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魔王も驚き
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「ではアレン様、魔王様。また」
そう言い残してラークは魔王室を出ていった。
***********************
時を遡ること三十分前――
俺が驚き声を上げた後はただの驚きのオンパレードだった。
「そもそも何故プライド高い八魔獣の一対であるラークがこんな子供に仕えるなんて思ったんだ?」
魔王は不思議そうな表情をしてラークに聞く。
俺はそれも気になっていた。
するとラークは苦笑いしながら言った。
「私もいつものようにこの国の上空をぶらぶらと飛んでいたんですけどね…………そうしたら急に体のいうことが利かなくなりまして」
「お前ほどの実力ならうちの幹部たちとも渡り合える力はあるだろう? 誰にやられたんだ?」
今は当然、魔王幹部よりも実力はあるだろう。
今では魔獣のトップクラスになれる実力を保持しているのだから。
ここで説明しておこう。
魔獣の祖先は魔物と獣のハーフだと言われている。
この東の大陸には北に魔王の息子の国が、南が今いるこの国。そしてその東に魔獣の国『ストレイド』がある。
魔族は魔獣のことを脳の持たない殺戮兵器だと教えられているが本当は違う。
ただ言語が違うだけで、本当は魔族や人間と同じように考えられる脳があるのだ。
それを魔族は知らないがためにただ叫んで危害を加えてくる有害な者たちだと決めつけている。
当然ラークも最初は急に攻撃されたと思ったらしい。
「いや…………それが」
ラークは俺の方を申し訳なさそうに見た。
魔王はまさかなと思い、俺に聞いてくる。
「何かしたわけじゃないよな?」
「ちょっと先輩と戦闘訓練してて、俺の本職はテイマーだから空飛んでる鳥に力を借りようかなと思って…………仮契約しちゃった」
てへっ。っと言いながら魔王に言うと魔王の表情が一瞬で強張った。
「ま…………まぁ仮にそうだとして。ラーク一人契約して? なんで全員傘下に入ることになる?」
「俺もそうしたつもりだったんだけど…………五百匹全員と仮契約してしまったんだよね」
アハハハと苦笑いしながら俺は魔王の方を見る。
すると俺を真似するようにアハハハと魔王も笑う。
「「「……………………」」」
沈黙がまた魔王室に流れる。
そしてその空気が壊すように魔王が大声を出した。
「…………はああああああぁぁぁ⁉ え? 仮契約って自分より弱い者としか出来ない魔法だよな⁉ しかも一体だけなはずだよな⁉」
「はい。私もそう聞いてたんですが」
何か恐れているような目で二人とも俺を見る。
少し待ってほしい。
何故俺が悪いとでも言いたげな目で見られているのだろうか。
「その時に…………正直言いにくいのですがその総魔力量が…………魔王様より多くてですね」
「あッはッは! もう止めてよ、俺をからかうのは。今日の学校のクラス振り分け試験だって俺の魔力量ゼロって判定されたんだよ?」
「「…………はぁ」」
俺は流石に嘘だと気づきその言葉を笑い飛ばす。
しかし、二人は俺の言葉にため息をついた。
「……………………一回帰れ。もう頭が痛くなってきた」
「私もです。正直ここまで規格外なお子さんがいられたとは思ってもいませんでしたよ」
二人ともやつれた表情をしながらそう言った。
そこには最初には考えられなかった友情が芽生えているように見える。
俺は良かった良かったと少し口角を上げながらその様子を見ていた。
その元凶が俺だということに一切気づかずに。
そして今に至る――
ラークが出ていったあと魔王はとても真剣な表情で口を開く。
「アレン。一つだけお願いがある」
「…………? 何?」
魔王がガチなトーンで言ったため俺は少し身構えてしまう。
「頼むから。もう誰とも俺の許可なく契約しないでくれ。俺の常識が壊れる」
それはそれはまるで魔王が出す声だとは思えないほど弱弱しい声で懇願するように言ったのだった。
そう言い残してラークは魔王室を出ていった。
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時を遡ること三十分前――
俺が驚き声を上げた後はただの驚きのオンパレードだった。
「そもそも何故プライド高い八魔獣の一対であるラークがこんな子供に仕えるなんて思ったんだ?」
魔王は不思議そうな表情をしてラークに聞く。
俺はそれも気になっていた。
するとラークは苦笑いしながら言った。
「私もいつものようにこの国の上空をぶらぶらと飛んでいたんですけどね…………そうしたら急に体のいうことが利かなくなりまして」
「お前ほどの実力ならうちの幹部たちとも渡り合える力はあるだろう? 誰にやられたんだ?」
今は当然、魔王幹部よりも実力はあるだろう。
今では魔獣のトップクラスになれる実力を保持しているのだから。
ここで説明しておこう。
魔獣の祖先は魔物と獣のハーフだと言われている。
この東の大陸には北に魔王の息子の国が、南が今いるこの国。そしてその東に魔獣の国『ストレイド』がある。
魔族は魔獣のことを脳の持たない殺戮兵器だと教えられているが本当は違う。
ただ言語が違うだけで、本当は魔族や人間と同じように考えられる脳があるのだ。
それを魔族は知らないがためにただ叫んで危害を加えてくる有害な者たちだと決めつけている。
当然ラークも最初は急に攻撃されたと思ったらしい。
「いや…………それが」
ラークは俺の方を申し訳なさそうに見た。
魔王はまさかなと思い、俺に聞いてくる。
「何かしたわけじゃないよな?」
「ちょっと先輩と戦闘訓練してて、俺の本職はテイマーだから空飛んでる鳥に力を借りようかなと思って…………仮契約しちゃった」
てへっ。っと言いながら魔王に言うと魔王の表情が一瞬で強張った。
「ま…………まぁ仮にそうだとして。ラーク一人契約して? なんで全員傘下に入ることになる?」
「俺もそうしたつもりだったんだけど…………五百匹全員と仮契約してしまったんだよね」
アハハハと苦笑いしながら俺は魔王の方を見る。
すると俺を真似するようにアハハハと魔王も笑う。
「「「……………………」」」
沈黙がまた魔王室に流れる。
そしてその空気が壊すように魔王が大声を出した。
「…………はああああああぁぁぁ⁉ え? 仮契約って自分より弱い者としか出来ない魔法だよな⁉ しかも一体だけなはずだよな⁉」
「はい。私もそう聞いてたんですが」
何か恐れているような目で二人とも俺を見る。
少し待ってほしい。
何故俺が悪いとでも言いたげな目で見られているのだろうか。
「その時に…………正直言いにくいのですがその総魔力量が…………魔王様より多くてですね」
「あッはッは! もう止めてよ、俺をからかうのは。今日の学校のクラス振り分け試験だって俺の魔力量ゼロって判定されたんだよ?」
「「…………はぁ」」
俺は流石に嘘だと気づきその言葉を笑い飛ばす。
しかし、二人は俺の言葉にため息をついた。
「……………………一回帰れ。もう頭が痛くなってきた」
「私もです。正直ここまで規格外なお子さんがいられたとは思ってもいませんでしたよ」
二人ともやつれた表情をしながらそう言った。
そこには最初には考えられなかった友情が芽生えているように見える。
俺は良かった良かったと少し口角を上げながらその様子を見ていた。
その元凶が俺だということに一切気づかずに。
そして今に至る――
ラークが出ていったあと魔王はとても真剣な表情で口を開く。
「アレン。一つだけお願いがある」
「…………? 何?」
魔王がガチなトーンで言ったため俺は少し身構えてしまう。
「頼むから。もう誰とも俺の許可なく契約しないでくれ。俺の常識が壊れる」
それはそれはまるで魔王が出す声だとは思えないほど弱弱しい声で懇願するように言ったのだった。
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