51 / 206
一章
第六の属性
しおりを挟む
光の者。ノワールとアーテルは察しているようだ。僕もなんとなく分かる。
闇があるなら光もって事なんだろう。
「あなたも封印されていたの?」
ノワールがコテンと首を傾げて光の大精霊とやらに問いかける。可愛い。
サマンサギルド長とイヴァン副ギルド長は目の前で起こっている光景に理解が追い付かずに固まっているし、デライラはポケーっと乳白色の人型の靄を見つめているね。
「あなたも?」
「ええ、私も封印されていたの。でもご主人様が助けてくれた」
そう言ってノワールが僕の腕をぎゅっと抱きしめる。
「なるほど。その者からは途轍もない闇の魔力を感じる。我等が封印される以前にまで遡っても、それほどの者はいなかったな」
「ええ。ご主人様は凄いの」
ノワールドヤ顔。てか、そうなの? 僕の魔力って、そんなに凄いの?
「うむ。そしてこの者もな」
靄が人の形をしているだけで目も口もない。でもそれは明らかにデライラの方を見てそう言っているように思えた。
「闇の大精霊よ。其方と私で、情報のすり合わせが必要なようだな」
「そうね。同意するわ。でも、私の事はノワールと呼びなさい。ご主人様から頂いた素晴らしい名前です」
「名前? 其方はその人間に仕えているのか?」
「ええ、私はご主人様の命が尽きるまで、眷属としてお側に仕えると誓いました」
そうしたやり取りの後、乳白色の靄はふむ、と顎に手をやる仕草をした。靄のくせに表現力が高いね。
「娘よ。私を解き放ってくれた件に関しては感謝せねばなるまい」
「はぁ……?」
「光の魔力を有している其方ならば、私の力も扱えよう」
「はぁ……」
今一つ事態が飲み込めないデライラは、気の抜けた返事をする事しかできない。それにしても光の大精霊、ノワールと比べてやや上から目線だよね。
でも、本来はそういうものなのかな? 大精霊から見たら、人間なんてちっぽけな存在だろうし。
「名前だ」
「はい?」
「私に名前を付けるのだ。さすれば、其方の眷属として力を貸そう」
「……そう言われても、そんな靄みたいな姿じゃイメージが湧かないわ」
まあ、デライラの言う通りだよね。僕とノワールの場合は黒ウサギの時から絆を築き上げてきた。黒くて美しい毛並み。だから『ノワール』だ。アーテルも同じ闇属性の者としてシンパシーを感じたし、やはり彼女の『黒』は美しい。だから『アーテル』だ。
でもデライラの目の前の存在は、ただの靄だもんね。僕が名前を付けるとしたら『ミルク』とか、そんなのしか思い浮かばないよ。
「ふむ、人はその見た目からイメージを作りあげるものか」
デライラに注文を付けられた光の大精霊は、ちらりとノワールを見た……ような気がした。すると、靄の輪郭が徐々にくっきりとしてきた。
そして現れたのは……
「キャアアア!」
デライラが慌てて両手で顔を覆い、後ろを向いた。
輝くようなシルバーブロンドの髪は緩やかなウェーブがかかり、肌は抜けるように白い。彫りの深い顔と均整の取れた身体。それはもう羨ましいくらいのイケメンだ。
ただし全裸だったけどね。
「見ちゃった……ぶらぶら……見ちゃった……ショーンの小さい頃と全然ちがう……」
デライラがブツブツ呟いてるけど、幼い頃の僕と比べるのはやめてください。メンタルに効きます。
仕方ない。僕は影収納から適当に予備の服を見繕ってイケメンに渡した。
「人間の社会では服を着ていないとちょっとまずいんですよ。これを着て下さい」
「ふむ……すまんな。人型になるのは初めてなのでな」
麻のズボンにサンダル、麻のシャツ。ひたすらシンプルなザ・村人スタイル。イケメン過ぎて全然似合ってないけど、後の事はデライラに任せよう。
「ねえ、ショーン……」
デライラが困った顔で助けを求めてきた。
「あたし、あんたみたいに博識じゃないもの」
うーん。確かに彼女は活発で元気があるけど勉強は嫌いな子だったもんなぁ。
「ルークス。古代言語で『光』という意味だよ」
「いいわね! じゃああんたは今からルークスよ!」
結局僕が考えた名前になっちゃうけどそれでいいのかい? 光の大精霊さん?
「うむ。良い名だ」
ルークスさん、鷹揚に頷いてるけどいいんだ……?
さて、光の大精霊がいるという事は、この世界には伏せられた『第六の属性』があるという事なんだろう。ノワールも含めて、封印された事情とか、色々と話を聞かなきゃいけないな。
あちらで固まってるギルドの二人を復活させてからね。
闇があるなら光もって事なんだろう。
「あなたも封印されていたの?」
ノワールがコテンと首を傾げて光の大精霊とやらに問いかける。可愛い。
サマンサギルド長とイヴァン副ギルド長は目の前で起こっている光景に理解が追い付かずに固まっているし、デライラはポケーっと乳白色の人型の靄を見つめているね。
「あなたも?」
「ええ、私も封印されていたの。でもご主人様が助けてくれた」
そう言ってノワールが僕の腕をぎゅっと抱きしめる。
「なるほど。その者からは途轍もない闇の魔力を感じる。我等が封印される以前にまで遡っても、それほどの者はいなかったな」
「ええ。ご主人様は凄いの」
ノワールドヤ顔。てか、そうなの? 僕の魔力って、そんなに凄いの?
「うむ。そしてこの者もな」
靄が人の形をしているだけで目も口もない。でもそれは明らかにデライラの方を見てそう言っているように思えた。
「闇の大精霊よ。其方と私で、情報のすり合わせが必要なようだな」
「そうね。同意するわ。でも、私の事はノワールと呼びなさい。ご主人様から頂いた素晴らしい名前です」
「名前? 其方はその人間に仕えているのか?」
「ええ、私はご主人様の命が尽きるまで、眷属としてお側に仕えると誓いました」
そうしたやり取りの後、乳白色の靄はふむ、と顎に手をやる仕草をした。靄のくせに表現力が高いね。
「娘よ。私を解き放ってくれた件に関しては感謝せねばなるまい」
「はぁ……?」
「光の魔力を有している其方ならば、私の力も扱えよう」
「はぁ……」
今一つ事態が飲み込めないデライラは、気の抜けた返事をする事しかできない。それにしても光の大精霊、ノワールと比べてやや上から目線だよね。
でも、本来はそういうものなのかな? 大精霊から見たら、人間なんてちっぽけな存在だろうし。
「名前だ」
「はい?」
「私に名前を付けるのだ。さすれば、其方の眷属として力を貸そう」
「……そう言われても、そんな靄みたいな姿じゃイメージが湧かないわ」
まあ、デライラの言う通りだよね。僕とノワールの場合は黒ウサギの時から絆を築き上げてきた。黒くて美しい毛並み。だから『ノワール』だ。アーテルも同じ闇属性の者としてシンパシーを感じたし、やはり彼女の『黒』は美しい。だから『アーテル』だ。
でもデライラの目の前の存在は、ただの靄だもんね。僕が名前を付けるとしたら『ミルク』とか、そんなのしか思い浮かばないよ。
「ふむ、人はその見た目からイメージを作りあげるものか」
デライラに注文を付けられた光の大精霊は、ちらりとノワールを見た……ような気がした。すると、靄の輪郭が徐々にくっきりとしてきた。
そして現れたのは……
「キャアアア!」
デライラが慌てて両手で顔を覆い、後ろを向いた。
輝くようなシルバーブロンドの髪は緩やかなウェーブがかかり、肌は抜けるように白い。彫りの深い顔と均整の取れた身体。それはもう羨ましいくらいのイケメンだ。
ただし全裸だったけどね。
「見ちゃった……ぶらぶら……見ちゃった……ショーンの小さい頃と全然ちがう……」
デライラがブツブツ呟いてるけど、幼い頃の僕と比べるのはやめてください。メンタルに効きます。
仕方ない。僕は影収納から適当に予備の服を見繕ってイケメンに渡した。
「人間の社会では服を着ていないとちょっとまずいんですよ。これを着て下さい」
「ふむ……すまんな。人型になるのは初めてなのでな」
麻のズボンにサンダル、麻のシャツ。ひたすらシンプルなザ・村人スタイル。イケメン過ぎて全然似合ってないけど、後の事はデライラに任せよう。
「ねえ、ショーン……」
デライラが困った顔で助けを求めてきた。
「あたし、あんたみたいに博識じゃないもの」
うーん。確かに彼女は活発で元気があるけど勉強は嫌いな子だったもんなぁ。
「ルークス。古代言語で『光』という意味だよ」
「いいわね! じゃああんたは今からルークスよ!」
結局僕が考えた名前になっちゃうけどそれでいいのかい? 光の大精霊さん?
「うむ。良い名だ」
ルークスさん、鷹揚に頷いてるけどいいんだ……?
さて、光の大精霊がいるという事は、この世界には伏せられた『第六の属性』があるという事なんだろう。ノワールも含めて、封印された事情とか、色々と話を聞かなきゃいけないな。
あちらで固まってるギルドの二人を復活させてからね。
10
あなたにおすすめの小説
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います
長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。
しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。
途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
辻ヒーラー、謎のもふもふを拾う。社畜俺、ダンジョンから出てきたソレに懐かれたので配信をはじめます。
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
ブラック企業で働く社畜の辻風ハヤテは、ある日超人気ダンジョン配信者のひかるんがイレギュラーモンスターに襲われているところに遭遇する。
ひかるんに辻ヒールをして助けたハヤテは、偶然にもひかるんの配信に顔が映り込んでしまう。
ひかるんを助けた英雄であるハヤテは、辻ヒールのおじさんとして有名になってしまう。
ダンジョンから帰宅したハヤテは、後ろから謎のもふもふがついてきていることに気づく。
なんと、謎のもふもふの正体はダンジョンから出てきたモンスターだった。
もふもふは怪我をしていて、ハヤテに助けを求めてきた。
もふもふの怪我を治すと、懐いてきたので飼うことに。
モンスターをペットにしている動画を配信するハヤテ。
なんとペット動画に自分の顔が映り込んでしまう。
顔バレしたことで、世間に辻ヒールのおじさんだとバレてしまい……。
辻ヒールのおじさんがペット動画を出しているということで、またたくまに動画はバズっていくのだった。
他のサイトにも掲載
なろう日間1位
カクヨムブクマ7000
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる