理矢理に行動させるのはどうなんだ?」
その二人の言葉にキールは苛立ちをあらわにする。
「お二人こそ、エリス様を束縛しないでいただきたい。早くエリス様も返りますよ」
「「…………ん? 束縛? それは君の方では?」」
(…………これが修羅場ってやつかしら)
目の前で繰り広げられる三人の抗争に私は少しうきうきしながら眺めていたのだった。
「せやあああああぁぁぁぁ!」
「……………………はぁ」
私はアレンとマルクの二人を見てため息を吐くことしか出来なかった。
今週からは来週の武道大会に向けて授業が実践向きの内容が多くなってきていた。
そのため、今日から授業はおおよそ自学自習ということで訓練場で各自、自習をすることになっている。
今まで自習とはだらだらと談笑したり、適当に時間を潰す時間であるはずだった。
しかし、マルクとアレン。平民からも貴族からも畏怖されている二人が同級生になったことで皆が死に物狂いで鍛練に励み始めた。
実際、現在は放課後であるにもかかわらず、誰一人欠けることなく補習をしている。
特にアレンとマルクは何故か朝の初対面の時からどこかバチバチと視線をぶつけ合い、ライバル視している。
今だって…………
「【水の玉】! あ、ごめんアレン! そっち飛んじゃったよ!」
マルクは白々しくアレンに向かって水の弾丸を放つ。
その弾丸は普通の生徒では防ぎようのない殺傷力のある弾丸である。
私が当たってしまえば骨が一瞬で砕けるだろう。
まぁマルクもアレンなら防いでくれるだろうと思ってのことだ。中級魔法で済ませているのはそういう意味であるはず。
だが、そんな安っぽい挑発をアレンが無視するはずもない。
「【|断罪】!」
アレンはマルクから放たれた弾丸を鞘に収まっていた長剣を抜刀し、切り捨てる。
しかし、それだけでは収まらない。
私は知っている。アレンが剣を振った時に魔力を込めていたことを。微笑を浮かべていたことを。
「すまない。俺のもそっち飛んでった」
すると、予想していた通り、アレンの斬撃は弾丸を切り捨てた後もぐんぐんと空気を切り続けてマルクへと向かう。
マルクはアレンの言動に少し血管を浮き上がらせるものの、
「ぜ、全然大丈夫だよ。このぐらいの斬撃、蚊の方が怖いさ」
マルクは無理矢理、苦笑いをして空気中に漂う魔素を吸収し始めた。
この技は王宮魔導士レベルにならないと出来ない技である。ちなみにキールは自然としていた。
この技を使いこなせば魔力切れが一生起こらない。まさに人力チートだ。
マルクは甲高く声を上げ魔法を展開する。
「水の加護のもとに…………【水の聖域】!】
すると、マルクを中心に水の壁が発現した。
まるで水の防具服。そんな状態である。
アレンから放たれた斬撃は見事にその防具服によって防がれた。
「すまんな。次からは気を付ける」
「こちらこそ。S級冒険者に傷をつけたとなると王子でも糾弾されるからね」
アレンはマルクの方へと近づき、頭をかきながら謝罪をする。
マルクも魔法を解除し、同じように謝罪をした。
そう。二人とも謝罪をしているのだ。
しかし、どことなく二人の間にバチバチと見えるのは気のせいだろうか。
すると、そんな均衡を遮るように一人の従者の声が聞こえる。
「エリス様~! どこにいるのか探しま…………早く今日は帰りましょうか」
「え、ええ?」
どうやら私のことを探してくれていたようだ。
少しキールの額からは汗が浸っている。
キールは私の目の前にいる二人を見ると何故か言葉を止め、私の手を引っ張って帰ろうとする。
しかし、二人はそれを許そうとはしなかった。
「他クラスが邪魔するのはどうなのかな?」
「従者が主を無理矢理に行動させるのはどうなんだ?」
その二人の言葉にキールは苛立ちをあらわにする。
「お二人こそ、エリス様を束縛しないでいただきたい。早くエリス様も返りますよ」
「「…………ん? 束縛? それは君の方では?」」
(…………これが修羅場ってやつかしら)
目の前で繰り広げられる三人の抗争に私は少しうきうきしながら眺めていたのだった。
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