【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方

文字の大きさ
80 / 142

テイマーの本質

しおりを挟む
「これでいっか……………………【テレポート】」

 俺は殴り書きのような文字で書かれた一枚の紙を、魔王城のリビングにある巨大なテーブルの中心に置いた。
 誰も俺のことを見ていないか周りを一度確認してから魔法を行使する。
 そして、俺の視界から色が失われ、真っ黒に染まった。




「……………………あれ?」

 俺はある場所に転移したつもりだった。
 しかし、俺が想定した場所とは全く違うその光景に俺は唖然としてしまう。

「ここで合ってるはずなんだけど……………………」
「そうだ。ここがアレンの一族が暮らしていた場所であってる」

 俺が首を傾げ独り言のように言うと、その言葉に反応するように聞き覚えのある言葉が聞こえた。
 俺はゆっくりとその言葉の主の方を向いて、溜息を吐いた。

「はぁ。なんで父さんがここにいるわけ?」

 すると、魔王は少し悲しげな表情をして言い返す。

「それはこっちのセリフだ。まだ十四歳のくせに反抗期は早いぞ?」
「べ、別に……反抗期じゃないよ」

 俺は目線を魔王から逸らしそう言い捨てるように言った。

 俺がここに来た目的はここにいるはずであった元族長に会うためだ。
 絶対にその人に会わないといけない。会わないと俺はこれから前に進めない。

 しかし、引っ越しでもしたのだろうか。
 残っていたのはただの荒れ地だった。

「グレー君から聞いたけど女の子にボコボコにされたんだって? まぁでも、学生が【魔法封鎖アンチマジック】を使うなんて俺でも驚いた。それは負けてもしょうがない」

 俺を慰めるように魔王はそう口にする。
 しかし、その言葉は今の俺にとって逆効果でしかない。
 反抗期ならもっと反抗しているだろう。

 まぁ俺を拾ってくれた魔王に反抗する日が来るなんてことはありえないと思うが。

 そんなことを考えていると、魔王はこの荒れ地に視線を送ったまま真面目なトーンで俺に聞いてくる。

「単刀直入に聞こう。アレン……………………お前は何年家出するつもりだ?」
「……………………一年かな」

 俺は少しだけ考えてそう口にした。

 もちろん、学校には一年間の休校届は出している。
 そして、先輩たちにもそれは報告済みだ。

 報告するともっと驚くかと思っていたが、三人とも特に驚いた様子なく、俺に頑張って来いとだけ告げて通常運転に戻った。
 それはもともと予想していたのか。それともただ単に魔族と人間の時間の感覚が違うのか。
 それは分からないし、特に理解しようと思っていない。

「…………【転送】」

 俺が答えると魔王も特に驚いた様子なく、魔法を行使した。
 すると、二つの魔法陣が形成され、そこから狐の魔獣のような人と、ドラが出てくる。

「アレン様! 勝手に何処に行くつもりなんですか!」

 ドラはいつもの表情とは違い、寂しそうな表情をして言った。
 俺はその変わりように苦笑いしながら口を開く。

「ちょっとテイマーについてもう一回学ぼうかと思ってね。たったの一年だから。そんな表情しなくても大丈夫だよ」

 俺がそう言うとドラは自分の顔をぺたぺたと触って急に青ざめた。
 自分がそんな寂しそうな表情をしているなんて思ってもいなかったのだろう。

「ってかゴブくんは? あいつならすぐに来そうなのに」

 あのドラが来たのだ。
 今日は夜遅くまで仕事があるリーシャとは違い、何もないゴブくんはすぐに俺のところへ駆け付けてくるかもとは思っていた。
 だが、それは自意識過剰だったのかもしれない。

 すると、ドラは少し苦笑いをしながら言った。

「アレン様に負けないようにでかい事・・・・に挑戦し始めたらしいです。だからアレン様の見送りに行く暇などないって…………あ、でも伝言は預かってます。『帰ってきたときに僕を見て驚かないレベルには成長してきてくださいね』だそうだで…………」
「へぇ。あのゴブくんが…………」

 あのいつもネガティブ思考のゴブくんが期待しておけと言っているのだ。
 俺には想像もできないようなことをしているのだろう。
 少し帰るときの楽しみが出来てしまった。

「あ、俺からも最後に言っておきたいことが…………」

 ドラは少し顔を赤くし、俺と視線を合わせようとせず、照れながらそう口にした。

 あのドラがそんなことを言ってくれるなんて明日は雪でも降るのだろうか?
 ちなみに今は三月なのでその可能性はほぼゼロだが、

 俺が少し期待しながらドラが口を開けるのを待っていると、その隣で魔王が笑っているのが見える。

「……………………ブッ!」

 何故笑っているのだろうか。そう思った時にはドラが口を開いていた。

「…………美味しそうなプリンがあれば買って来てもらえると助かりゅます」
「…………え? ……………………あっはっはっは!」

 ドラは敬語で、しかも小声の超早口でそう言った。そして最後には噛んでしっている。
 俺はその発言に一瞬驚いたいが、心の底から笑えてしまい、腹筋が崩壊するのを防ぐために押さえながら大声で笑った。
 ドラは一世一代の恥ずかしそうな顔を隠すように両手で顔を押さえている。

 やっぱり一人じゃないっていいな。

 同時に改めでそう思ったのだった。
しおりを挟む
感想 90

あなたにおすすめの小説

勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。 応援本当に有難うございました。 イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。 書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」 から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。 書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。 WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。 この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。 本当にありがとうございました。 【以下あらすじ】 パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった... ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから... 第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。 何と!『現在3巻まで書籍化されています』 そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。 応援、本当にありがとうございました!

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

【完】転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい

冬月光輝
ファンタジー
【勇者】のパーティーの一員であったルシアは職業を極めては転職を繰り返していたが、ある日、勇者から追放(クビ)を宣告される。 何もかもに疲れたルシアは適当に隠居先でも見つけようと旅に出たが、【天界】から追放された元(もと)【守護天使】の【堕天使】ラミアを【悪魔】の手から救ったことで新たな物語が始まる。 「わたくし達、追放仲間ですね」、「一生お慕いします」とラミアからの熱烈なアプローチに折れて仕方なくルシアは共に旅をすることにした。 その後、隣国の王女エリスに力を認められ、仕えるようになり、2人は数奇な運命に巻き込まれることに……。 追放コンビは不運な運命を逆転できるのか? (完結記念に澄石アラン様からラミアのイラストを頂きましたので、表紙に使用させてもらいました)

おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク
ファンタジー
※2019年7月下旬に第二巻発売しました。 ※12/11書籍化のため『Sランクパーティーから追放されたおっさん商人、真の仲間を気ままに最強SSランクハーレムパーティーへ育てる。』から『おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる』に改題を実施しました。 ※第十一回アルファポリスファンタジー大賞において優秀賞を頂きました。 俺の名はグレイズ。 鳶色の眼と茶色い髪、ちょっとした無精ひげがワイルドさを醸し出す、四十路の(自称ワイルド系イケオジ)おっさん。 ジョブは商人だ。 そう、戦闘スキルを全く習得しない商人なんだ。おかげで戦えない俺はパーティーの雑用係。 だが、ステータスはMAX。これは呪いのせいだが、仲間には黙っていた。 そんな俺がメンバーと探索から戻ると、リーダーのムエルから『パーティー追放』を言い渡された。 理由は『巷で流行している』かららしい。 そんなこと言いつつ、次のメンバー候補が可愛い魔術士の子だって知ってるんだぜ。 まぁ、言い争っても仕方ないので、装備品全部返して、パーティーを脱退し、次の仲間を探して暇していた。 まぁ、ステータスMAXの力を以ってすれば、Sランク冒険者は余裕だが、あくまで俺は『商人』なんだ。前衛に立って戦うなんて野蛮なことはしたくない。 表向き戦力にならない『商人』の俺を受け入れてくれるメンバーを探していたが、火力重視の冒険者たちからは相手にされない。 そんな、ある日、冒険者ギルドでは流行している、『パーティー追放』の餌食になった問題児二人とひょんなことからパーティーを組むことになった。 一人は『武闘家』ファーマ。もう一人は『精霊術士』カーラ。ともになぜか上級職から始まっていて、成長できず仲間から追放された女冒険者だ。 俺はそんな追放された二人とともに冒険者パーティー『追放者《アウトキャスト》』を結成する。 その後、前のパーティーとのひと悶着があって、『魔術師』アウリースも参加することとなった。 本当は彼女らが成長し、他のパーティーに入れるまでの暫定パーティーのつもりだったが、俺の指導でメキメキと実力を伸ばしていき、いつの間にか『追放者《アウトキャスト》』が最強のハーレムパーティーと言われるSSランクを得るまでの話。

魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。 名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。 絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。 運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。 熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。 そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。 これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。 「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」 知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

処理中です...