ターンオーバー

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その1

1−7

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「と、まあ長々と話しましたけどね、要するにあたしの言いたいことは二つ。ひとつは自分の下半身を使わなくてもビジネスは可能ってこと。手コキ倶楽部とか聞いたことない?ないよね。つまり手でやってあげるサービスね。要は出したがってるものを手伝ってあげればいいのよ。口も使ってやるともっとお金になるけど、嫌なら手だけでもいい」
 洋子さんはそこまで言ってから、じっと私の反応を伺った。

 私は世間に疎いけれど、この世に五十年住んでる住人なのだ。そんなことくらいじゃ動揺しない。私は洋子さんの目を見つめて、うんとうなずいて言う。
「わかりました」

「それでふたつ目は、あたしの知り合いに教え上手なスケベ爺さんがいるってこと。 性サービス業を始めるなら、全くの素人じゃ駄目、リピーターが出来ない。よければ彼を紹介するから、ぜひ会って欲しいの。彼はきっといろんなことを教えてくれるはずよ」

「ええ?どうしよう。私、洋子さんだから何でも話しましたけど、知らない人とそんなこと話したりするの、恥ずかしいです」

「話すどころか爺さんの身体を使っていろんなことを練習するのよ。大丈夫、慣れるまでは真知子さんは服を着たままでいいから」

「うーん、無理かも」

「それなら今日の話しは全部忘れて、運送会社の倉庫で仕分け作業をやる?知り合いにそんな仕事やってる人がいるから紹介してもいいけど」

「・・・考えさせてくれません?」

「もちろんよ。ま、あたしならスケベ爺さんに教えてもらうわね。性のテクニックってやつ」

 そう言うと、洋子さんは椅子から腰を上げた。

「ありがとうございます。こんな親身にしていただいて。凄く心強いです」

「あたしは介護を受ける人だけじゃなくて、その家族も見てきたわ。みんな大変よ、どっちも大変。真知子さんも頑張るのよ。人生に負けちゃ駄目。どんな目にあっても生き抜くの。そう覚悟することが人生の意味だと思う」


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