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三章
デライラ、女王と対面①
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ショーン達がギルド本部へ呼び出されていたその頃、デライラ達は王城を訪れていた。
同じパーティ登録をしているとは言っても、別行動をする時もある。そんな別行動を取っているある日、デライラは女王レベッカに面会すべくアポイントを取っていた。
もちろん一般の冒険者が女王に面会を求めたところで叶う筈もないが、彼女はグリペン侯爵直々に書状を預かっており、それを届ける使者として任命を受けている。
そしてその日から数日経った今日が女王から指定された日という訳だ。
「き、緊張するわね……」
とある部屋で待っているように言われたデライラは、ソファに座りながらもカチカチに緊張している。その後ろにはルークスとグランツが立ったまま控えている。
「日頃大精霊の私や神獣のグランツと接しているのです。人間の女王などただの小娘同様でしょう?」
イケメンルークスがにこやかにそう言うが、デライラにとってはたまったものではない。
「あんた達は仲間だからいいのよ」
デライラが何気なく放った一言。しかし何気なくだからこそデライラの無意識の本心が出た言葉であり、ルークスもグランツも優しく微笑む。
「な、なによ?」
「いえ、何でも。それより女王がそろそろ来ますよ」
デライラがその微笑みを不審がるが、女王レベッカの気配を察知したルークスがその事を伝えると、デライラも立ち上がって入口の方を向いて待機した。
間もなく扉が開き、三人の人物が入って来た。
はじめに侍女。メイド服を着た中年の女性だ。次に淡いブルーのドレスに身を包んだ、まだ少女と言っても差し支えない女性。しかしアップに纏めたイエローの髪に載るプラチナのティアラが、その少女こそが女王レベッカである事を証明していた。
(うわ、かわいい……)
さらにその後にカートを押した女性も入室してきたのだが、デライラの視線はレベッカに釘付けだった。同性の彼女から見ても、レベッカは愛くるしく美しい女性に映る。
「お待たせ致しました。わたくしが女王レベッカ・フォン・ルーブリムです」
普通は女王が先に名乗るなどあり得ないが、彼女は気さくに自己紹介をする。そんな彼女が治める国が、何故ブンドルのような悪を許しておくのかデライラは疑問に思ったが、そこはこれからの会談で明らかになって行くだろうと一旦考えるの止めた。
「本日は謁見をお許しいただきありがとうございます。冒険者のデライラと申します。後ろの二人はパーティメンバーのルークスとグランツです」
デライラもそう自己紹介を返し、丁寧に頭を下げた。
「デライラですか。随分と可愛らしい使者殿ですね。さあ、まずはお掛けになりなさい」
「はい」
レベッカが着席するのを待ってデライラも席に着く。そのタイミングでカートを押して入室してきた侍女が紅茶をテーブルに置く。
「どうぞ。美味しいですよ」
レベッカが上品な所作でティーカップを口に運ぶ。それを見てデライラも同じようにカップに口を付けた。
(おいしい……なんだか少し甘酸っぱい。何かのフルーツかしら?)
紅茶の僅かな苦みとフルーティな甘味の他に、爽やかに鼻腔を通り抜ける香り。コクと喉元を通りすぎると、不思議とリラックスしてくる気がする。
「うふふ。少しは緊張も解けたのでは? これは三種類のフルーツと少しだけハーブを配合した、わたくしのオリジナルなの」
「とても、美味しいです」
デライラが口にした言葉が心から出たものだと分かったのか、レベッカも微笑む。
「ありがとう。嬉しいわ。それで、グリペン候の書状の件なのだけど」
「はい、こちらです」
デライラはグリペン侯爵から預かっている書状を渡した。中身は読んでいないのでグリフォンを紋章に施した封蝋はそのまま。グリフォバーグで起ったショーンとブンドルのトラブルは、非はブンドルにある事、さらに王家御用達の商会である事を笠に着た傍若無人な振舞などを告発するものだと聞いている。
レベッカはその書状を受け取ると、侍女に手渡した。その侍女がペーパーナイフで丁寧に開封し、中の手紙をレベッカに渡す。
「ふむ、そうですか」
読んだレベッカの表情は神妙。それを見ているデライラも緊張が増す。
レベッカは侍女の一人に何か耳打ちすると、その侍女は退室していった。
「グリペン候の言う内容の一部はこちらでも把握しています。先日ポー家のタッカー卿からも報告を受けましたし、オスト公からも同様の訴えが届いています」
レベッカとしてもブンドルの横暴に心を痛めていた。そもそも彼を王家御用達商人にしたのは先代国王であり、彼女が新国王になった時には既に手の施しようがないほど汚染は広がっていた。
いくら女王になったとは言え、たかが十代の小娘が騒ぎ立てた所で握り潰されてしまうのがオチだったのである。しかし――
(ショーンという冒険者のお陰で、有力貴族がブンドル潰しに動き始めました。この機を逃す訳には行きません)
レベッカは内心強くそう思う。グリペン侯爵、ポー伯爵、オスト公爵。彼等を抱き込み、さらにショーンを上手く立ち回らせれば、先代王が遺した負の遺産であるブンドルを粛清出来るかもしれない。
「詳細は言えませんが、悪いようにはしないととだけ、約束しましょう」
「ありがとうございます!」
レベッカの言葉に、デライラは破顔する。何しろショーンの事だ。次にブンドルが何か仕掛けてきたらかなりの高確率でブンドルは商会ごと潰される。女王がそのあたりの事を上手くやってくれると言うのだから、彼女としては満額回答を貰ったようなものだ。
「ところでデライラ。侯爵は手紙の中で、その他の事にも言及していたのですが、その事は?」
「いえ、手紙の内容に関しては全く」
「そうですか」
そんなやり取りが終わると、先程退室したメイドが何やらワゴンを押して戻ってきた。そのワゴンの両脇には屈強そうな騎士が護衛に付いている。
ワゴンに乗せられたその品は、ビロードの布が掛けられていてその姿は分からないが、護衛が付いている事からかなりの貴重品である事を窺わせた。
同じパーティ登録をしているとは言っても、別行動をする時もある。そんな別行動を取っているある日、デライラは女王レベッカに面会すべくアポイントを取っていた。
もちろん一般の冒険者が女王に面会を求めたところで叶う筈もないが、彼女はグリペン侯爵直々に書状を預かっており、それを届ける使者として任命を受けている。
そしてその日から数日経った今日が女王から指定された日という訳だ。
「き、緊張するわね……」
とある部屋で待っているように言われたデライラは、ソファに座りながらもカチカチに緊張している。その後ろにはルークスとグランツが立ったまま控えている。
「日頃大精霊の私や神獣のグランツと接しているのです。人間の女王などただの小娘同様でしょう?」
イケメンルークスがにこやかにそう言うが、デライラにとってはたまったものではない。
「あんた達は仲間だからいいのよ」
デライラが何気なく放った一言。しかし何気なくだからこそデライラの無意識の本心が出た言葉であり、ルークスもグランツも優しく微笑む。
「な、なによ?」
「いえ、何でも。それより女王がそろそろ来ますよ」
デライラがその微笑みを不審がるが、女王レベッカの気配を察知したルークスがその事を伝えると、デライラも立ち上がって入口の方を向いて待機した。
間もなく扉が開き、三人の人物が入って来た。
はじめに侍女。メイド服を着た中年の女性だ。次に淡いブルーのドレスに身を包んだ、まだ少女と言っても差し支えない女性。しかしアップに纏めたイエローの髪に載るプラチナのティアラが、その少女こそが女王レベッカである事を証明していた。
(うわ、かわいい……)
さらにその後にカートを押した女性も入室してきたのだが、デライラの視線はレベッカに釘付けだった。同性の彼女から見ても、レベッカは愛くるしく美しい女性に映る。
「お待たせ致しました。わたくしが女王レベッカ・フォン・ルーブリムです」
普通は女王が先に名乗るなどあり得ないが、彼女は気さくに自己紹介をする。そんな彼女が治める国が、何故ブンドルのような悪を許しておくのかデライラは疑問に思ったが、そこはこれからの会談で明らかになって行くだろうと一旦考えるの止めた。
「本日は謁見をお許しいただきありがとうございます。冒険者のデライラと申します。後ろの二人はパーティメンバーのルークスとグランツです」
デライラもそう自己紹介を返し、丁寧に頭を下げた。
「デライラですか。随分と可愛らしい使者殿ですね。さあ、まずはお掛けになりなさい」
「はい」
レベッカが着席するのを待ってデライラも席に着く。そのタイミングでカートを押して入室してきた侍女が紅茶をテーブルに置く。
「どうぞ。美味しいですよ」
レベッカが上品な所作でティーカップを口に運ぶ。それを見てデライラも同じようにカップに口を付けた。
(おいしい……なんだか少し甘酸っぱい。何かのフルーツかしら?)
紅茶の僅かな苦みとフルーティな甘味の他に、爽やかに鼻腔を通り抜ける香り。コクと喉元を通りすぎると、不思議とリラックスしてくる気がする。
「うふふ。少しは緊張も解けたのでは? これは三種類のフルーツと少しだけハーブを配合した、わたくしのオリジナルなの」
「とても、美味しいです」
デライラが口にした言葉が心から出たものだと分かったのか、レベッカも微笑む。
「ありがとう。嬉しいわ。それで、グリペン候の書状の件なのだけど」
「はい、こちらです」
デライラはグリペン侯爵から預かっている書状を渡した。中身は読んでいないのでグリフォンを紋章に施した封蝋はそのまま。グリフォバーグで起ったショーンとブンドルのトラブルは、非はブンドルにある事、さらに王家御用達の商会である事を笠に着た傍若無人な振舞などを告発するものだと聞いている。
レベッカはその書状を受け取ると、侍女に手渡した。その侍女がペーパーナイフで丁寧に開封し、中の手紙をレベッカに渡す。
「ふむ、そうですか」
読んだレベッカの表情は神妙。それを見ているデライラも緊張が増す。
レベッカは侍女の一人に何か耳打ちすると、その侍女は退室していった。
「グリペン候の言う内容の一部はこちらでも把握しています。先日ポー家のタッカー卿からも報告を受けましたし、オスト公からも同様の訴えが届いています」
レベッカとしてもブンドルの横暴に心を痛めていた。そもそも彼を王家御用達商人にしたのは先代国王であり、彼女が新国王になった時には既に手の施しようがないほど汚染は広がっていた。
いくら女王になったとは言え、たかが十代の小娘が騒ぎ立てた所で握り潰されてしまうのがオチだったのである。しかし――
(ショーンという冒険者のお陰で、有力貴族がブンドル潰しに動き始めました。この機を逃す訳には行きません)
レベッカは内心強くそう思う。グリペン侯爵、ポー伯爵、オスト公爵。彼等を抱き込み、さらにショーンを上手く立ち回らせれば、先代王が遺した負の遺産であるブンドルを粛清出来るかもしれない。
「詳細は言えませんが、悪いようにはしないととだけ、約束しましょう」
「ありがとうございます!」
レベッカの言葉に、デライラは破顔する。何しろショーンの事だ。次にブンドルが何か仕掛けてきたらかなりの高確率でブンドルは商会ごと潰される。女王がそのあたりの事を上手くやってくれると言うのだから、彼女としては満額回答を貰ったようなものだ。
「ところでデライラ。侯爵は手紙の中で、その他の事にも言及していたのですが、その事は?」
「いえ、手紙の内容に関しては全く」
「そうですか」
そんなやり取りが終わると、先程退室したメイドが何やらワゴンを押して戻ってきた。そのワゴンの両脇には屈強そうな騎士が護衛に付いている。
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