神様に妻子の魂を人質に取られたおっさんは、地球の未来の為に並行世界を救う。

SHO

文字の大きさ
122 / 151
????

119話 開戦!

しおりを挟む
 基地に向かって接近してきた五体の黒翼の天使のうち、四体がジャンヌ、関羽、リチャード、サラディンによって釘付けにされた。そして残る一体も基地内に侵入を図るが、ふぁむちゃんの管制による対空砲火が容易にそれを許さない。

「ヤツの事です。もうこちらを捕捉しているのでしょうね。それだけにふぁむちゃんも狙いやすいという事でしょうか」

 空中で回避と防御を強制されている黒翼の天使を見ながら、ナイチンゲールが口を開いた。彼女達は司令塔を離れ、エレファント達デーモンのねぐらとなっている倉庫に移動している。当然、自分達の盾となるエレファント、イーグル、ホーク、ファルコンと行動を共にする為だ。彼等の巨体ではさすがに司令塔に入ってこれない。

 さらに、前回と違うのはこちらの火力だ。10式戦車の投入前はまるで歯が立たなかった黒翼の天使の絶対防御。しかし今回は10式を投入している以外にも、多数の速射砲が迎撃に当たっている。
 ciwsだけなら防げていた防御も、護衛艦の主砲クラスが直撃しては無傷では済まないのだろう。黒翼に身をくるみ、被弾を避けようと必死なようだ。

「だが、このままでは埒が明かないのではないかね? キラーン
「それでいいのでは? じきにジャンヌさん達が加勢してくれるでしょうから」
「ふむ、信頼しているのだねキラーン

 ナイチンゲールは前線で戦う救世者メサイア達が負けるとは欠片も考えていない。だからこそ、リスクを負わず現状維持で十分だと考えていた。
 一度は苦戦した相手だが、二度同じ相手に不覚をとるようなメンバーはいない。その信頼感から、アスキーへは無言の笑顔を返すナイチンゲールだった。
 
△▼△

 かつて苦戦を強いられた黒翼の天使を相手に、今度はたった一人で対峙している。敵が発するプレッシャーも以前同様、圧し潰されんがばかりだ。
 しかし背中の燃えるような真っ赤な翼をはためかせ、全身を赤いオーラに包まれたジャンヌ・ダルクは、その黒翼の天使を正面に見据え、些かも怯む様子はない。いや、むしろ高揚しているようにすら見える。

「当たれば即死の魔力光線。そしてあの黒翼による絶対防御。おかしいわね。難攻不落の強敵なのに負ける気が一切しないのよね」
『当たり前だ。今のお前は俺の全てを取り込んでるんだ。あんな紛いモンの天使なんぞより余程お前の方が神々しいぜ?』
「ふふっ、そうね。じゃあ、見せてやるわ! オルレアンの聖女の力を!」

 ジャンヌの中のが爆発的に高まった。それを感じた黒翼の天使が右手をジャンヌに向ける。その右手は赤黒く、そして禍々しく光っていた。そしてその光は徐々に濃縮されていく。

「ふっ。これは私の位置取りが不味かったわね」

 ジャンヌがちらりと後方を振り返り、そう呟く。

『全くだぜ。お前、力を手に入れて舞い上がってんじゃねえのか?』
「そうね。反省するわ」

 そんなジャンヌの失策は、自分の中にいるブリューナクの声に叱責される。
 光った瞬間を見た時には既に貫かれているという魔力光線。幸い、瘴気を集めて収束させるという予備動作があるために、事前に察知して避ける事は可能だ。
 しかし、黒翼の天使がジャンヌに向けた射線の延長線には、基地の司令塔があったのである。これではジャンヌは避ける事が出来ない。避けたら中にいるナイチンゲール達に被害が及ぶ。(この時すでに、ナイチンゲール達は移動していたのだが)

 その時ジャンヌには、目も鼻も口もない黒翼の天使の顔がほくそ笑んだように見えた。そしてその瞬間、黒翼の天使の右手が赤黒くスパークした。
 同時にジャンヌも口角を吊り上げ、前方に左手を翳した。自分に向けて撃って来いと。そして受け止め切ってみせると。
 そして黒翼の天使から魔力光線が放たれる。光を認識したと同時にジャンヌの左手を襲う衝撃。

「くっ……ぐぅ……ハァッ!」

 ジャンヌの左手ごと貫いて行くかと思われた魔力光線は、彼女の左手に展開された赤いオーラに防がれていた。しかしジャンヌの方も気を抜けば突破されてしまう。
 彼女は左手に意識を集中し、力と気を込める。そして最後に渾身の気合を込めて、その左手を握りしめた。

 ――!!

 表情がない黒翼の天使が、明らかに驚愕した。
 ジャンヌが左手を握りしめると、敵を貫くはずの魔力光線が霧散してしまったのである。

「ふふっ、さすがに強烈だったけど、なんとかなるものね。さあ、今度はこっちの番よ!」

 ジャンヌが上昇し、黒翼の天使の頭上を取る。そして右手の槍を四度振るった。

「食らいなさい!」

 ジャンヌの槍の穂先から、青白い四つの炎弾が放たれた。
しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...