残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)

SHO

文字の大きさ
50 / 206
一章

コアの中のひと

しおりを挟む
 ゴールドランクの冒険者が束になって掛かっても、犠牲者を出さなければ勝てない程の強力な魔物。という事は、マンティコアは単体でもプラチナランクに相当するという事だろうか。
 その強力な魔物を僕達三人で手玉に取っている。ノワールとアーテルに至っては武器すら使っておらず、僕も本来の力である闇属性魔法は見せていない。
 多分僕一人でも勝てたと思うけど、闇属性魔法を封印したままでは割と際どい勝負になったんじゃないかな。どちらにしても、推定プラチナランクの魔物を相手にしてもそれほどの脅威は感じていない。
 でもそれは僕だけであって。

「「「……」」」

 ギルドの幹部二人とデライラは開いた口が塞がらないみたいだ。そうしている間にも、ノワールは地面に埋まったマンティコアの頭をゲシゲシと蹴飛ばしているし、アーテルは『勝手にスタンピードなんぞ起こすなこのバカモノが!』とか言って説教している。

「ノワール、アーテル。そろそろトドメを刺そう」
「はい」
「うむ」

 おそらくこの魔物も希少な素材になるだろうから、なるべく損傷させない方がいいんだろうね。僕は短戟を一気に振り抜いて、マンティコアの首を落とした。

「こんなバケモノを子ども扱いかよ……」
「ゴールドランクって、実は雑魚なのかしら……」

 ギルドの二人が呆れちゃってるけど、魔物の強さにも個体差があるんじゃないかな? これはきっと弱いマンティコアだったんだよ!

(主人よ。それは無理筋だな。この部屋にいる時点でダンジョン内では最強の存在なのだ)

 うう……分かってるよアーテル。分かってはいるんだけどさ。

「デライラ、あのマンティコアをマジックバッグに回収してくれる? それでアーテル、ダンジョンコアというのはどこにあるのかしら?」

 流石はギルド長、職務優先というか、今成すべきことから目を逸らさないというか。僕等が三人でプラチナランク相当の魔物を倒した事は、取り敢えず置いておく事にしたらしい。

「うむ、突き当りの岩壁に、妙な魔力を感じる部分があろう?」

 確かに一部分だけ、魔力を発している部分がある。でもそれはどの属性の魔力なのか、いまひとつ分からないな。火水風土の四大属性でもなければ、闇属性とも違う。
 僕以外にはウィッチであるサマンサギルド長が認識しているようだけど、やっぱり違和感があるのか、首を傾げている。
 魔力と言えば、前回ここに来た時は精霊が一切いなかったのに、今日は何故か精霊がいる。僕が水魔法を使えたのがその証拠だなんだけど、どういう事だろう?

(ああ、それは四大属性の精霊共が我を嫌っているからだろう。我がこの部屋にいた時は、あやつらは寄り付かなんだ)

 なるほどなぁ。僕と同じ闇属性に適正を持つアーテルを恐れたのか、この部屋に限っては一切精霊がいなかったと。僕に対しては力を貸す事を拒む程度だったのに、寄り付かないとはね。やっぱりアーテルは底知れぬ存在だよ。

「その場所を掘ればいいのかしら?」
「うむ、何が出てくるかは我も知らんがな」

 掘り返すって言ってもね……ツルハシとか持ってないよ?

「あたしがやるわ。ううん、あたしがやらなくちゃいけない。そんな気がするから」

 なんと、そこで名乗り出たのはデライラだった。例の魔剣を手に壁に向かっていく。
 おかしいな? ちゃんと場所が分かっているようで、一切の迷いもなく件の場所へ歩いていく。デライラ、魔力を感じているの?

「やあっ!」

 まだ身体に痛みが残っているのか、ややぎこちない動きだけど、彼女はその岩壁に思い切り剣を突き立てた。
 するとどうだろう? その部分だけ、岩壁がボロボロと崩れ落ちていき、中から乳白色で半透明の石柱らしきものが現れた。
 デライラの剣はその石柱にしっかりと突き刺さっていて、その部分を起点に四方八方に亀裂が走る。そしてその亀裂から、乳白色のもやが溢れ出してきた。
 んー? なんか既視感があるな。

「ご主人様……」

 僕の横で寄り添うノワールも何かを感じているらしい。
 溢れ出た乳白色の靄は、不定形ながらもまるで意思を持っているかのように、デライラの周囲をふよふよと周回している。
 何て言うんだろう? まるでデライラを品定めしているみたいだ。

「あたしを呼んだのはあなた?」

 デライラが靄に向かって問いかける。それにしても、呼んだ、とは?
 やがて乳白色の靄は徐々に集まり密度を高めていき、やがて人の形を成した。
 ああ……これはノワールの時と同じだ。

「私は光の大精霊。遥か昔よりこの中に封印されていた。待っていたぞ。光の者よ」

 人の形をした乳白色の靄が、さらっと衝撃的な事を言う。ノワールに続いてもう一人、世界を揺るがしかねないものが現れちゃったよ。

「む? 人の姿をしているが分かるぞ? 其方は闇の大精霊ではないか! 久しいな!」

 その光の大精霊がノワールを見て言っちゃった。これはもう、全部話さなきゃいけない流れだよね……
 それにしても、デライラが光の者とはどういう事だろう?
しおりを挟む
感想 283

あなたにおすすめの小説

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る

神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】 元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。 ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、 理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。 今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。 様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。 カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。 ハーレム要素多め。 ※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。 よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz 他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。 たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。 物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz 今後とも応援よろしくお願い致します。

追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る

夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。 地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。 俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。 だけど悔しくはない。 何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。 そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。 ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。 アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。 フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。 ※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

処理中です...