残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)

SHO

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一章

やっと使えるよ!

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「くっ!」

 僕は取り敢えずサマンサギルド長、イヴァン副ギルド長、そしてデライラを土魔法のバリケードですっぽり包み込んだ。これでコカトリスの視線のスキルから守る事が出来るだろう。

「ノワール、アーテル! 先にコカトリスを片付ける!」
「はい!」
「承知!」

 視線が武器だというなら対処方法はある。多分世界でも僕とノワールにしか出来ない方法だ。

(この空間を完全なる闇で覆い尽くせ)

 そう念じると、元々薄暗い坑道の中の闇がどんどん濃くなり、やがて目というパーツが一切役に立たない完全な暗闇に包まれた。
 よく『夜目が利く』という話を耳にするけど、あれは僅かながらでも光が差している場合の話だったり、普通の人間には見えない波長の光を感じる事が出来る場合の話だ。

「ショーン! 何がどうなってるの!?」

 状況が分からないうちに、僕の魔法によって土のドームに包まれたデライラの声がする。

「コカトリスがいる! 大人しくしてて!」

 これでデライラだけではなく、サマンサギルド長やイヴァン副ギルド長も状況を把握しただろう。あんな魔物が複数いる上に、シルバーランク以上の魔物がわらわらと上がってきているのでは、この人数じゃ対処のしようがないのは分かってくれるだろう。

「何とかできるのね?」
「今やってます」

 念を押すようにサマンサギルド長が叫ぶけど、出来るも何もやるしかない。この人達は敵じゃないからね。死なせる理由がないからね。

「ノワール、アーテル、出来るか!?」
「もちろんです!」
「問題ない」

 完全なる暗闇で空間を覆う魔法。だけどそれで僕達の視界まで奪われたのでは本末転倒だ。僕は暗闇を足下から徐々に明るくしていく。これで魔物の下半身はしっかり見えるし、種類も判別可能だね。だけど奴らの視界はまだ暗闇のまま。
 ここからは一方的に屠るだけ。そして僕が眷属たちに命じたのは『コカトリスだけを狙え』だ。
 僕が走る。ノワールも走る。アーテルも走る。それぞれが一番近いコカトリスの元へと。今は他の人の目がないから遠慮の必要がない。
 アーテルが胴体に風穴を開けて行く。移動のついでにオーガを倒していくのも忘れない。
 ノワールが一蹴りでコカトリスを爆散させる。次のターゲットまで影に潜って瞬間移動。こちらは時間当たりの効率重視だ。
 僕は闇属性魔法を使う。魔物が立つ地面の影が、質量を持って槍のように突き刺していく。広範囲魔法にして敵だけを襲う反則的な魔法だ。
 影を支配をするのは闇。そして僕は闇を司るウィザード。闇には形がない。だからどんな形状にもできる。
 こんなもの、普通に見せたら僕はどう思われるだろう?
死神かな?
 悪魔かな?
 
「ご主人様、コカトリスは殲滅しました」
「よし、魔法を解くよ」

ノワールの報告を聞いて、闇の魔法を解除する。あたりの視界が回復すると同時に、三人を覆っていた土魔法のドームも解除した。

「……なんだこりゃ」

 開口一番、唖然としたイヴァン副ギルド長が呟いた。他の二人は声も出ないようだね。
 それもそうか。視界に広がるのはコカトリスだけじゃなくて、オーガやオーガが率いていたゴブリンの軍勢の死骸の山だったから。
 闇魔法を全開で使うのが楽しくなっちゃって、やりすぎちゃったな……

「さすがですご主人様!」
「見事だな! 我の主人なのだからそうでなくては!」

 ノワールはタレ耳をパタパタさせながらニッコニコだし、アーテルは尻尾がひょっこり顔を出してブンブンってなってるし。
 こらこら君達、人間じゃ無理な事をやるのはやめなさい。

「あ、あなた達は一体……」

 それに答える訳にはいかないんだよね。

「さあ、先を急ぎましょう。時間を掛けるのまた魔物が増えちゃいますよ」

 僕はそう告げると、ノワールとアーテルの頭を軽くモフり、下層へと歩を進めた。
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