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その4
4−8
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「あなた、本当はサヤちゃんが好きなんじゃない?この子にしてきたことは、あなたなりの愛し方だったんじゃないの?」
「そや。わいはこいつが好きや。いつか一緒に暮らせたらって、そう思っとんのや」
「だったら病院に」
「そんなこと言うたら、金田さんに殺されちまう。わいが死んだら、サヤも死ぬ。どこかに埋められて、それで終わりや」
「逃げるのよ。逃げて警察に駆け込むの」
「わい、捕まったら少年院行きや。サヤと暮らせなくなるわ」
「じゃあ一緒に私も逃して。あなたはどこかに逃げたらいい。警察には私が駆け込むから」
寛治は私の言葉をじっくり検討し始めた。
・・・・・・・・・・
その夜を大きく過ぎた真夜中。そっとドアを開けてやって来たのは寛治だ。
「おい。時間やで」小声でそう言った。
私は眠っていなかったので、すぐに起き上がった。ちらっと香織さんを見ると、じっと私を見ている。
「必ず警察を連れてくるからね。朝までに出られるから」
「絶対に連れてきてくださいね」
私は黙ってうなずいた。サヤちゃんは目をつぶったまま。私は寛治に顔を向けて、
「バッグと着るものは持ってきてくれた?」
「あかん。ブーさんの顔のすぐ横に置いてあるから、モゾモゾやってたら目が覚める」
・・・私は覚悟を決めた。
「わかった、行きましょう」
私は香織さんとサヤちゃんの肩にそっと触れてから、忍び足で移動を始めた。
男たちの寝ている部屋からはトイレが一番遠い。外の扉から様子を伺ったけど、人の気配はない。寛治はそっと扉を開けて、便器の向こう側にある小窓を開けた。思ったより狭いけれど、悩んでいる暇はない、私は便器に脚を乗せると、エイヤッ腕と頭を外に出した。
乳房が引っかかる。手で引っ張り出すと次に腰まわりで引っかかる。寛治がお尻に手をあてて、ようやくお腹とお尻が抜けた。地面までの高さは1メートル60センチくらいか。私は思い切って飛び降りた。
「い痛ッ!」
それなりの高さだったことと、アスファルトの冷たさで下半身に、あそこまでジーンと痺れが伝わった。
すぐに寛治が飛び降りてくる。上を向くとどうやったのか、窓は閉まっていた。
「立てるか?おばはん」
寛治は私の腕を取って、工場の敷地の外まで連れ出してくれた。
三叉路に出たところでいったん立ち止まると、着ていたシャツを脱いで、渡してくれた。
「悪い、気ぃ付かんかった。前ボタンしたら隠れるやろ、必ず警察に行くんやで!」
それから交番のおおよその場所を教えたあと、じゃあな、と反対方向に走り去った。
私も走った。裸足だから小石を踏むと激痛が走る。でも二人を助けなきゃ。それにあいつら、絶対に許さない!警察に捕まえてもらうしか出来ないけど、やったことの罪を償ってもらうから!
寛治の言ったとおり、大通りに出たところに交番があった。私はシャツ一枚で飛び込んだ。
「助けて!助けてください!」
その声にドタドタと階段を駆け下りる音がして、ドアが開くと中から警官が飛び出してきた。
「そや。わいはこいつが好きや。いつか一緒に暮らせたらって、そう思っとんのや」
「だったら病院に」
「そんなこと言うたら、金田さんに殺されちまう。わいが死んだら、サヤも死ぬ。どこかに埋められて、それで終わりや」
「逃げるのよ。逃げて警察に駆け込むの」
「わい、捕まったら少年院行きや。サヤと暮らせなくなるわ」
「じゃあ一緒に私も逃して。あなたはどこかに逃げたらいい。警察には私が駆け込むから」
寛治は私の言葉をじっくり検討し始めた。
・・・・・・・・・・
その夜を大きく過ぎた真夜中。そっとドアを開けてやって来たのは寛治だ。
「おい。時間やで」小声でそう言った。
私は眠っていなかったので、すぐに起き上がった。ちらっと香織さんを見ると、じっと私を見ている。
「必ず警察を連れてくるからね。朝までに出られるから」
「絶対に連れてきてくださいね」
私は黙ってうなずいた。サヤちゃんは目をつぶったまま。私は寛治に顔を向けて、
「バッグと着るものは持ってきてくれた?」
「あかん。ブーさんの顔のすぐ横に置いてあるから、モゾモゾやってたら目が覚める」
・・・私は覚悟を決めた。
「わかった、行きましょう」
私は香織さんとサヤちゃんの肩にそっと触れてから、忍び足で移動を始めた。
男たちの寝ている部屋からはトイレが一番遠い。外の扉から様子を伺ったけど、人の気配はない。寛治はそっと扉を開けて、便器の向こう側にある小窓を開けた。思ったより狭いけれど、悩んでいる暇はない、私は便器に脚を乗せると、エイヤッ腕と頭を外に出した。
乳房が引っかかる。手で引っ張り出すと次に腰まわりで引っかかる。寛治がお尻に手をあてて、ようやくお腹とお尻が抜けた。地面までの高さは1メートル60センチくらいか。私は思い切って飛び降りた。
「い痛ッ!」
それなりの高さだったことと、アスファルトの冷たさで下半身に、あそこまでジーンと痺れが伝わった。
すぐに寛治が飛び降りてくる。上を向くとどうやったのか、窓は閉まっていた。
「立てるか?おばはん」
寛治は私の腕を取って、工場の敷地の外まで連れ出してくれた。
三叉路に出たところでいったん立ち止まると、着ていたシャツを脱いで、渡してくれた。
「悪い、気ぃ付かんかった。前ボタンしたら隠れるやろ、必ず警察に行くんやで!」
それから交番のおおよその場所を教えたあと、じゃあな、と反対方向に走り去った。
私も走った。裸足だから小石を踏むと激痛が走る。でも二人を助けなきゃ。それにあいつら、絶対に許さない!警察に捕まえてもらうしか出来ないけど、やったことの罪を償ってもらうから!
寛治の言ったとおり、大通りに出たところに交番があった。私はシャツ一枚で飛び込んだ。
「助けて!助けてください!」
その声にドタドタと階段を駆け下りる音がして、ドアが開くと中から警官が飛び出してきた。
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