ターンオーバー

その１

１−３

　岡田さんとはその後も十回くらいは会ったと思います。でも私は彼に抱かれた最初の日に、男女の営みに幻滅していました。あれは男女の共同作業とは言えません。ただ男子の欲求に応えるだけのものでしかないと、そう感じたんです。

　それに何度受け入れても、経験者が言うようなしびれる？とろける？そんな官能的な感覚が私にはやって来ませんでした。
　岡田さんと付き合っている時に、業務部の川崎課長とも寝たんですが、これはそのことを確かめる意味があったんです。相手によって上手い下手のようなものがあるのかな？と思ってのことでした。

　川崎課長は十歳ほど歳上で、当時の私にはずいぶん大人なイメージのかた。私に触れる手がとても優しくて、触られるととても気持ちよかった。でもいざ本番、さあ！と両脚を開かれ、私の中に固くなったアレを挿入してくると、私の高まった気分はすうっと冷めてしまったんです。そうなると私のあそこを湿らせていた愛液？潤滑液？ぬるぬるにするあれも潮が引いたみたいになって、乾いたお肉に埋もれた課長のおちんちんは摩擦まみれで元気がなくなってしまいました。その潮の引く早さといったら、岡田さんとの倍ほどでした。岡田さんはまだ私の中で発射するだけの時間がありましたもの。違いは何か？それは私にもわかりません。課長の優しいタッチに気分が高揚した、その反動だったのかも知れません。

　課長はプライドを傷付けられたような、惨めな顔をして私を見ました。私の顔を見たのはそれが最後。課長とはもちろんそれ一度きりです。
　岡田さんが連絡してこなくなったのも結局同じことだったのかも知れません。その後も数人の男性から誘われ、抱かれましたが、官能を感じることはありませんでした。

　そのうち会社内で私のことが話題になったんでしょう、私を誘ってくる男性はいなくなりました。でも私は平気でした。繰り返しますが私は男にもセックスにも関心をなくしていたんです。
　そういうことで、最後にあれをしたのは二十四歳か五歳。もう二十五年も前になるんですね。

　さて、これで私の昔話は終わりです。次ページより再び五十歳のおばちゃんに戻ることにします。

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