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2巻
2-1
しおりを挟むプロローグ 闇の根源
――彼は憧れの存在だった。
光が一切届かない閉ざされた暗闇。存在を否定され、異物はすぐに追放される。
どれだけ懇願しようと声は届かない。理不尽に傷つけられ、抗い方も忘れてしまう。
そんな世界から、彼は私を救い上げてくれた。灰色だった世界を色鮮やかに染めてくれた。
あの日から彼は私の中心になった。もっと彼を知りたい、彼も知らないような体の隅々まで全て。
しかし、一つだけ知りたくないことも知ってしまった。
彼は世界の中心になる男だということ。それは決して変わらない、この世界の理。
この腐った世界が彼を独り占め? そんなこと許せるはずもない。
だから彼を奪う。崩して、潰して、壊して。ずっと私の中心が彼であるために。
「ソティア君。大丈夫か? 先ほどからぼーっとしているが」
名前を呼ばれ、私は現実に引き戻された。
「あ、うん、大丈夫! それよりカイロス様、早くロイドを潰す方法を考えないと!」
「そ、そうだったな。第三部隊の育成は君に一任していいんだったな?」
「それは任せて! だって私は――」
この物語の主人公は彼であり私でもある。
「『太陽の化身』の助言士なんだから」
これは、二人の追放された助言士が紡ぐ物語。
一章 原点回帰
助言士。それは人の素質を見抜き、育成する職業。
【鑑定】のスキルと、その上位互換である【心眼】を併せ持つ僕――ロイドが、自分で創り出したものだ。
僕が暮らすフェーリア王国には、二十六の冒険者ギルドが存在する。それらのギルドは、上部組織である冒険者協会から様々な依頼やクエストを受注し、ダンジョンの攻略数を中心に、日々しのぎを削っている。
そのトップに君臨しているのが、『太陽の化身』。僕が親友のカイロスと二人で立ち上げ、五年かけて最強となったギルドだ。僕はここで助言士として人材育成に貢献し――カイロスから用済みの宣告を受け、捨てられた。
そして、自ら新たなギルド『雲隠の極月』を創設した。目標はもちろんギルドランキング一位だが、ただ強い人材を集めるわけじゃない。
才能を見出してもらえず、不遇な扱いを受けている人を助け、育てるのだ。
例えば、初級魔術しか使えない魔術師。
例えば、成長が止まってしまった剣士。
例えば、鍛冶場に立たせてもらえない職人。
例えば、奴隷として売られていた錬金術師の卵。
彼らは驚くべき才能を発揮し、急成長を遂げた。その成果は、『鬼の牙』とのギルド対抗戦で十分に発揮された。
百人を超える『鬼の牙』のメンバーを打ち倒して圧勝。それを聞きつけた入会希望者が、ギルドに殺到する騒ぎになったのだった。
『鬼の牙』とのギルド対抗戦を終えてから数週が経った。
周囲の盛り上がりは少しずつ落ち着き、ギルドの入口に並んでいた入会希望者がいなくなるほどにはなっている。
そんな時、メイドのセリーナが一人の女性を連れて、僕の仕事部屋にやってきた。
「ロイド様。紹介したい者がおりまして」
「ん? その子ですか?」
僕はセリーナの背後で少し身を隠している少女に視線を移す。
ショートハーフアップが似合う漆黒の艶のある髪に、すらっとした華奢な体躯。
そしてセリーナと似たメイド服を着ていた。彼女よりは露出面積が大きく、動きやすさが重視されたようなものではあるが。
「わ、私はレイと申します」
レイは深々と腰を折って頭を下げる。
「ん?」
そんな彼女を見て、僕はどこか違和感を覚えた。
以前どこかで会ったような気がする。いや、それよりも……
「ど、どうかなされましたか?」
「いや、なんか声が震えてるなと思って」
首を傾げるレイを見て、僕はそのまま思ったことを口にした。
声もそうだが、足もプルプルと小鹿のように震えている。
僕が不思議に思ってレイを見ていると、彼女の代わりにセリーナが教えてくれた。
「彼女は緊張されてるんですよ。最近有名になったこのギルドに来たものですから」
「そういうことですか。アハハ……大丈夫だよ。僕たちに緊張なんてしなくても」
僕は今も震えているレイに向かって、緊張をほぐすように微笑む。
確かに、傍から見れば『雲隠の極月』は急成長している理解不能なギルドである。
そんなギルドの、しかもマスターを前にしているのだから、緊張してしまっても不思議じゃない。
「それで、どうして彼女を紹介したんです?」
セリーナが理由もなく人を連れてくるはずもない。
すると、セリーナは真剣な眼差しで僕に頭を下げてきた。
「レイさんをメイドとしてこのギルドで雇ってほしいんですよ」
「やっぱりセリーナさんだけじゃ厳しいんですか?」
「えぇ。これから人員も増えていくでしょうし、もう一名ほどメイドが欲しかったんですよ」
セリーナは本来、魔術師のエリス付きのメイドだ。形式上はその身分のままだが、もはやこのギルドの一員のようなものだった。
毎日このギルドの掃除や洗濯。さらには昼食や夕食作りなど、全ての家事をこなしてくれているのだ。そんな彼女を、みんなも家族の一員だと思っている。
なので、彼女の苦労を少しでも減らせるなら、出来る限り要望を受け入れるべきだと僕は思う。
僕は【鑑定】と【心眼】で、レイのステータスを軽く視る。
[名前] レイ(15)
[肩書] 無所属
[能力値] 体力 C/B 魔力 E/C 向上心 C/C
統率力 E/C 知力 D/C
[スキル] 整理整頓 C/A
[固有素質] なし
レイのステータスに特に異常は見られない。さらにはメイドとして便利なスキルである【整理整頓】まで備わっていた。
このステータスを見て反対するような理由もない。
僕はセリーナとレイに頷いた。
「大丈夫ですよ。よろしくね。レイ」
「え、えぇ。よ、よろしくお願いします。ロイド……様」
僕は緊張が解けないままのレイを見て、苦笑を浮かべながら手を握った。
彼女もほんの少しだけ力を加えて、握り返してくれる。
「では、私はこの子に色々メイドとしての作法を教えてきますね」
「えぇ。お願いします」
セリーナは早速、レイを連れてこの場を去った。
これでセリーナの苦労が少しでも減ってくれればいいな。そう思いながら僕は二人の背中を見送った。
†
ロイドの部屋を辞した後、セリーナは震え続けるレイを連れて自分の部屋に向かう。
部屋に着くとセリーナは、見た者が恐怖を感じるような、冷めた笑みを浮かべた。
「あら? まだ矯正が必要ですか?」
「い、いえ! 大丈夫です!」
レイは震える声で返事をする。
セリーナの自室は、彼女自身が勝手に防音結界を張っているため、会話が外部に漏れることはない。レイが本気で叫んで助けを呼ぼうと無駄だというわけだ。そもそも彼女に助けを呼べるほどの反抗心が残っているのか、という話だが。
「だから言ったでしょう? ロイド様でも私の【偽装】は見抜けないと。顔だって変わってるんです。安心してください」
「は、はい」
「その喋り方、やめてくださいね? また緊張してると思われますよ?」
震えが止まらないレイの肩にセリーナは手を置き、笑みを漏らす。
「では、これからいっぱい仕事をしてもらいます。私も一人で全てをやるのは疲れますから」
「分かりました」
「いやぁ。本当にあなたを拾って良かったですよ」
セリーナは嬉しそうにレイを見つめる。
しかし、彼女はセリーナと目を合わすことが出来ない。恐怖によって、命令された行動しか出来ないのだ。いや、出来ないように体に叩き込まれたと言うべきか。
その光景に満足するかのように、セリーナはレイに向けて手を差し出した。
「改めて、これからよろしくお願いしますね。レイス」
レイス――それは、『太陽の化身』の汚れ役、零部隊の部隊長の名。
セリーナに捕らえられた彼女は、姿と名前を変えて、奇しくも再びロイドに仕えることになったのだった。
†
レイがメイドとしてこのギルドに雇われた次の日。
会員たちも落ち着いた時間を確保出来始めたので、僕は助言士として役目を果たすことにした。
まずは魔術師のエリスである。
「私の昇級試験ですか?」
「うん。そろそろ君がD級冒険者なのも無理があるからね」
エリスの冒険者記録は三年前から一度も更新されていなかった。
そのため、最弱のE級の次、D級冒険者のままだったのだ。
D級冒険者といえば、常人より少し強いと言われるレベル。
一撃で城を破壊出来るような冒険者がD級にいていいわけがない。
「今日、C級になるための試験があるから、受けてきてもらいたいんだ」
昇級試験とは、その名の通り、その級に相応しいか見定める試験である。
科目は筆記試験と実技試験に分かれており、三対七の割合で配点される。
本来は必死に勉強して筆記試験の対策をするべきなのだろうが、エリスなら実技試験だけでも大丈夫だろう。
「エリスの実力なら、B級に飛び級しちゃうかもね。受験することはオーガスには言ってあるから、心配しないで。レーナも冒険者協会に用事があるって言ってたから一緒に行っておいで」
オーガスは冒険者協会の会長で、レーナはこのギルドの一員だ。
ちなみに、飛び級の前例はないが、禁止されているわけでもない。ちゃんとした試験官なら、自分の判断で正しい階級をくれるはずだ。
「分かりました! すぐに終わらせて戻ってきますね!」
即答してくれたエリスは駆け足でレーナの部屋へと向かった。
レーナは対抗戦後に急遽、冒険者協会からこちらへと転職したため、色々手続きが終わっていないらしい。
それに職場の人たちにも挨拶出来ていなかったので、今日の一日でそれらを済ませるとのこと。
エリスにとっても、昇級試験に向かう道中にレーナがいれば心強いはずだ。
「エルナ、ニック。少し話があるんだけどいいかい?」
次に僕は後方支援組の二人に話しかけた。エルナはダークエルフの少女で錬金術師、ニックは人間の鍛冶師の青年だ。
二人は狼と猫の中間のような小動物――シャル(命名者エリス)に餌をあげているところだった。
シャルよ、美味いか。
「ニャア~」
僕の視線に気づいて、シャルは可愛らしい鳴き声を上げる。そうかそうか。
「どうしたんっすか?」
「今日の夕食決め? ハンバーグしか勝たん!」
天使のようなエルナに「勝たん」なんて言葉を教えたのは誰だろうか。
別に可愛いので文句はないのだが、「それな~」なんて言い出したら僕は立ち直れないかもしれない。
「二人にも今日、昇級試験を受けてもらおうと思ってね」
「「昇級試験?」」
二人は聞き慣れない単語に疑問を浮かべる。
「君たちには『雲隠の極月』を補助するギルドのマスターになってもらいたいからね。ちょっくらB級になってきてくれるかな?」
『雲隠の極月』はカイロスの妨害によって、他の錬金術師ギルドや鍛冶師ギルドと取引出来ない。そこで僕は『雲隠の極月』の傘下に新たに両ギルドを立ち上げることにし、エルナとニックはそのマスター候補として迎え入れたという経緯がある。
しかし、二人のクラスはマスターとしては不適格だ。ここらでB級になってもらって、その問題を解消するのが僕の狙いである。
ニックは僕の頼みを聞くと、突っかかってきた。
「はぁ⁉ なに、お使い気分で言ってるんすか⁉」
「どうしたの? 昇級試験むずい?」
首をぶんぶんと左右に振るニックを見て、エルナは心配そうに尋ねた。
ニックは今度は首を縦にぶんぶんと振る。
「当たり前っす。B級なんてこの国でも百人に満たないエリートなんっすよ?」
「そうなの? でも、ロイドさま、行ってきてって言った。ぜったい大丈夫」
「その信用はどこから来るんだか……それに、飛び級なんて聞いたこともないっす」
やる気に満ち溢れているエルナを見て、ニックは頭を抱える。
実際、ニックの言う通り、B級鍛冶師の資格はそう簡単に得られるものではない。
鍛冶師や錬金術師は、冒険者よりも昇級試験が難しい。
この国にA級冒険者は数十人いるが、A級鍛冶師は指で数えられるほど。その下に百人に満たないB級鍛冶師、数千人いるC級やD級……と続く。
「飛び級禁止ってこともないだろう? まぁ試しにぐらいでもいいから受けてきなよ。二人なら絶対に受かるから」
「そう言ってもらえるのは嬉しいんすけど……俺はまだD級ですよ?」
「私、E級!」
ニックに続くようにエルナが元気良く手を挙げる。エルナは試験を受けたことがないので、自動的に最低クラスのE級になるのだ。
彼らはまだギルドに所属して間もない。そんな彼らに自信を求めたところで難しいのは当たり前だろう。それに、彼らは未だに自分の実力に気づいていない。自分の実力を理解する前に、急成長してしまったためだ。
「君たちなら大丈夫。それに、受かった暁には新しくギルドを創設してもらうから」
もし、B級に昇級出来るのであれば、それはギルドをまとめる長として実力を認められるのに等しい。C級でもギルドを創設する職人は少なくないんだから。
しかし、ニックは大袈裟に腹を押さえながら呟いた。
「俺たちがギルドマスターなんて……あぁ、胃薬が欲しいっす」
「胃薬? 私ポーション作る?」
「いや、そういう意味じゃないんだよな……」
特にニックは、未だに自分は一般人だという認識が残っている。
この際に、他の鍛冶師との実力差を理解するのもいいだろう。
「行ってくれるよね?」
僕はニッコリと微笑み、目力で彼に訴えかける。
「い、行けばいいんすよね! エルナ! 行くぞ!」
「うん! 試験楽しみ!」
僕が退かないと見たニックは、渋々といった様子でエルナを連れてギルドを出た。
彼らなら笑って帰ってこられるはずだ。それほどの実力をこの短期間で身につけたのだから。
「じゃあ最後はネロか……」
軽戦士のネロは、他の隊員たちと違って今回は一筋縄ではいかないだろう。
自分では隠しているつもりなのだろうが、ネロは確実に何か思い詰めている。それも今までにないほど。
今回はその問題を解決しなければならない。それがギルドマスターとしての務めだ。
僕はネロがいるであろう訓練場へと向かった。
†
ネロは朝一から訓練場に引きこもっていた。
彼は焦燥に駆られていたのだ。このままではいずれ皆に置いていかれると、今までになく焦っていた。
(くそ……どんどん俺の実力が下がっていく)
ネロはロイドの言葉全てに従っている。ロイドなら自分の実力を大幅に向上させてくれると信じて疑わない。
しかし、このギルドに加入する前はA級だったクラスも、今ではC級相当と、ネロの実力は急激に落ちていた。すぐにC級になることはないが、ノルマとなっているクエストをこなさず修業に明け暮れていると、そのうちA級の資格を剥奪されてしまう。
ネロは今まで、スキルの多さでA級まで成り上がってきた。多くのスキルを駆使して戦うスタイルだったのだ。
ところが、ロイドは真逆の指導をした。S級に上がるために、【魔術破壊】という一つのスキルだけを伸ばし、他のスキルは封印するように命じたのだ。
その結果、【魔術破壊】は大きく伸びたが、総合的な視点に立てば、彼の本来の実力とは程遠いものになっている。
「どうすればいいんだ………」
ネロはか細い声を漏らした。
ロイドとは『太陽の化身』からの付き合いだ。
自分の人生を変えてくれた恩人を疑いたくないという気持ちと、このままでは絶対に置いていかれるという焦燥が心の中で拮抗する。
(少し昔の訓練でもしてみるか?)
ネロはスキルで補えないのであれば、他の能力値を向上させようと考えた。
だが、彼は知らない。既に自分の能力値の全ては、限界までロイドによって上げられていることを。
「よし、久しぶりに剣術の訓練でも――」
ネロは腰に差していた二本の剣を抜いて構えようとする。
そんな時だった。訓練場にとある声が響く。
「ネロ、少し時間あるかい?」
「ロ、ロイドさん⁉ あ、はい! 全然あります!」
急に背後からロイドに声をかけられ、ネロは慌てた様子を見せる。
それと同時に心の中で淡い希望を抱いた。
この時、この状況、このタイミング。
ロイドなら何か物凄い助言をしてくれるのではないかと。
しかし、ロイドが発した言葉は、ネロの想像とはかけ離れたものだった。
「今から魔術学院に行くんだけど、一緒に行かないかい?」
「ま、魔術学院? どうしてですか?」
「いや、それが僕も分からなくてさ。昔の担任に呼び出されたんだよね」
「昔の担任……ってロイドさん、魔術学院に通ってたんですか⁉」
魔術学院――その名の通り、魔術師を育成するための機関。
魔術を世界のために。そんなスローガンをもとに活動している学院だ。
基本的には三年制。卒業しても学びたい意欲があれば教授を目指したり、研究員になったりと、色々な道が用意されている。自国を発展させるためにと、国が運営している機関であるため、正式には国立魔術学院と名付けられている。
「まぁね。十三歳から十五歳までの三年間通ってたんだ」
「だからロイドさん、魔術に関しても知識が豊富なんですね!」
ネロはロイドの言葉に納得した様子を見せる。
魔術学院で学んだ知識は、当然今までの助言士としての仕事に役立っている。
在学して良かったかと問われたら、ロイドは間違いなく良かったと即答するだろう。
「ネロには良い刺激にもなると思うよ。生徒以外が魔術学院に入れる機会なんて滅多にないし」
「でも、それならエリスの方が――」と、そこまで言ってネロは口をふさぐ。
想像してしまったのだ。魔術学院にエリスの存在を知られたらどうなるのかを。
エリスのあの破天荒っぷりに加えて、魔術師なら誰もが見惚れる異次元な魔術。
彼女を魔術学院に同行させれば問題になるのは目に見えている。それこそエリスを無事に連れて帰れるかどうかも怪しい。魔術オタクに見つかりでもすれば終わりだ。
「分かりました。それなら是非お供させてください!」
ネロは快くロイドの提案を受け入れた。
ロイドに同行することで、何かこの状況を打破する術も見つかるかもしれない。
それにロイドのお願いだ。断るはずもない。
「ありがとう。本当に助かるよ」
「えへへ……それぐらい任せてくださいよ!」
ロイドに感謝されてネロはすぐに頬を緩める。
「じゃあ行こうか」
「はい!」
ネロはやる気に満ち溢れた表情で頷いた。
そんな彼の様子を見て、ロイドもホッと安堵の息を漏らしたのだった。
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