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ダンジョン
勇者パーティー
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「では、これをお渡しします」
数分で戻ってきたシャウラはアレンに一つの賞状のような紙を渡した。
アレンはそれを受け取って視線を移すと少し嬉しそうな笑みを浮かべる。
「なんて書いてあるの?」
アレンは微笑を浮かべて対面して座っている私に紙を手渡してくれた。
私もすぐにその紙に視線を通す。
キールとマルクも気になるのか背後に寄ってきて私と一緒に見ようとする。
「「「おぉ!!」」」
私たちはそのたった六文字を見て歓喜の声を上げた。
【勇者パーティー】
「今日からここにいる四人は勇者パーティーです。別に名前は自由だったのですが私がこれしかないなと思って独断で決めました」
少し申し訳なさそうに、それでいてドヤ顔をした矛盾の塊の表情に私たちは苦笑いをしながらも首を縦に振った。
アレンが悔しそうな表情をしているのは置いておこう。
しかし、私たちが勇者パーティーとなるとは誰も思っていなかっただろう。
そもそも勇者パーティーとは国民の希望の象徴。私たちはこのラグランドという国の代表のようなものなのだ。
「それと、マルク様にこれを」
「おっ! エリスがかぶってるやつだよね。確か認識阻害があるんだったかな? ありがとうシャウラ!」
「い、いえいえ! このぐらい受付嬢として当たり前です!」
シャウラはストレートな褒められ方に顔を少し紅潮させながら視線を逸らした。
私にくれた時にはアレンにはもちろんのこと、私にも感謝してくださいね! と念を押されたのだ。
なんだろう。この扱い方の差は。
「では、アレン様にこれもお渡ししておきます」
シャウラはそう言ってダンジョンへの通行許可証をアレンに渡す。
とうとう、私たちもダンジョンに潜ることになるのだ。
しかも、勇者パーティーという肩書を背負って。
妙にそわそわする心境を私は心地よく感じてしまう。
「今回は裏口から向かってください。いつものように何百人にも囲まれたらまともにダンジョン攻略をする暇もありません」
「分かった。色々ありがとうな。シャウラさん」
「なっ! これぐらい当たり前ですよ!」
今度はアレンから礼を言われシャウラはリンゴのように顔を赤くした。
先ほどからシャウラは褒められすぎではないだろうか。
少しやきもちを焼いてしまいそうになる。
「じゃあ行こうか」
アレンはリーダーらしく席から立ち上がり、部屋を出ようとする。
アレンに続くようにウキウキしているマルクも立ち上がる。
マルクもここ最近の魔法を見る限り、キールには劣るもののトップランカーには違いないだろう。
また、ひょろがりのキールと違って剣術もそこそこできるようだ。
武術のアレン。魔術のキール。オールラウンドのマルク。
もしかしたら本当に過去最高のパーティーになるのではなかろうか。
え? 私は何なのかって? 決まってるでしょ!
パワーイズベスト!
「キール様にはこれを。魔法術式の展開を早める魔道具です。誰も扱えきれなく、余っていたのでギルド長が差し上げるとのことです」
「本当ですか!? それはありがたいです!」
「そ、そんな! そこまで言われたら照れま――」
「今のはギルド長にだから。シャウラじゃないから」
私はまた喜び照れそうなシャウラの言葉を遮り現実を伝える。
するとシャウラはハッと我に返ったように真面目な表情を戻す。
「わ、分かってますよ! では…………いってらしゃいませ。冒険者様」
シャウラは改めて私たち四人に頭を下げる。
これはシャウラ特有の恒例作法のようなものだ。
最初は違和感があったのだが、今ではこれがないと安心できない。
こうしてもらうと、絶対に帰ってこないとなと思えるのだ。
「うん。行ってくるわ!」
私はいつものようにダンジョンに向かった。
しかし今日は私に三人の頼もしい仲間がいる。
こうして新・勇者パーティーが始動したのだった。
数分で戻ってきたシャウラはアレンに一つの賞状のような紙を渡した。
アレンはそれを受け取って視線を移すと少し嬉しそうな笑みを浮かべる。
「なんて書いてあるの?」
アレンは微笑を浮かべて対面して座っている私に紙を手渡してくれた。
私もすぐにその紙に視線を通す。
キールとマルクも気になるのか背後に寄ってきて私と一緒に見ようとする。
「「「おぉ!!」」」
私たちはそのたった六文字を見て歓喜の声を上げた。
【勇者パーティー】
「今日からここにいる四人は勇者パーティーです。別に名前は自由だったのですが私がこれしかないなと思って独断で決めました」
少し申し訳なさそうに、それでいてドヤ顔をした矛盾の塊の表情に私たちは苦笑いをしながらも首を縦に振った。
アレンが悔しそうな表情をしているのは置いておこう。
しかし、私たちが勇者パーティーとなるとは誰も思っていなかっただろう。
そもそも勇者パーティーとは国民の希望の象徴。私たちはこのラグランドという国の代表のようなものなのだ。
「それと、マルク様にこれを」
「おっ! エリスがかぶってるやつだよね。確か認識阻害があるんだったかな? ありがとうシャウラ!」
「い、いえいえ! このぐらい受付嬢として当たり前です!」
シャウラはストレートな褒められ方に顔を少し紅潮させながら視線を逸らした。
私にくれた時にはアレンにはもちろんのこと、私にも感謝してくださいね! と念を押されたのだ。
なんだろう。この扱い方の差は。
「では、アレン様にこれもお渡ししておきます」
シャウラはそう言ってダンジョンへの通行許可証をアレンに渡す。
とうとう、私たちもダンジョンに潜ることになるのだ。
しかも、勇者パーティーという肩書を背負って。
妙にそわそわする心境を私は心地よく感じてしまう。
「今回は裏口から向かってください。いつものように何百人にも囲まれたらまともにダンジョン攻略をする暇もありません」
「分かった。色々ありがとうな。シャウラさん」
「なっ! これぐらい当たり前ですよ!」
今度はアレンから礼を言われシャウラはリンゴのように顔を赤くした。
先ほどからシャウラは褒められすぎではないだろうか。
少しやきもちを焼いてしまいそうになる。
「じゃあ行こうか」
アレンはリーダーらしく席から立ち上がり、部屋を出ようとする。
アレンに続くようにウキウキしているマルクも立ち上がる。
マルクもここ最近の魔法を見る限り、キールには劣るもののトップランカーには違いないだろう。
また、ひょろがりのキールと違って剣術もそこそこできるようだ。
武術のアレン。魔術のキール。オールラウンドのマルク。
もしかしたら本当に過去最高のパーティーになるのではなかろうか。
え? 私は何なのかって? 決まってるでしょ!
パワーイズベスト!
「キール様にはこれを。魔法術式の展開を早める魔道具です。誰も扱えきれなく、余っていたのでギルド長が差し上げるとのことです」
「本当ですか!? それはありがたいです!」
「そ、そんな! そこまで言われたら照れま――」
「今のはギルド長にだから。シャウラじゃないから」
私はまた喜び照れそうなシャウラの言葉を遮り現実を伝える。
するとシャウラはハッと我に返ったように真面目な表情を戻す。
「わ、分かってますよ! では…………いってらしゃいませ。冒険者様」
シャウラは改めて私たち四人に頭を下げる。
これはシャウラ特有の恒例作法のようなものだ。
最初は違和感があったのだが、今ではこれがないと安心できない。
こうしてもらうと、絶対に帰ってこないとなと思えるのだ。
「うん。行ってくるわ!」
私はいつものようにダンジョンに向かった。
しかし今日は私に三人の頼もしい仲間がいる。
こうして新・勇者パーティーが始動したのだった。
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